硬質な強さの奥にある脆さ

セッションしていると、その方自身を含め、
その方の人生で関係してきた
様々な人たちにも、エネルギー的に
触れることがよくあります。

目の前にいるのはその方一人なのですが、
その方のエネルギーを辿って、

ご主人だったりお子さん、ご両親、
今は亡きご先祖様たち、たまたま
ある出来事で関係しただけの人でも、
必要に応じて、気持ちや時には生い立ちまで
辿ることもあります。

そんな中で、たまに、ものすごく強い人だな
と感じる人に出会うことがあります。

絶対に弱音を吐かないし、
自分にも人にも厳しい。
不屈の精神を奮い立たせて
己の信念を貫き通して生きているような、
そんな人です。

セッションの中で遭遇するのは、
今の時代の人というよりは
戦後の厳しい時代を生き抜いた世代の
方たちが多いように感じます。
もちろん、ほとんどがもう故人ですね。

筆舌に尽くしがたい苦難を味わっても、
泣いてなんかいられない、

それよりも今この瞬間をどうにかして
がむしゃらに生き抜いていかなくては
いかなかった、そういう経験を
潜り抜けてきた方たちです。

苦難の理由は戦争だけに限りませんが、
今回取り上げたいのは、
強くて優しい人ではなく、
鋼のような、硬質な強さを持つ人
についてです。

間違いなく、厳しい人生の荒波が
その人をそのように叩き上げたのでしょうが、
そのあまりの硬質な印象に、人間としての
不自然さも感じるのですね。

そこでその違和感をジ~っと読んで行くと、
その極端な強さの奥に、今にも崩れ落ちそうな
脆さが見えてくるのです。

不自然なまでの強さは、その脆さを
必死で支えるために作り上げた
鉄壁の防御と支えの鎧なのでしょう。

もしその人に、その弱さや脆さを指摘したなら
顕在意識レベルでは否定するかもしれません。

そんなはずはない。私は強いのだと。

自分の正義を絶対的に信じ、怒りや悲しみ、
口惜しさをバネにして人生を突き進んできた人
特有の、自身の弱さを否定するが故の
伸びやかさ、おおらかさの欠如。

それがいいとか悪いとかではなく、
ただその人はそうやって自分を支えて
生きてきたのです。

今の時代でももちろんこういう方は
たくさんいらっしゃると思うのですが、
何もかもを飲み込んでとにかく前へと
生きていた時代の人たち、独特の
質感はありますね。

セッションに来られた方の様々な
生き辛さのお悩みを辿っていくと、
しばしば幼少期の家庭環境にたどり着く
ことがあり、

さらにその家庭環境を形成する
両親や祖父母、親戚など周辺の人たちの
影響を見ていく中で、こうした人物に
出会うことがよくあるのです。

男性もいらっしゃいますが、
圧倒的に女性の方が多いかな、
という印象があります。

時代的にも、男性たちは戦地に出征し、
銃後を守っていた女性たちがその後
未亡人となって一人で家族を支えていた
というケースが多いせいもあるかも
しれません。

今の時代も大変ですが、あの戦後の混乱期、
誰もが生きるのが精一杯だった中で、
女一人で幼子を抱えて生きていくのが
どれほど心細く、困難であったか。

そんな、今とは全く違った
必死な大変さがあったのです。

人それぞれの事情の中で生じていた
様々な気持ちがあったでしょうが、
今にも泣き崩れそうな心細さや悲しみ、
絶望などは固く、心の奥に封印されています。

自分に感じること、表現することを
許さなかった弱さは、他者に投影されたとき、
徹底的にその弱さを攻撃して厳しい態度を
取ってしまったりするようになるのですね。

そこから、家庭環境が非常に緊張感のある
厳しいものになって、そこで育った親が、
子を持ち、多かれ少なかれ、子供の中に
自分が許してもらえなかった弱さを見て
攻撃する、という連鎖になっていたりします。

こういう連鎖を解くときに、
世代をさかのぼって傷ついた気持ちを
ケアしていくことをやったりするんですね。

そうすると、イメージワークではあるのですが、
実際に今のその人の気持ちがとても穏やかに、
緩んでリラックスしていく、ということが
あるのです。

世代を越えて、伝わっていく体験の記憶や傾向も
エネルギー的にDNAに刻まれるものもある
でしょうけれど、

一方で、その人とともに過ごす中で
受けた影響によって構築されるものも
とても大きいだろうと思います。

いずれにせよ、どちらの影響も
エネルギー的には確かにその人の中に
刻まれてはいるので、そこに記録された
強いストレスを解き放つことは、

その人だけではなく、いわゆる
家系のカルマともいえる癖というか傾向を
転換していくきっかけにもなると思います。

なかなか根深いものもありますが、
癒えていくと、確かにそこに晴れやかな軽さ
というか、明るさが感じられるようになります。

人によって、取り組みの切り口は様々ですが、
時には、顔も名も知らぬそうしたご先祖様たちが
生き抜いてくださって、つないでくださったこの命に
思いを馳せ、感謝を届けてみてもいいのでは
と思います。

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