口で言うことをその通りに実行する
というのは、言うほど簡単なこと
ではありません。
口先だけでは何とでも言えるけれど、
それを実行する段になれば、
それなりに必要となるものもあるし、
心身にかかる負荷もあります。
そういう実際をよくわかっていない
人ほど、簡単に何でもやります！
できます！と言いますよね。
わかっていないから
結局できないし、言葉が上滑りして
重みがありません。
ものごとをよくわかった人が
よし、それならやろう。
できるだろう。と言うとき、
あの人がそういうのならきっと大丈夫！
という信頼感がありますね。
それは、
確実に実行されることが
保証されたようなものだからです。
感情解放のセッションをしていても、
様々な場面で事あるごとに、
どうしますか？と選択をしていただく
ことがあります。
そのときに、肚の底からピタッと
こうします！と言える人は、
そう多くはないですね。
頭ではそうしたい、そうしよう、
そうすべきだと思っているけれど、
頭と肚の底の意志が違う方を向いて
いることに本人が気づいていない
ということがよくあるのです。
頭で思っていることが
自分の本当の意志だと思っていて、
頭と肚の底の意志は違うことがある、
ということを知らない、そういう概念
自体が無いという方もあります。
そうなると、
実際の実行力があるのは肚の方ですから、
頭で思っているだけでは、
ものごとは何も進みません。
そこで、体感覚や様々な方面から
掘り下げて行って、
自分の本心がどこに在るのか、
というのを自覚していただくように
誘導するのですが、
肚の底の意志を軽視する人ほど、
腑に落ちる、という頭と肚が一致する
感覚が取りづらい傾向があります。
こういう人は、
自分の深いところの声を
なかなか聞けないので、翻って、
他の人の話もちゃんと聞けていない
ことが多いですね。
これも、鏡の法則です。
頭で、やればいいんだろう、
と理想をぶち上げますが、
理想を形にする段階で必要とするものを
認識したり整えていく力が無いので、
みんながついて来ないとか、
現場がひっちゃかめっちゃかになって
空回りするんですね。
人の心はどうしたら納得し、
動いてくれるのか、というのは、
自分も他人も、原理は一緒です。
ちゃんと話を聞いて、
なぜ動かないのか、動けないのか、
その事情を汲んで応えていく。
そういう心のすり合わせを重ねて
信頼関係を構築していくわけです。
話を聞くふりをして形だけとか、
シャッターを下ろすように立て板に水状態とか
人間関係の中でよく見かけますよね。
聞けないのなら、なぜ聞けないのか、
そこを見て行かなければいけないし、
聞けるような自分、聞いたうえで
対処できる自分にならなければ、
いつまでも自分の内側も外側も
分離したままです。
完全に常に一致することは
非常に難しいのかもしれないけれど、
それでも、少しでも話が聞ける自分
でありたいですよね。
対話において、常に相手が
自分にとって都合の良い話ばかりを
してくるとは限りません。
自分の方が不利になるとか、
負荷がかかるようなことを
言ってくることもあるでしょう。
それでも、ニュートラルにそれを
聞けるようになるには、
そういう負荷も受け止めないと、
心を開いて相手の事情を汲むような
聞き方はできません。
また、相手の感情に巻き込まれるのが
恐くてブロックしているということも
あるでしょう。
そうならないようにするには、
自分の中に湧き上がる感情を常に
受け止めながら聞くことが肝要です。
そうすれば、相手の感情のエネルギーに
巻き込まれずに、自分を保ちながら
居ることが出来ます。
感情解放のセッションでは、
この辺りを丁寧に誘導して行って、
対話ができる状態に持って行きますが、
結局のところ、私たちが深いレベルで
対話ができない根本的な要因は、
それによって自身の内に浮上する感情を
うまく処理できないところから
来ているように思います。
他人に向き合った時に
深いレベルで触れ合うことを
恐れる人は、
深いレベルの自分自身に触れることも
恐れています。
何重にも蓋をして、鎧をつけて、
生々しくダイレクトに触れないように
生きているのでしょう。
けれど、人生はどこかのタイミングで、
そうした蓋や鎧を取り去ることを
促すことがあります。
そんなとき、勇気を出して、
その呼びかけに応えて行けると
良いですね。