自主性の尊重と放任

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さて。

ここ最近、ある共通のテーマの方が
続いているので、思うところ、
書いてみようと思います。

そのテーマというのが、
自主性の尊重と放任です。

本人の意志に任せるとか、
自主性を尊重するというのは、
それだけ聞けば、悪いことでは
無いように思えます。

けれど、
それを言う人の在り方によっては、
非常に耳触りの良い逃避の隠れ蓑
になることもあります。

実際、
どこからが自主性に任せた見守りで、
どこからが放任なのか、
判断がつかない方も少なく無い
のではないでしょうか。

職場での部下の指導や
子育てにおける親の介入を
どうすべきなのか。

悩ましいところもあるとは思いますが、
まず、本人が状況判断をするための
基礎的な力がついているのかどうか、
というところが一つのポイント
だろうと思います。

まだ基本的な社会的規範が
何も身に付いていないような段階では、
自主性も何もあったもんじゃありません。

そこは教え導く側がしっかり教えてあげないと、
その人（子）も混乱するし、要らぬ苦労を
強いられることになります。

そういうベースができたら、
今度は本人自身に少しずつ考えさせ、
自分で判断する力をつけさせていく
段階に入ります。

本人にどの程度、
物事を認識する力がついているかを
確認しながら、どんな風に考え、
結論を出したらいいのかを
サポートしながら、自分で決める力を
つけていくんですね。

人それぞれ、理解力も違えば、
考える力のキャパシティも違います。

こういうところは、
本人がどんどん進めていくタイプなら
見守っているだけで大丈夫
なのでしょうが、

丁寧に寄り添って導いてあげないと、
育っていかないケースもあります。

そういう見極めもろくにしないで
本人の自主性に任せるとかいうのは、
放任というか、もっと言えば
悪質な責任放棄だと私は思います。

人を育てるのは、確かに簡単ではありません。

表面的なところだけ見て判断しては、
対応を誤ることもあります。

深くその人の内面を見て観察し、
試行錯誤しながら接していくことが
必要です。

しかしながら、
深く人の心に触れることを
恐れる人が多いんですね。

自分に自信が無いからと言って、
導く立場の責任を放棄したら、
放り出された相手はどうなるでしょう。

自分は特にそんな風に導かれずにやってきた
という方も、あなたはそれでできた
かもしれないですが、

今目の前にいるその相手に対して、
その在り様であなたの立場における
責任を果たしていることになるでしょうか。

自分のやり方がもし間違っていたら、
相手に重大な傷跡を残してしまう
かも知れないという恐れも
責任の重大さを掻き立てますが、

それでも、そういう立場に居るのなら、
自分の未熟さを骨身で知ってなお、
向き合っていく必要があるのでは
ないでしょうか。

誰しも、
最初から完璧にできるわけではないですし、
みな、未熟な自分からスタートするのです。

不器用ながらも、逃げずに真摯に
向き合い続けた姿勢は、
正解ばかりではなかったとしても、
どこかで相手もその真心を感じて
いるのではないでしょうか。

そしてまた、
責任から逃げた在り様も、
その人はちゃんと見て、
あなたを逃げた人だと認識するでしょう。

人生は、しばしば逃げ癖のついた私たちを
否応なく、待ったなしで向き合わなければ
いけないような状況に追い込むことが
ありますね。

子育てなんかは、
まさにその最たるもの。

自分がどれだけ未熟であろうと、
子供は待ってはくれません。

純真無垢な瞳であなたを見つめ、
求めてきます。

そういう存在に向き合うと、
自分の中に様々な感情がトリガーされて
辛くなることも多いのでしょうが、

まずは自分の中に湧き上がる
諸々の気持ちから逃げないこと。

ちゃんと受け止め、統合を進めつつ
自分自身から離れずに在ることが
大事です。

間違ったら間違ったなりの結果が
来るのですから、気づいたら
そのとき素直に修正すれば良いのです。

共に学び、成長しながら
人と深くかかわること、
自分自身の可能性を育てていくことを
体験していくのですね。

放任という責任放棄をしてしまったら、
そういう得難い体験も、ごっそり
スルーしてしまうことになります。

自身が置かれた状況を
どう受け取るかは人それぞれですが、
願わくば、豊かで深い愛の体験と
されていかれますように。