ふと、受け取ればいいだけなんだな、
ということを思いました。
目の覚めるような世界の美しさも、
豊かさも、得も言われぬ恩寵も、
いつでもここにある。
だから、ただ心を開いて、
自分に流れ込むそれを許すだけ。
けれど私たちはしばしば、
そんなものには目もくれず、
もっと無粋なものを欲しがって
必死に少しでも多くつかみ取ろうと
躍起になります。
今ここに在る、もっと素晴らしいものが
曇った目や精神には感知できないが故の
不足感、苦しさ、恐怖、不安。
求めても求めても、
どうして自分には与えられないのか、
と恨めしく思うこともしばしばで、
苦しさの中でもがき、
耐えきれずに他者から奪い、
餓鬼のように貪り漁るようになったり。
そのような人間の姿を
私たちはそうはなりたくない、
醜いものとして蔑み、倦厭しますが、
自分の中に満たされないものを
抱えている人は、みな同じです。
ただそれを、あからさまにやるか、
ちょっとお化粧してやるかの違いだけ。
本質的には、同じことです。
様々な方のセッションをしてきて、
またセルフワークを含めて振り返ると、
私たちは自身が最も求めているものを、
根っこのところで拒絶しているという
場面を見かけることがよくあります。
自分がパワフルだということを
頑なに認めなかったり、
美しいということを否定したり、
愛されているということを
受け入れられなかったり。
そうして「不幸な私」ポジションで
落ち着きながら、満たされない気持ちを
しっかりつかんで、被害者意識や
劣等意識の暗示を繰り返し自分に
言い聞かせています。
一体これ、何のためにやってるんでしょうね？
やっている人は多分、
自分がそんなことをしているなんて
ほぼ自覚はないでしょう。
でも、今ここに書かれたことを読んで、
あぁ、確かにやっているかも、
と思う人はいると思います。
叶わない在り方から、
肚を決めて本当に自分が望んだ
自分を生きようとするなら、
同じ世界にいながらにして、
その世界の別の次元を生き始めるでしょう。
自分に流れ込もうとしている
あらゆる恩寵は惜しみなく、
決してケチ臭くはありません。
自分がどこまで、
受け取ると決められるか
なんだろうと思います。
こんなにシンプルなことなのに、
「不幸な自分」ポジションの設定で
不足感に苛まれていると、
流れ込もうとしている恩寵が見えなくて、
余計なものをゴテゴテと自分に
インプラントし、
欲しいものを手っ取り早く与えて
くれそうな誰かや何かに依存し、
自身の力や尊厳を見失って
いったりもします。
そして、そうやって手に入れた
粗雑なものによって自分を満たそうと
何度も試みますが、
自分の中の渇望感というのは、
それらでは本当には癒えないように
なっているんですね。
癒えたように錯覚することも
あるかもしれませんが、
どことなく心の鈍さ、重さ、
そして気付くとさらに多くの刺激や
快楽を求めている自分に
気づくでしょう。
そういうもので満たせば
あの苦しさが消えると思っていた
かもしれませんが、
結局は大層な遠回りをして
様々なものを失って
元のところに戻ってくるのです。
そして、死の間際に
自分の人生は一体、何だったのだろう？
と思ってもこの人生ではすでに手遅れ、
という人生を魂が繰り返している人もいます。
どうしたら満たされるのか、
私たちは壮大な探求の旅路の中で、
迷子になっているのです。
その旅路の途中で、
幾度もヒントを受け取ったでしょう。
でも、わからなかった。
生かされなかった。
それでも、少しずつ私たちの心は
気づきに向かって歩み続けていて、
あるとき、何度も聞いたあのヒントの意味が、
ハッと心に鮮明な像を結ぶ時が
やってきます。
ひとつ前の人生では、あるいは、
二十歳の頃、３年前には気づけなかった。
人の親切に唾を吐きかけて
ドブに捨てるような自分だったのが、
気の遠くなるような歩みの中で、
その気づきの瞬間に向けて、
あらゆる伏線が集約していきます。
壮大な、命のタペストリーですね。
唯一無二の、自分だけが織りなす
魂の歩みの立体的な模様。
さて、あなたは今、
自分がどれだけ受け取ることを
自身に許しているでしょうか？
そもそも、あなたが本当に
受け取りたかったのは、
どんなものだったのでしょうか？
すり替えすり替えの代償ではなく、
一番最初に求めていたものです。
それに気づいたときから、
あなたは人生の別のレベルを
生き始めるのかもしれません。