怒りについて

私たちはよく、様々な感情に対して
ネガティブとポジティブなものがある
と思っています。

でも、私のお伝えする感情解放ワークでは、
感情それ自体にネガもポジもない。

ただ、うまく対処できなくて辛い思いをする
ことの多い感情がネガティブと言われ抑圧され、

心地良くて比較的他の人にも受け入れられやすい
感情がポジティブってラベルを貼られているだけ
ということをお伝えしています。

たとえて言うなら、
24色の色鉛筆の中で、黒は悪で、
ピンクは善だとかないですよね。

黒はただ黒いだけ、ピンクはただピンクだ
というだけで、それをどう使うかで
様々な表現が生まれます。

感情もそれと同じで、それに対して
私たちがどういう態度を取るかによって、
様々な意味づけをされているだけです。

中でも、ネガティブと言われる感情の
最たるものが怒りです。

怒りって、とても凶暴なエネルギーですよね。
しかも理屈は通用しない。

だから、感情のエネルギーをうまく昇華させて
あげられないと、暴発して八つ当たりなどで
人を傷つけたり、自分がすごく気まずい思いを
したりします。

だから、多くの人は抑圧してなかったことにするか、
それでも抑圧しきれなくてじわじわ漏れ出して、
ちくちく嫌味を言ってみたり、黙って
ピリピリとした空気を放ってしまったりするのです。

抑圧した凶暴な怒りのエネルギーは
どうなるかというと、自分自身に向かいます。

人に放っていたらひどく相手を傷つけただろう
そのエネルギーが、そっくりそのまま
自分を傷つけるわけです。

すると、突然死にたくなったり、
鬱的な気持ちになったりということが
起こってきます。

心当たりのある方、
少なくないと思います。

こういう場合、本当は誰に対して
怒っていたのかを明らかにしなければ
なりません。

レナードは、
唯一不健全な怒りがある。
それは自分に向けた怒りだ。
と言っていますが、

その怒りは本当は、何か違うものや人に
向けていたはずのものなのです。

その怒りを、健全で責任を持った方法で
表現しなければいけません。

怒っているのに抑圧するケースとしては、
大切な仕事の取引先だったり、
愛されたいと思っているパートナーや親だったり、
とにかく嫌われたくない相手ですね。

だから必死に自分の中の怒りを
相手に知られないように隠します。

ときに、自分ですら気づかないくらいに
瞬間的に、深く深く抑圧してしまうのです。

その抑圧という行為の奥にある動機には、
必ず恐れがあります。

仕事を失って家族を路頭に迷わせてしまう、
食べていけなくてひもじさと惨めさに
打ちひしがれてしまう恐怖とか、

淋しさを埋めてくれていたパートナーや、
自分を養育してくれる親から嫌われ、
愛されず、見捨てられてしまう恐怖など。

これを味わいたくないから、
感情を抑圧しているのです。

ということは、抑圧を解除するには、
これらの恐れを統合すればいい、
となります。

まずこういう構図を押さえましょうね。

基本的に、怒りは
何かしてほしいことをしてもらえなかったか、
してほしくなかったことをされたかの
どちらかで心が傷ついたときの反応です。

怒っている人は、傷ついてるんですね。

ではなぜ人は傷つくと怒るのか。

傷つくと私たちは自分が弱々しく感じます。
それを本能的に危険と感じて、
荒ぶるエネルギーを発動して
強く見せようと反応するのです。

これが怒りなんですね。

だから、怒りを統合するときは、
自分が傷ついていることを認めることとか、
本当はどうしてほしかったのかを
表現することなどを、

イメージワークを通して相手に伝えたりすることで
抑え込んだ、最初の苦しみを認め、受け止め、
吐き出していくということをしたりします。

そして、イメージの中の相手とのやり取りも、
大切な統合のプロセスです。

ここはワークをしてみるとその人その人で
様々な展開があるのですが、

相手の思いを誤解していたり、
単に相手は気づいていなかっただけだったり、
あるいは、自分と同じように逃げていたり
色々なケースがあります。

こういうすれ違いや逃避の部分を
丁寧に統合してあげると、
相手とは必ず和解できます。

私がセッションした経験では、
本当にちゃんと向き合った人で
和解できなかった人はいませんね。

たとえそれが何十年の憎しみと怒り
であったとしても、です。

できないのは、自分の怒りの原因を
相手に責任転嫁していたい人だけです。

つまり、
自分が悪者になりたくないとか、
被害者でいた方が都合がいい
というスタンスの方ですね。

それはもうご本人の選択なので、
私がどうこうできる領域ではありません。

道は自分で選ぶのです。

話を戻します。

だから怒りは、対処すべきことがそこにある、
ということのサインだと私は思っています。

ことさらに、怒りを悪者にする必要は
どこにもありません。

いつもニコニコ、何があっても受け入れて
なんていうのが「次元の高い人間だ」なんていうのも
大きな勘違いだと私は思っています。

怒らなければならないときは
大いに怒るべきだし
(ただし八つ当たりではなく
責任を持った方法で)、

看過できないことが起こったのなら、
直ちに行動すべきだと思うのです。

畏怖相の姿の神仏もたくさんいますが、
怒りも喜びも、ともに神聖な感情の一つです。

眠ったようにまどろんだ意識で
悟った風が上等なのだ、などと、
くれぐれも勘違いしないように。

そのような存在がどれだけ自身の感情を
マスターしているのか。

見極める目を養いたいものだと思います。

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