旧盆のこの時期、帰省されていらっしゃる方も多いと思います。
私は生まれも育ちも東京の下町なので、この時期に帰省したことがない
のですが(そもそも実家を出たことが無いし。(笑))、小学生の頃は、
友達が田舎に行くのをすご~く羨ましく思っていたものです。
でもこの年になると、自分の生まれ育った土地への愛着と言うのも
結構自分の中にあったんだな、と改めて感じます。
先日もお伝えしたように、サロン周辺では13日までお祭りで、
昨日から子供神輿や山車が出て結構賑やかです。
今日は大人神輿が町内を巡りますが、明日はいよいよ、
連合で53基のお神輿が大通りに集います。
小さい頃から知っているおじさんやおばさんたち、同年代の
人たちなど、見知った顔が集って準備をしたり、行事を滞りなく
進めていくのを見るのはなかなかに楽しいものです。
そんな中、数年前までは総代としてみんなをまとめていた
ご隠居さんも、今年は車いすで特等席を陣取って、
忙しく動き回るみんなを本当に嬉しそうに見ていました。
長くこの地域に貢献されてきた方なので、みんなが楽し気に
お祭りを進めていくこの場にいることが、なによりも
お好きなんだなぁというのが伝わってきました。
その御隠居さんが、「これはよく○○さんがやってくれた」
と、ある作業をさして突然言われた時があったのですが、
その方は既に今年、亡くなられていた方でした。
「○○さんはもういないんですよ」とお伝えすると、
びっくりされたようでしたが、「でも、青年部がみんな
ちゃんとやってくれていますよ」と言うと、納得されたようでした。
言われてみれば、昔から知っていたあのおじさんもこのおばさんも、
もう随分いなくなったなぁと気づきます。
替わりに、本当に小さかった近所の子が、久しぶりに見かけたら
誰だかわからないくらい立派な青年になって活躍していたり、
私よりも少し上の年齢の、若々しかった青年部の人が、
貫禄たっぷりになって、大きな息子さんや娘さんたちと参加していたり。
そうして世代交代しながら、地域の色々なものが受け継がれていって
いるんだなぁというのをしみじみ感じました。
地域で何か大きな行事をやるとなれば、必然的にあるまとまった人数の
人たちが集い、一定期間、相互にやり取りをします。
その中で、互いの人柄や能力、家族構成からその関係性までの情報が
共有されます。
特に、同年代だけではなく、世代を超えた人たちが集まる場では、
先人たちから伝わってきたことを若い世代の人たちが自然に
受け取るとても良い機会です。
昨今はこうした機会が少ない地域も多いので、とても貴重ですね。
地域誌を作って昔のことを記録として残しておこうという動きも
盛んですが、実際にその人から話を「声で」聞いて伝わるものと、
活字から伝わるものって、やっぱり違います。
特に、同じ地域の人間がその話を聞くのと、そうでないのとでは、
その意味合いに決定的な違いがあるでしょう。
活字にも「行間を読む」という言葉がありますが、
声にもその「バイブレーションの背景を読む」みたいな
情報のやり取りがされているのかもしれません。
お祭り大好き人間の多い地域ですが、この場のバイブレーション
にじっと意識を澄ませてみると、代々このお祭りを大切に思ってきた
先祖たちの思いが深く響いているのが感じられました。
「嬉しい、嬉しい、嬉しい…」とワクワクする高揚感と
抑えきれない喜びといった波動が満ちています。
お祭りって、物理的に地域を活性化する働きがありますが、
いわゆる「魂振り」の意味もあるでしょう。
昨日は午前中、お神輿に魂を入れる御魂入れがあったのですが、
神主さんの祝詞をよく聞いていると、
「この地域の若人たちが、元気に楽しくこのお祭りを
盛り立てていきますように、怪我や事故無く安全に進みますように、
地域や家内のあらゆる災厄を払い、盛り立てていきますように」
と言うような主旨のことを言っていました。
やっぱり、土地のパワーを活性化させ、再生させていって
いるんですね。
ふと思い立って、祖先の思いや受け継ぐもの、というところに
意識を向けると、途端にものすごいエネルギーのダウンロードが
ありました。
本当に胸が切なくなるくらいの「思い」で一杯になってしまって、
覚えず、涙があふれてきました。
今肉体をもって生きている私たちのどれだけが、これだけの思いを
理解し、受け取っているだろうかと思いました。
今、家の中からお神輿のある御仮屋に意識を向けてみると、
お神輿の側に数体の御魂があるのが感じられました。
ただ好きでそこにいる、というよりも、明らかに守っている風です。
歴代の、祖先の御魂でした。
お祭りって、本当に生きている人間や神霊だけで成り立っている
わけではなかったのだと、今更ながらに気づきました。
ネイティブアメリカンが祖先の霊にとても敬意を払うその感覚に
近いものを感じました。
今回のお祭りは、この気づきとともに参加してみたいと思います。