孤独や淋しさは多くの人にとって、
人生で最も避けたいものの一つ
と言えるでしょう。
一人ぼっちになりたくないから、
自分を大事にしてくれない人に執着し、
離れられなかったり、
手離すべきものを手離さずに済むならばと
自分の大切なもの、ときには魂でさえも
売ってしまうようなことをします。
それほど、
あの絶望的なまでに耐え難い孤独や淋しさは、
多くの人にとって恐怖の対象なのです。
いくつもの人生を越えて魂の旅を続ける私たちは、
そうした孤独や淋しさの中で、恐れおののき、
途方に暮れて、逃れられない苦しみを
骨の髄まで味わった経験があるのでしょう。
だから、
少しでもそんな状況になってしまいそうな
場面になると、全身全霊で逃れようとする
モードにカチッとスイッチが入ってしまって、
冷静に考えたらまるで筋の通らない
行動に出てしまうのも、自分の意志では
もう止められなくなっているのですね。
孤独や淋しさは、
しばしば多くの人間関係において
破滅的な歪みをもたらす元凶になっています。
親子や友人、パートナーなどの関係性で、
これらを利用してパワーゲームや取引が
日夜繰り広げられています。
認めてほしければ、
愛してほしければ、
特別な存在でいたければ、
〇〇をするのだ、とか、
私を見捨てないでほしい、
愛してほしい、
側にいてほしい、
一人ぼっちにしないでほしい、
だから、必要以上に自分を差し出してしまう。
どこにでも見られる、
ありふれたとさえ言える構造パターンです。
自分の中にもあると気付いている人もいれば、
ただただ飲み込まれて制御不能になっている
人もいたり。
こういうパワーゲームに巻き込まれず、
そして自分の中の孤独や淋しさを
モンスターのようにさせずに
制御するには、
しっかりそれらを統合していく
必要があります。
これは、人生を生きる上で
誰もが必ず通過しなければいけない
関門であろうと思います。
より豊かで幸せな人生を送るためにも、
また霊性の深まりや成長を望む人にも、
必ず含まれる魂のカリキュラムの一つです。
自分で自身の孤独を受け止められたら、
相手に自分を差し出して、
孤独を埋めてもらわなくても
大丈夫になります。
コントロールされる理由はなくなりますね。
自分で孤独を抱きしめ、満たして
自身の力で、力強く自立して人生を選択し、
誰かを当てにして生きる不自由さから
全く解放されます。
もう、出口のないパワーゲームの
フィールドにかかわる要素が
自分の中にはなくなるのです。
そのゲームの参加者の共通ルールとは別の、
自分のルールで生きることができるのですね。
そうして初めて率直に、誠実に
気持ちの良い下心のない人間関係を
構築できるのです。
相手に埋めてほしい心の空虚さがある内は、
本当の信頼関係や愛など、
育ちようもありません。
結局そんな状態で構築する関係性というのは、
自分が相手を利用できるのかできないのか、
という基準で振り分けられた「取引」であって、
利用価値がなくなれば終わりです。
自分が嫌だと感じるときに嫌だと言い、
してほしくないこと、してほしいことを
素直に伝えられるためには、
自分のその言葉が受け入れられても
受け入れられなくても、
どちらの結果でも湧き起こる気持ちを含めて
受け止められなければ、言えないでしょう。
もしこれを言ったら、
私の孤独を埋めてくれているその人が
私を去って、一人ぼっちになってしまう
なんていう恐れがあるときに、
正直な気持ちなど素直に表現
できるはずないのです。
孤独にならないために、
嫌なのにいいよ、と言ってみたり、
したくないことをしてみせたりして
何とか相手をつなぎとめようとして
しまうでしょう。
そんな行為を重ねていくにつれ、
自分の心は痛々しいほどに傷つき、
自尊心を失い、ますます無力感に苛まれます。
だから、
その孤独を抱きしめて、
深く命の呼吸を送り、
統合していくことが
自立の第一歩なのです。
そうして歩むほどに、
あなたは自分の力を取り戻し、
健全な自尊心が育まれ、
健全な人間関係を構築して
一人ぼっちにならなくなります。
多くの人と仲良く、
殺伐とした取引ではなく、
豊かな信頼関係をベースにした
人たちに囲まれているでしょう。
同時に、霊的な成長の上でも、
最も大事な核心のところは、
どんなに優れた師についていたとしても、
絶対に自分一人で行かなければいけない
プロセスがあります。
それは、ただ神と自分だけの
とてもプライベートで、
何人たりとも入り込む余地のない、
非常に神聖な対話なのです。
そこを通過するときに、
人は深い変容を体験し、
不可逆的にこれまでとは違った
存在になるのです。
孤独のイニシエーションですね。
だから、孤独への恐れを越えて、
未知の向こうの世界を開いていきましょう。