感情解放ワークでは、意識が身体の中にしっかりいるようにして、感情を感じることが大切なのですが、これが案外難しいと感じる人が多いようです。
感情を感じるのに身体の中に居るってどういうこと?と思われるかもしれませんが、私たちはしばしば、ネガティブな感情、たとえば悲しみや怒り恐怖などを感じたときに、それがあまりに心地悪かったりするので、無意識の内に意識が身体から抜けてしまうことがあるのです。
そう聞くとびっくりされる方もあるでしょう。けれど、これは特別なことでも何でもなく、誰しもが普通に経験していることです。
とても緊張して頭が真っ白になって身体の感覚がなくなるような状態も、意識が身体から抜けていますし、先生や上司からこっぴどく叱られているときに上の空になるのも、意識が今ここにはいない状態です。
そうではあっても、普通に動けるしそれなりに受け答えもできるので、私たちは自分の意識が身体から抜けているなんてことは想像もしないでしょう。
けれど、感情解放のワークをする時に、自分の意識が今どのような状態にあるかということは、とても大事な要素になってきます。
なぜなら、意識が身体から抜けた状態でいくら感情表現をしたとしても、感情のエネルギーが完了することは無いからです。
ワークでは、心と体と魂がピッタリと一致した状態で感情を生きることでそのエネルギーが完了するので、我を忘れて悲しみの没頭したり、怒りの中に自分を見失うなどといった状態では、ワークとしては不完全なのです。
そんなこともあり、ワークショップやセッションなどでみなさんのワークを誘導するとき、私はみなさんの意識がどこにあるのか、常にチェックしながら進めています。
あまりに大きすぎる感情のエネルギーを前にしたときに、ふっと意識が飛んでしまうこともよくありますし、突然噴き出してきた混乱などのエネルギーに巻き込まれていつの間にか思考の中に逃げ込んでいることもあります。
特に混乱は慣れないと捉え難いエネルギーなので、自分でも気づかぬうちにこれを理性でどうにかしようとあれこれ考え始めて、「どうしたらいいか分からない」と途方に暮れていることが多くあります。
こんなとき、混乱は他の感情と同じように、あるがままに混乱した感じをそのまま受け止めていけばいいだけです。どうにかしようとする必要はありません。
とても居心地が悪いエネルギーですが、コツさえ掴んでしまえばさほど難しいことではなく、自分が混乱しているのだと気づいたら、それを身体のどこで感じているかを捉えてゆっくり命を呼吸で送ってあげるだけです。
しっかり捉えられていれば、混乱した気持ちはやがて落ち着いてきます。
混乱のエネルギーが厄介なのは、気づきにくいのでついうっかり飲み込まれてしまいがちであるということです。ワークをする時に、自分が混乱していないかどうか、特に意識するようにされるといいでしょう。
ショックも似たようなところがありますが、混乱よりは比較的受け止めやすいエネルギーではないかと思います。
誰しも、苦手とする感情はあります。混乱しては動けなくなってしまうので、動けなくならないように混乱を感じることを自分に禁じている方もよく見かけます。
混乱のエネルギーがあるのに絶対にそれに触れてはならないと自分に禁じているので、余計に気づきにくくなっているケースです。
また、弱みを見せてはならないと思っているので、自分に泣くことを禁じている方とか、怒りの凶暴なエネルギーで過去に失敗したことのある方は、絶対に怒ってはならないと、怒りを強烈に抑圧している方もあります。
感情のエネルギーは、抑圧すればするほどに凶暴さを増し、モンスターのように手が付けられなくなっていきます。そして、様々な形で自分をジワジワと痛めつけるようになります。
孤独を抑圧した結果、耐え難い孤独が心の奥底に永久凍土のようになって貼りついている方もありますし、狂おしい淋しさに耐えきれずに、だれかれ構わずしがみつかずにはいられなくなっている方もあります。
人生のあらゆる辛さの根底にあるのは、自分の感情に適切に対処できないことからくる、切り捨てられた感情のカケラたちの絶望であるような気がします。
自分自身と戦うのではなく、和解し、本当の信頼関係を築いていくことによってのみ、癒され、安堵して行けるものがあります。
いくらヒーリングやセラピーを受けてすっきりしたとしても、自身との関係が不健全なままであるならば、すぐにまた終わったはずの苦しみは復活するでしょう。
本当の癒しは、自身の在り方の方向転換を伴うものです。よくよく注意を払っていきましょう。