一見すると、
何か崇高な理念のように思えるけれど、
掘り下げて行けば、実は
個人的な自己防衛手段だった、
ってことは良くある話です。
今日はそんな話をしてみます。
何か自分を越えた大きなものに
自分を捧げる、というのは
自己犠牲とか滅私奉公みたいな
一般的には尊いものというイメージが
あると思います。
確かに、やっていることは
みんなのためになっているように見えるし、
良いことのように思えます。
けれど、
本当に自己を昇華させたところからの
自己犠牲や己を消した行為であれば、
まさに尊い行為と言えると思いますが、
そうではないときもあります。
どういうことかというと、
自分の欲求を抑圧してみんなのために
行動した方が賞賛されるとか、愛される、
気にかけてもらえ、大切にされるという
思いを持っている人もいるし、
そうすること自体に自身の存在価値を
見出しているケースもあります。
人それぞれに、そのようにして
自分を抑圧する理由は様々ですが、
根本的に利己的な動機からの行為に
共通するのは、
何かしら、必ずそのことから
得ているメリットがあり、
そして、自分を昇華させた先に
その行為があるのではなく、
自分を抑圧し、すっ飛ばしたところで
その行為が成立している
ということです。
この構図は、結構よく見かけるもので、
たとえば、目覚めたい、悟りたい、
宇宙意識に繋がりたい、と思う人にも
共通するように思うのですが、
崇高な理念が、ある種の逃避口に
なっているんですよね。
これは非常によくできたトリックで、
本人もその崇高さゆえに
自分が逃避していることに気づきにくいし、
社会的にも何だか認められてしまう
傾向があるので余計に居心地が良くなって
抜け出しにくいんですね。
そうして、目覚めを求めない、
修行していない人を下に見て、
自分は他の人とは違う！という
優越感に浸ったり、、、
なんてケースもあったりなかったり。。。
自分の人生に真っ当に向き合い、
生きることから逃げる向きは、
どんなに体の良い言葉を取り繕っても
私は逃避だと思います。
本当の自己犠牲、己を滅する精神は、
生きることの苦悩から逃げてはいません。
逃げずに、突き抜けているんですね。
だから、強烈な光を放ち、
そこに多くの人が尊さを見るのです。
利己的な利益を得ながら
他者と絡み合う自己犠牲もどきとは
全く似て非なるものです。
そういう自己犠牲もどきが
周囲にもたらすものは、
やはりどこかに歪みが出ます。
真の自己犠牲は、
周囲の人々にも健全な魂の成長を
もたらしますが、
自己犠牲もどきは、
他者の成長の機会を奪い、
責任転嫁や不健全な依存関係を
助長させます。
だから、受け取る方も、
どこか深いところで重さや不快感を
感じていたりするんですよね。
まぁ、こうした指向性は、
チャクラなどエネルギーボディにも
しっかり表れていて、
自分を生きていない状態が
そのまんま、出ています。
いびつなエネルギーの使い方を
しているので、本当に自身の力を
発揮できているとは言えないでしょう。
だから、人生を引き受けて生きる
力が湧いてこなくて、無力感に苛まれ、
希望を持てず、逃げ出したくなる、
という負のスパイラルにはまっていくのです。
これを転換させるには、
自分が最も逃げているものを
引き受けていくことです。
一度にすべてを受け止めなくて良いので、
今の自分の器でできる範囲で
できることを誠実にしていくのです。
それは確かに、苦しいことではありますけれどね。
そうすると、
自分の器が少しずつ育っていきますし、
もう、言い訳をして逃げている
後ろめたい自分ではなくなりますから、
自分に誇りを持てるようになります。
その誇りこそが、自尊心なのです。
そしてそれが、自信につながって行きます。
私がしばしば言う「真っ当さ」のベースにあるのが
この健全な自尊心なのです。
それは、ただ概念で実現できるものではなく、
自分自身の人生のあらゆる側面を
誠実に受け止めて生きることの実践によってのみ
体現できるものです。
こういう真っ当さを持っている人は、
少々のことでは揺るがない軸というか、
芯を持っていますよね。
決して派手ではないでしょうが、
周囲からは信頼されるでしょう。
自分が何を恐れ、
どのようにして逃げているかに
気付いていくことは、
自分自身を健全に生きるために
不可欠です。
この自分を生きることを恐れず、
精一杯、命を燃焼させていきましょう。