たま～に聞くんですが、
自分さえ我慢すれば、和が保たれる
って考え方。
私はこの考え方には、
はっきり言って、Ｎoです。
これも以前どこかで書いたことが
あるのですが、
我慢するということは、
自分の気持ちを押し殺して、
無理をしているということですよね。
どこかに無理をさせて保たれる調和は、
本当の調和ではありません。
職場でも友人関係でも家族でも、
表面上は和を保っているように見えて、
そういう関係性は、不調和です。
自分の本音を表現してしまったら、
見せかけでも保たれているこの平穏が
壊れてしまう。嵐がやって来る。
それが耐え難い。
自分さえ本音を飲み込めば、
穏やかに過ごせるのなら、
そのくらいの代償は安いものだ
っていう選択をしているわけですね。
そういう選択もアリとは思いますが、
そうやって自分の気持ちを自ら
軽んじていると、
その偽りの平穏の代償は、
利子がついて、案外大きなものとなって
軌道修正を迫ってくるようになるものです。
自分の思いや気持ちなんて、
たいしたことないんだ、っていう
扱いをしていると、
鏡の法則を通して
他者から自分が自身にしているような
扱いを受ける状況を引き寄せてしまいますし、
尊厳を奪われた気持ちのカケラ君の絶望は、
自分自身の生きる気力と生命力を
ジワジワと奪って行きます。
何をやっても喜びがなく、
何かする前からすでに諦めていて、
だから何をする気力もなくなっていくのです。
これでは、生ける屍ではないでしょうか。
時に、人間には戦わねばならない時が
あると思います。
平和や調和がすべてであり
戦いは下等なものというのは
私は違うと思っています。
何と戦うのか、どんな風に？
と言うのはその時々で、
小さなものから大きなものまで
あるのでしょうが、
いずれにせよ、
自分の尊厳を守るための戦いを
放棄してはならない、と
私は思うのです。
と言っても、そんなに大仰なこと
ばかりではなくて、小さなこと、
たとえば、
本当はこんな気持ちなんだ、
だからこんな風にしてくれたら嬉しい！
とかの自分のニーズを表現することを
少しずつでもしていくとか、
ちょっと勇気を出せばできそうなことって
あると思うんですね。
普段はそういうのも有無を言わさず
抑圧しているけれど、それを
飲み込まずに表明してみる。
結果は、案外するっと受け入れられる
時もあれば、そうでないときも
あると思いますが、
言わずに飲み込んだ時と、
言ってダメだった時では
自分の気持ちが全然違うと思います。
自分が幸せになるために
自分のニーズを表明することは、
自分自身への義務でもあります。
自分以外に、誰がそれを
やってくれるというのでしょう？
誰かが叶えてくれるのを
いつまで黙って待っているのでしょうか？
自分への義務を果たすほどに、
忘れていた自分の力と可能性を
思い出すでしょう。
安易に自分の思いを握りつぶして
飲み込むのは、死への道だと
心しましょう。
みんなのために自分が我慢して
あげてるんだというのは
傲慢な錯覚です。
それは、みんなのためではなく、
自身が易き偽物の平安に逃げたが故の
結果なのですから、自分の為であり、
それをみんなの為と恩を売ろう
とするのは、間違いです。
そうして、我慢に我慢を重ねて
爆発する人がいますが、
それはお門違いというもの。
そのとき我慢をすることで、
得ていたものが確かにあったのですから、
自身の選択の結果を受け止めるのが
筋でしょう。
いくら相手の態度がひどかったとしても、
その人にその態度を許していたり、
増長させてしまったのは、これまでの
自分の接し方もあったでしょう。
関係性は
一方的にどちらかが悪いということはなく、
お互いさまのところがあると思います。
その関係性が嫌なら、
自分が下りればいいだけのこと。
すぐには下りられない状況であるなら、
きっと、手放していくべきものを
手放せるようになる自分を整えていく
プロセスの中で、学ぶことがあるのでしょう。
そこから目をそらしたくて、
ただ我慢しているのではありませんか？
我慢は自分の中に歪みを生むだけでなく、
相手の中にも歪みを生みます。
相手の気づきのチャンスを奪い、
成長を妨げることに加担することに
なるわけです。
よく、自分の意見を主張するのは
何だか相手に悪い、と思う方が
ありますが、
なんでもかんでも我儘を言いたい放題
言うのではなく、互いに本音で健全な
コミュニケーションが取れるというのは、
自分が気持ちいいだけでなく、
相手にとっても貴重な気づきと成長の
チャンスをもたらしているのだと
考えたらいいと思います。
自分の気持ちを飲み込んで、
一人で抱え込む自分と、
きちんと気持ちを表現して、
日々自分を幸せにするために
自分の気持ちを大切にできる自分と、
どちらで在りたいですか？
案外、表現できていれば
こじれずに済む問題も
少なくないように思います。
拗ねる前に、
素直になってみませんか？