人に本当に向き合うというのは
難しいことだと、いつも思います。
何事もそうですが、正解というのは
一つではありません。
互いがどんなポジションを取るかで、
無数の正解が出て来ます。
ほんの少し、自分の立ち位置、
相手の立ち位置が変わっただけで、
正解も違ってきてしまうのです。
なぜなら、ポジショニングの取り方で、
世界の見え方が違ってしまい、
現れる扉や、見えなくなる扉が
あるからです。
たとえば、あるポジションから見たら、
世界には可能性の扉が3つ見えて、
真ん中の扉が正解に見えるかも
しれません。
けれど、自分がほんの少し左に寄って、
相手がほんの少し下にズレていたら、
正解の扉は上下に２つ見えて、
上の方が正しく見えるかもしれません。
私たちが生きる現実世界での正解は、
こんな風に固定されたものではないことが
とても多くあるのではないでしょうか。
セッションしていても、
問いかけ、誘導していく私が少しでも
怠惰なスタンスで居たら、見えてこない、
開いていかない扉があるだろうし、
ガイドさんたちも、私がもし
ある可能性について一歩も引かない覚悟を
持っていたら、「それなら」と言って
見せてくれる扉もあるかもしれません。
もちろん、セッションは互いの共同作業なので、
私一人の在り方で変わる領域は限られている
でしょうけれど、
本気で臨んだ時に、３つ先の扉までは
突き抜けていく可能性が開くかもしれないし、
最初の扉さえスルーしてしまうことも
あるかもしれない、という感覚はあります。
とは言え、私が見て取ったその人の可能性が
本当にその人にとって最善だろうか？
ということは、常に繰り返す問いではあります。
何をもってして最善というのかは
その時私が見て取ったその人の在り方や意識
によって違ってくるでしょう。
対話の中で、霊性の奥深い扉への可能性が
どんどん開いていく人もいますし、
そういうときは、私も遠慮や迷いなく
その方向への道しるべを読み取って行けます。
一方で、その人の意識が見ている世界における
居心地の良く落ち着けるところを正解に
落としどころを探っていくこともあります。
本当に、互いの在り方で引き出される正解が
違ってきますね。
私は常々、自分が置かれた状況から
どれだけ引き出し、汲み上げることが
できるだろうか、ということを
考えているのですが、
その状況を何の変哲もない、
つまらないものだとみれば、
何も見るべきものもなく、意識は眠り、
ざるのように様々なものが
すり抜けていくでしょう。
けれど、同じ状況を見ても、
無数に何かを汲み取り、
自分にとって有用な何かを得ていく
意識の人もいます。
たとえば、今自分のやっている仕事が
つまらない、ただ時間をひたすら潰していく
だけのものと捉えれば、
その時間の自分の人生は死んだようになり、
息を止めて通り過ぎていくだけのような
ものになるでしょう。
けれど、その同じ時間に
仕事の流れの中での効率の良い動き方を
工夫してみたり、
職場や得意先とのコミュニケーションに
目を向け、より深く知ろうとすれば、
さらにそれがパフォーマンスにもつながったり
その仕事が自分に合わないのであれば、
どのように合わないのか、自分の適性を
より深く考察する時間にもなるでしょう。
自分の人生の時間を死んだ時間にしないで、
生かすには、そこから自分が何を
汲み上げればいいのか。
そんなことを考えています。
見ようとすれば、いくらでも見るべきものは
尽きることがありません。
一方でまた、別の在り方で
受け取るべきものを受け取るときもあります。
それは、見ようとするのではなく、
溢れてくるもの、流れ込んでくるものに
ひたすら自分を開いて在る、ということです。
そういうものは、見ようとしているときには
気付けないし受け取ることもできません。
私自身、セッションの中では
両方の意識の使い方を無意識に切り替えながら
やっているようなところもあるのですが、
見ようとしているときは、自分の日頃の
思考の癖や主観が入ってしまう可能性が
大きくなるので、
しばしばいったん引いて、
全体から眺めるようなことを
していたりもします。
それでも、思考の癖や主観の要素を
排除することはできないでしょう。
排除できないということを前提に、
その場その場での最善を探っていくしか
ないですね。
けれども
人生の導きというのは面白いもので、
そうした歪みや癖などの要素を
織り込み済みで示されるように
感じることもよくあります。
まぁそれはそれで最善なんだろうな
と思いつつ、自分自身の未熟さの言い訳には
しないで、精進していこうと思います。