自分自身に向き合うと一言で言っても、
なかなかに奥深いものがあります。
向き合っているつもりで
都合の悪いところはスルーしたり
蓋をしたり、肝心なところから
つるりと逃げているなんていうのは
日常茶飯事。
一番の命題は、どうしたら
逃げている自分に気付けるのか、です。
都合の悪いところの声を
本当に聞けるようになるために
クリアしなければいけないことは
色々あります。
けれど、それをクリアして
自分自身に本当に向き合えたら、
周囲の人にもちゃんと向き合えます。
お子さんやパートナー、
職場の人間関係や友人関係、
その他様々な関係性は、
自分とどのように向き合えているかが
そのまま表れるので、
そうした関係性に悩む人は、
まずは自分自身との関係性を
見直してみると良いでしょう。
子供の頃に、ちゃんと話を聞いてくれる
大人が周囲に居なかったことで、
すごく淋しい思いをされた方も
あるでしょうが、
そういう方は、自分がどんな風に
自分や他者に接したら良いのか、
その淋しさが教えてくれます。
決めつけないで、ちゃんと心に触れて、
親身に話を聞き、受け止め、応えてくれる。
口先だけではなく、軽んじることなく、
大切に扱ってくれる。
失敗も、責め立てるのではなく、
大らかに受け止め、励ましてくれる。
などなど、
本当はこんな風に接してほしかった
というその在り方を、まずは自分に、
そして他者にできるようになると
良いですね。
そのためには、寛容さ、忍耐強さが
不可欠です。
他者の気持ちを受け止めようとする時、
自分の中に少なからず、心地良くない
心のざわつきが浮上することがあります。
負担感だったりイライラだったり、
自分の中の抑圧されていた感情の残骸が
掻き立てられて、穏やかでいられないのです。
こうした感情の残骸があると、
本当には相手に寄り添って話を聞く
ということができないので、
まずはそれらを統合していく作業が
肝要です。
この統合作業がある程度進むと、
相手の話を聞いていても苦しくないので
ニュートラルに聞けますし、また、
相手のより奥深い感情に触れても
飲み込まれずにいることができます。
多くの人は、それができないから
自分が受け止められそうにない話は
無意識に避けるようになり、結果として
浅く薄っぺらい人間関係しか
築けないでいるのです。
いつでも深い話ができる必要がある
わけではありませんが、
必要な時に、必要なだけ、適切に
寄り添うことが出来るというのは、
大切なことだと思います。
自分にとって都合の悪い話を聞くというのは
なかなかに負担感の大きなものですが、
そういう話も握りつぶすことなく
ちゃんと受け止めてもらえたら、
相手もすごく信頼感は増しますよね。
都合が悪いから聞かない、
目も合わさない、という態度が
どれだけ残酷か、あなたもどこかで
経験したことがあるのではないでしょうか。
もし経験があるのだとしたら、
相手のその態度は、
あなたが自分自身にしていること
かもしれません。
相手があなたの話を聞くのが
どれだけ大変なことなのか、
自分が都合の悪いところには
目を向けたくない、向けたら苦しい
という、その苦しさと同じなのです。
まずは、自分が自身の辛い気持ちを
はぐらかさずに受け止められるようになることが
誰に求めるよりも先です。
自分の辛さを抱きしめることで、
あなたは愛と安心、信頼の感覚を
取り戻すことができるでしょう。
自分の中にそれが育まれることで、
その感覚を今度は自分の外に
表現して行くようになります。
愛と安心、信頼が、あなたから外の世界に
溢れていくのです。
その状態で構築される関係性は、
互いを貪る駆け引きや依存ではなく、
真に自立した心地良い健全な関係性
となるでしょう。