本当は何に対処すべきなのか

感情解放のセッションでは、
よく相手の意識の中に入ってみて、
その視点から自分を見てみる、
という意識の移動というのをやります。

これは、よく言う「相手の立場に立つ」
とは違うんですね。

相手の立場に立つという場合は、
意識は自分の中にあるままで、
相手の気持ちなどを想像しているわけですが、

意識を相手の中に移動させるというのは、
普段は自分の体の視点から見ている意識を
そっくり相手の中に移動させるわけです。

これで何が違うかというと、
読み取れる情報が全く違ってきます。

自分に意識がある状態からだと、
どこまで行ってもそれは
想像でしかないわけですが、

相手の中にうまく入れると、
相手が感じているもの、
考えていることがそっくり
わかるんですね。

何を恐れ、何を好み、
どういう動機でそういう言動に
なっているのか、というのが
わかるのです。

自分の側から想像しただけでは
わからない、思いもしないような
動機が見えてきたりして、

ものごとの捉え方が
大きく変わることもよくあります。

たとえば、自分に厳しく接してくる上司が、
きっと自分のことが嫌いなのだろうと
思っていたら、

ものすごく気にかけてくれていて、
危なっかしい自分の在り方を
注意してくれていたのだと知ったり、

裏切られたと思った友人が、
実は裏切ってなどおらず、
本当に自分を助けようと
してくれていたことに気づいたり。

こういうことに気づいてしまったら、
恨みや憎しみのわだかまりは
一瞬で溶けて、

それまで自分が思い描いてきた
世界観が根底からひっくり返って
しまいますよね。

またその反対に、
信じていた人が、実は自分のことを
利用していただけだったことを知ったり
というケースもあります。

このようなことが分かってくるので、
セッションでも、うまく意識の移動が
できるかどうかは別として、
まずはチャレンジしていただいてます。

とは言え、もちろん、抵抗が強すぎて
相手にうまく入れないケースも
あります。

そういうときは、
前段階で色々やるんですが、
ここで言えることは、

抵抗が強いほど、
その相手は自分のある側面を
強烈に映した鏡だということです。

どこがどう鏡なのか、
にわかには信じがたいそのことが
本当に真実なのかどうかを知るために、

心を閉ざし、相手をブロックする以前の
自分の在り様を深く見つめていくのです。

そのときに大切なのは、
相手のその強烈な姿がもし自分自身
であったとしても、それが真実であるなら
認めようと思うかどうか、という点です。

受け入れがたい、という思いがあるならば、
真実は見えてこないでしょう。

無ければ無いで良いけれど、
本当にあるなら認めよう、という姿勢でないと、
真実の扉は開かないのです。

そして、その扉が開いて
自身の今現在の在り様を本当に認めたときに
変容が起こります。

あんな人のようにはならないようにしよう
ときつく自分を戒めるということは、
その要素がどこかに自分の中にある
可能性があることを自ら示しています。

いつそれが出てしまうかわからないから
戒めが必要なのです。

けれど、本当に認め、受け入れて
変容が起こると、その可能性自体が
消失します。

だから、
戒めの必要のない自分になるんですね。

そこまで来て初めて本当の統合と言える
と私は思っています。

戒めというのはマインドの領域で
為されることで、根っこは厳然として
残った状態です。

芽を摘むだけではなく、
しっかり種に対処していきましょう。

戒めのない自分は、
戒めを持っていた自分よりももっと自由で
のびのびしています。

自分とは違う価値観に対しても、
頭から否定せずによく観察し、聞き、
柔軟に対応できますし、

表面的なところですぐにジャッジメント
しないで、その姿形、言動の奥にあるものを
じっと見つめ、捉えようとする
度量も育っていきます。

自分にキツイ戒めを持つ人ほど、
価値観から外れた存在を厳しく断罪し、
攻撃しようとしますね。

それはすなわち、
自身の心の奥にある
自分自身を断罪し、攻撃している
に他なりません。

だから苦しいのです。

ジャッジメントをおいて、
強烈なその相手の姿を見つめてみましょう。

そして、ざわつく自身の感情を
まず深く受け止めてみてください。

なぜそんなにもざわついているのか、
その感情はどこから来ているのか。

恐らくそれは、今ではない、ずっと前の
何かの出来事からきているでしょう。

そこで味わったあらゆる不快な感情を
きちんと受け止め、生き切ることができたら、
その瞬間からあなたはもうその人には
なんのわだかまりも湧いてこないでしょう。

魔法のようです。

だから、今体験している生き辛さの原因が
どこにあり、本当は何に対処すべきなのかを
誤らないことです。

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