私たちは、
人それぞれ持っている背景が違うので、
同じ時間に同じ場所で同じ体験をしても、
その人の中では全く違った解釈や
受け取り方をしていることがよくあります。
たとえば、
ものすごく仕事が忙しい中で、
ある人はのしかかる重圧と焦燥感、
深い絶望感から精神的にひどく
追い込まれていくことも
あるかもしれないし、
また別の人は、
自分が社会や人様の役に立っている
充実感や使命感でますます力が湧いてくる
ように感じていたりするかもしれません。
願わくば、後者の様でありたいものですが、
よりストレスがかかる状況で
浮上してきやすいのは、
普段は心の奥に押し込めている
感情のカケラたちの方が多いでしょう。
平時はさほど問題にならなくても、
余裕のない状況でそういうものが出てくると、
抗う間もなく飲み込まれてしまいがちです。
けれど、そういうときほど、
埋もれたものが見えるようになっているので、
実は自分に向き合って統合していく
絶好の好機でもあるはずです。
ただただ、目の前のことをこなすだけで
いっぱいいっぱいになるのではなく、
絶対にこのチャンスを生かすんだ!
と言う意識を持って、対峙することを
お勧めします。
特に、いつも忙しくて自分に向き合う
暇が無いという人は、本当は
向き合うべきものから逃れるために、
意識、無意識的に自分を忙しく
させているということもあります。
忙しくすることで、
目を向けずに済んでいることがないか、
良く自分の心に問うてみてください。
ふと思い出しましたが、
古今東西の恐怖政治を敷く権力者は、
民衆が自分に歯向かわないように、
適度に弱らせておくというやり方が
あるようです。
だから、民が良くなるような政治は
絶対にしないのですね。
世界を見渡せば、当てはまるお国が
あちらこちらに思い浮かぶかもしれません。
なぜ民衆をあのように荒んだ状態に
しておくのかという理由があるわけです。
なんだか、自分に向き合う暇がない
と言っている人は、これと同じような
構図が無いかな、と思ってしまいました。
自分に向き合ってしまったら、
何か根本的な在り方の改革を迫られてしまう。
それはまさに、今の自分の在り方を
脅かす革命と言えるでしょう。
そうなると、魂の導きを聞くことは、
その人にとってはこの上なく危険なこと
になってしまいます。
セッションをしていても、
まるで革命を恐れる権力者のように
変化を恐れる方にしばしば出会いますが、
その革命を受け入れたところで、
自分が断頭台に消えるわけでもないし、
握りしめていたメリットよりも
はるかに良い人生にシフトしていく
という認識の書き換えをかなり丁寧に
していく必要があったりします。
この辺り、頭では十分わかっていても、
頭ではないところで納得していないことが
結構あるんですよね。
だから、理屈でどれだけ説得しても
無理なのです。
セッションをお受けになる方は、
何かしら今の自分からの変化を求めて
いらっしゃると思うのですが、
それでも、奥深いところでは、
頑固に変化に抗おうとする要素が
徹底抗戦の構えで向かってきます。
そういう要素がどこからくるのか、
根っこを掘り上げて統合していく
プロセスを進めて行く中で、
思いもしないようなものが
明かされることがよくあります。
逆に言えば、そういうものが
わからない限り、変えようにも
いかんともしがたい、
何度取り組んでもゾンビのように
繰り返し浮上してくるものというのは、
まだ統合のカギを見出していない
状態なのです。
そういうカギが、人それぞれの中に
いくつもあって、その人の独特の背景を
作り出しています。
本心と当人の表層意識がズレていれば、
核心に近づくほどに混乱し、抵抗が
熾烈になります。
このズレをその都度修正しながら
掘り進める必要があるので、
頭の理想に向かってガンガン突き進めば
勢いでどうにか通る、というようなもの
ではないのです。
本当に奥深い声を聞き、受け止める
態勢が出来たときに明かされる秘密に
触れることは、何とも染み入るような
心を動かされる感覚を覚えます。
深い思いを持って生きた人生を開示されて、
あなたはそんな風に生きたのですね、
だからこそ、そういう在り方になったのですね、
という事情を知らずに、
表面だけ辻褄を合わせるなんて、
とても無理です。
そういう意味で、
その人の奥深いところからの整合性を
取らなければならないのです。