自分の人生に起こったことを
受け止めきれない時、
私たちはしばしば、その出来事を
心の奥に封印することがあります。
そうしても、根本的に
その出来事の辛さや混乱が消えるわけでは
ありませんが、受け止めるにはあまりにも
キャパオーバーで、そのままでは
自分が壊れてしまうというときの
緊急避難措置です。
あるものを無いことにすると、
心の中でも、様々なところで
辻褄が合わなくなるところが
出てきます。
その整合性を取るために、
また自分の心に嘘をつき重ねて、
歪みはさらに大きくなっていき、
本当の原因は忘却の彼方に
さらに沈んでいきます。
何かがおかしい、
これは本来の自分じゃないと感じながらも、
自分で何がどうしてこんな風になったのか、
どうやって戻したらいいのか、
わからないのです。
あるいは、あまりにもあちこちに
混乱と不協和音が鳴り響いていて、
どこからどう手を付けたら良いのか
途方に暮れているのかもしれません。
日々、様々なクライアントさんの
心の奥に向き合っていて思うのは、
最初にお話しされる問題と認識
されているものが取り組むべきもの
ではないケースはよくあります。
ご家族の相談で見えたのに、
掘り下げてみたら、結局はその方自身の
ずっと逃げてきた問題の方が
緊急で取り組むべき課題だったとか、
日常の些細とも思えることへの
感情の揺れ程度のことだと思っていた
けれど、実は記憶の彼方に葬っていた
ある出来事の記憶に核心の鍵があったとか、
色々です。
混乱した心の散らばったピースから
いかにして統合への鍵を拾うかは
ある程度のコツが要るし、
嗅覚も必要ですが、
一つヒントを挙げるとすると、
不自然に意識の焦点が合わなくなったり、
記憶が途切れているとか、
どうやってもその場面を思った時の
感情が自分で感じられない等の
心のつじつまの合わなくなった
「継ぎ目」みたいなところがあるんですね。
その周辺に意識が近づいてくると、
とてもソワソワしたり、
話が何度も逸らされたりという
いわゆる抵抗のサインが強く
出てきたりします。
とてもデリケートなところなので、
注意深く丁寧に癒しのエネルギーを
送ったり、呼吸を誘導して
抑圧した感情のエネルギー圧を
少しずつ統合しながら、
核心に近づいていきます。
こういう微妙な調整が必要なプロセスは、
最初の内は、自分でやるのは難しい
かもしれませんが、やり方がわかって
慣れてくると、自分でもできるように
なっていきます。
長年通ってくださっている
クライアントさんたちも、
ある程度までは日常の中で
自分で対処できるようになっている方も
たくさんいらっしゃいます。
本当はこういうところ、
基礎的な部分だけでも学校とかで
習えると、揺れ動く思春期なども、
随分と楽に過ごせるのだけれどな、
なんてよく思います。
年齢がいくつであっても、
必要なことですけれどね。
サロンに来られる方は、
30代から50代の方が多いですが、
子育て真っ最中のママさんパパさんたちは、
ご自身が癒されていくに従って
子育ての悩みが随分と軽くなったり、
お子さんと一緒に感情に向き合ったり
されているようです。
また、子育てが一段落されて、
やっと自分の自由になる時間を
もてるようになり、お子さんとも
少し距離を置けるようになった時に、
そのぎくしゃくした関係性のお悩みで
自分に向き合い直していくきっかけを
得る方もありますね。
本当は仲良く穏やかで楽しい関係性で
あってほしい人との間が殺伐としているのは
なかなかに辛いことですが、
人生は、そういう辛さも糧にしなさいよ、
そしてもっと大きな幸せを掴みなさい、
と導いてくれているんですね。
心が苦しい関係性というのは、
もっと大きな調和と安らぎへの招待です。
その状態から、何を見出し、改め、
行動していくのか。
今の在り方にしがみついて、
不平不満を言いながら嘆き続けることは、
違うんですね。
そうやって自分の人生なんて
こんなものだと半ば諦めている人も
ありますが、
「こんなもの」の人生にしているのは
不平不満の原因だと思っている
何かや誰かではなく、自分自身の
その態度なのだということを知りましょう。
今の自分がどんな状況で在れ、
その場所からできることをするのです。
たとえ寝たきりでも、意識が保てているのなら、
自分に対してやってあげられることはあります。
そんな自分に何をやったって、
と思って見捨てているその態度が、
どれだけ自分を傷つけ、貶めているか。
あなたの現実の誰がそうするよりも、
自分が自身を見捨てることほど
悲しいことはありません。
忘却の彼方に沈めてきた
自分自身のカケラを、どうか見捨てずに、
心を向けてお迎えに行ってあげてくださいね。
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