裏腹な心

深く人の心に触れる仕事をしてきて
大前提として私が認識しているのは、
人の心は裏腹、ということです。

人は、必ずしも口で言っていることが
真実とは限らないし、本人も
自分の本心に気付いていないことが
多々あります。

嘘を言っているつもりは
毛頭なかったのだとしても、
それがそのまま真実だと確定して
受け取って良いものでもない
のですよね。

そして、本人が認識していることは、
その人にとっては真実なのだけれど、
それがすべてではないということも。

この辺が難しいところであり、
逆に、そこかしこにちりばめられた
カギを頼りに、隠されたものを
浮かび上がらせていくというところが
セッションの醍醐味だったりします。

本人も認識してすらいない真実を
いかに浮上させていくのか。

誘導していく側は、
その方から発せられる言葉が
真実であるのか否か、

どのような視点から発せられているのか、
その言葉の奥にある感情、真意などを
独自の嗅覚を使って識別していきます。

私の場合は、声の響き、呼吸、
意識のポジション、その他、
微妙なバイブレーションを読みながら

そのポジションからは隠されている、
まだ明らかになっていない要素を
明らかにする、様々な問いかけをして
掘り下げていきます。

そうしていく内に、
隠されていた領域の輪郭が
段々と浮かび上がってきます。

自分は、こんなことを思っていたんだ、
感じていたんだ、わかっていたけれど、
認めたくなくて自分で蓋をしたんだ、
逃げたんだ、等々。。。

無意識の底に沈めたその人の真実が、
顕在意識に浮上し、認識されます。

癒しが起こるには、
まずは本人に認識されることが
必要です。

認識されないものは、
その人の中では無いことになっています。

無いものは、癒せないのです。

だから、どんなに辛いことであっても、
こんなにも傷ついていたのか、
辛かったのか、というのを、
本人が受け止めないといけないのです。

こうして、無いことにしていた
その人の真実が、取り戻されます。

失っていた自分の一部が
再び自分自身に戻ってきて、
癒しが始まります。

分離が深いほど、
真実を取り戻してきたときの
変化は大きく、

魂がそれまでの渇望の日々を
取り戻すが如く、さらなる統合へと
駆り立てる流れに勢いがつくことも
あります。

そうして、
自分がいかに自分自身を切り刻み、
自分ではない人生を生きようとしてきたか、
本当の自分から乖離しているかを
知るようになるのです。

見たくないもの、封印してきたものに
対峙するのは、時に苦しく、
何とも言い難い落ち着かなさが
あるでしょう。

けれど、本当の自分を生き始めた
喜びや安心感を知ってしまうと、
もう自分を誤魔化して生きることは
できなくなってしまうのですね。

誤魔化して帳尻を合わせたところで、
結局それが別の苦しみの元になっていた
ことがわかれば、どうしてそれに
価値を置くことができるでしょう。

中には、軌道修正があまりにも
自分の人生の多くを変えてしまうことを
恐れて、なかなか踏み切れない人、
見なかったことにしたい人、

一度には無理だけれど、
段階的に少しずつ進めたい人など
様々ですが、長い目で見れば、
遅かれ早かれといったところです。

この肉体を持って生きる人生は
有限なので、自分でどんなペースで
進めるのかは、自分次第。
後悔のないように。

裏腹な心の人の弱さ、歪み、苦悩を、
そして、真実を生きる人の
力強さ、凛々しさ、懐の深さを
良く知ることです。

理想を遠くに見るのではなく、
今まさにここで体現するように。

あなたの人生に、無上の喜びを。