人間、生きていれば色々と思い通りに
ならないことって、ありますよね。
中には、何もかも思う通り、あるいは
思う以上に素晴らしいことばかりが
起こっていく人もあるかと思いますが、
壁にぶつかって打ちひしがれることも、
たくさんあるだろうと思います。
人生はそもそも平等などではなく、
人それぞれに持っている背景によって、
ちょっと努力しただけで抜群に結果が
出る人もあれば、人の何倍も努力しても
結果が出ないケースも確かにあります。
これだけやっているのに、なぜ？と、
そんな自分を悲しく感じたり、
惨めに感じたりもするでしょう。
そんなとき、中途半端に
「きっとこれにも意味があるんだ。
後でこれがどんな糧になるかわからない。
これはこれで良かったんだ」と自分を
納得させるよりも、
素直にその悲しみや悔しさ、惨めさ、
怒りや諸々の心の叫びを存分に味わい、
表現することは大事かな、と思います。
これはこれで良かった、意味があるんだ
と思うこと自体が悪いとは言いませんが、
頭で納得させて気持ちにふたをしている
のだとしたら、
抑圧された感情は後で必ず膿み腫れて、
心は重く、すさんでしまうでしょう。
自分の努力の限界を超えてぶち当たっても
ダメなことって、あるんですよね。
それは確かに残念なことかもしれませんが、
一方でそのときに、
人は自分を超えたものの力を感じるもの
なのかもしれないと思ったりもします。
人は、努力で何とかできると思う内は、
自分の力を頼みます。
けれど、自分の力ではどうにも
ならなくなったとき、
自分以外の力を受け入れることを、
必然的に学ぶようになります。
これは依存という類の話ではなく、
ワンネスに帰っていくプロセスの一部
なのだでしょう。
エゴがその荒波の中で降参し、
活動停止となったとき、
文字通りの「サレンダー」が起こります。
霊性の道においては、この
サレンダー（降参、明け渡し）が
よく言われますが、
明け渡そうと思ってそれをやっている内は、
本当に明け渡すなんて、できないだろうと
思うのです。
明け渡そうという行為自体が、
エゴから発していますからね。
けれど完膚なきまでに打ちのめされたとき、
エゴは何かしようとする力を失います。
実はその時起こっているのが
まさにサレンダーの状態と言っても
良いのかもしれません。
手放そう、明け渡そうと散々努力しても
できなかったことが、
自分をはるかに超えた力によって、
抱えたものが打ち砕かれ、
すべてはぎ取られていく中で、
強制的に実現されていくのです。
かなりの荒療治ですね。
そうして、
空っぽになった「私」の中に、
恩寵が満ちていきます。
多分、こういうことが起こる人は、
そうでもしなければ、手放すことが
できずにもっと長い間、
悶々としていたか、
あるいは、
その荒療治を受け入れるだけの
準備が、魂のレベルで整った人
だったのかもしれません。
人生の試練がやってきたとき、
その惨めさに自己憐憫に浸ったり、
中途半端に拗ねたり自分を閉ざすよりは、
己のすべてをさらけ出して、
何の見返りも期待せずに人生に
飛び込んでいくのも、一興かも
しれません。
見返りを求めないのは、
プレゼンスの時と一緒ですね。
「今ここ」に在ることで何かいいことがある
と期待してそれをしようとすると、
プレゼンスから遠ざかるというやつです。
古今東西の真理の探究者たちが、
自ら進んで生死をさまようような
厳しい修行をしたのも、
「自分」という枠を超えたものに出合い、
それが自分の中に流れ込んで一体化する為の
通過儀礼のようなものだったのでしょう。
今ここにいて、愛が、自分の中を
流れていくことに自分を開いていると、
今この瞬間から、無限のエネルギーが
自分を満たして行くのを感じます。
エネルギーというと、なんだか無機質な
感じにも取れてしまいますが、
それは霊の渇きを癒す、温かいもの。
美しく、とても安らかなもの。
そして言いようもなく、
ただひたすらに有り難いもの。
ずっと、これを求めて来たんだな～
と感じられる、満ち足りた感覚。
私たちは、これが欲しくて
あれやこれやに必死になり、はるかな
道のりを旅してここにもにない、
あそこにもなかった、と
駆けずり回っていたのですね。
古来、賢者たちが指摘し続けてきたように、
それは「今ここ」にあったのに。
「今ここ」にいることの、
なんと難しいことだったのでしょうか。
自分を空っぽにして
「今ここ」にいると、
忙しく動き回っていた時には感じられなかった
別のレベルから、自分を満たす力がやってきます。
この世界は、自動チャージだったんですね。
知らなかった！笑
今この瞬間の豊かさと恩寵が、
あなたとともにありますように。