他人とのかかわり合いって、
人生の大きな醍醐味であると同時に、
葛藤の源泉だったりします。
生まれてから、たくさんの人と出会い、
嫌な思いをしたり、美しい交流があったり、
不安と期待、信頼と感動が様々に
入り乱れる体験をしながら、何がしかを
魂に刻んでいきます。
苦しく辛い体験をして、固く心を
閉ざしてしまうときもあるけれど、
人生からの呼びかけは、
なかなか心を閉ざしたまま、
居させてはくれません。
あの手この手のアプローチに導かれて、
酷く歪んだまま固定されたものの見方が
解消されたり、
永久凍土のように冷たく凍り付いた心が
じわっと雪解けの温かさを取り戻したり。
頑なに受け取ることを拒絶してきた愛に
心を開くことができた時の安堵、
赦しと和解の深い恩寵の感覚。
長い間、彷徨い続けてきた暗い道に
光が差した時の報いられた安らぎ。
ずっと孤独に一人で歩んできたと
思っていた道のりが、一人ではなかったと
知った時に流れ込む圧倒的な愛。
固くなったり柔らかくなったり、
明るくなったり、暗くなったり。
私たちの心は、人生を通して
揺さぶられ、叩き上げられ、鍛えられ、
育まれて行きます。
本当に心が折れて、息をする気力も
無いようなときもあるけれど、
そんなときでも、人生の最も底流では、
圧倒的な愛の潮流が私たちの人生を
今この瞬間も、運んでいるのでした。
そういう話を、概念ではどこかで
聞いたりすることが何度もあるかも
しれません。
全ての本質は愛だとか、色々聞いたとしても、
自分でまさにそれを体感しなければ、
それは自分の真実にはなり得ません。
私たちの人生の旅は、
まさにそこに辿り着くための
歩みなのかもしれません。
そんなものはただのお花畑の噂話だ、
あるはずがない、などという人も
あるでしょう。
頑なに否定する人の心には、
本当は信じたいけれど、何度も裏切られてきた
体験があるのかもしれません。
強い否定、拒絶の反応を示す人ほど、
実は求め続けてきた過去を持っている
ものです。
そうでなければ、
そんな話もあるかもね、くらいに
軽く流せても良いはずです。
でも、
そこに一方ならぬ心の傷があるからこそ、
そんなものは嘘だ！と強く反応して
しまうのです。
けれど、その人なりに得た結論も、
実は最終地点ではなく、未だ道半ば、
辿り着く前の途上なのかもしれません。
どこかで道を誤ったのかもしれないし、
踏み留まることができなかった
何かがあるのかもしれません。
命の導きは、道半ばにして閉ざした心を
決してそのままにはしておきません。
どんなに反発しても、その呼びかけを
無視し続けても、必ず揺さぶられ、
歩みを再開してしまう時が
やってきます。
何千年、魂が眠り続け、
まどろんでいようと、
その状態を維持し続けることは
できないのですね。
そういう意味でも、
諸行無常はこの世でもあの世でも、
共通する世の理（ことわり）のようです。
命の導きに抗うほどに、
歩みはキツくなるのが常ですから、
願わくば、素直に耳を傾け、
応答するのが一番スムーズではあります。
けれど、頑なな心ほど、
それが難しいのですよね。
緩めようとすると、
そこに苦痛が生じるから。
癒されることも苦しいと感じるから、
なかなかその方向には
舵を切れないのですが、
心のしこりを解き、
わだかまりを解消するには、
その苦しさを引き受けて、自分の意志で
前に進まなければならないのです。
その意志に、恩寵が働きます。
ほんのわずかな決意が、
厖大な恩寵の鍵なのです。
そしてひとたびその循環が起これば、
その人の人生は大きく変化
していくでしょう。
何前年、何万年の魂の眠りが
続いていようと、終わりは必ず来ます。
今、あなたは何を選択し、
決意するでしょうか。
あなたの人生が、
恩寵とともに在りますように。