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さて。
先日の日曜日は
母の四十九日と納骨でした。
当日の夜中まで雪で
芯まで冷える寒さでしたが、
当日は朝からきれいに晴れて、
気持ちの良い一日でした。
晴れ女だった母は、
葬儀の時もそうだったけれど、
みんなが困らないように、ちゃんと
晴れにしてくれたようです。
お寺で法要を終えて墓地に移動すると
石屋さんが既にいて、お墓を開けて
待っていました。
二十数年ぶりに開いたお墓の中を見ると、
父の名前の書かれた骨壺が見えました。
その隣に、母の骨壺が置かれて、
再び蓋が閉じられ、僧侶の読経の中、
みんなでお線香をあげました。
母も、やっと父の隣に収まって、
ホッとしているでしょうか。
余談ながら、
骨壺の入っていた桐箱やカバー、
埋葬許可証ってどうするんだっけ？
と思っていたら、石屋さんが全部
持って行ってくれました。
そうか、だから父の時は記憶に
なかったんだな、と余計なことを
考えていました。
それから精進落としをして
帰ってきて、弟たちとも別れて
一人帰宅してから、休む間もなく
仏壇の掃除を始めました。
本当は、前日までには掃除を終えて
いたかったのですが、なかなか
時間も体力もなくて、この日に
なってしまいました。
お骨が家にある間は、仏壇は
扉を閉じて半紙を貼っているので
ほぼ手を付けていなかったのですが、
それ以前に仏壇の上の方とか裏とかは
なかなか重い仏壇を移動させて
掃除もできなかったので、
埃だらけでした。
せっかくだから、と一人で
仏壇を動かして裏の壁も全部
塩水を固く絞った雑巾で
隅々まで掃除しました。
疲れていたけれど、
一つ一つの部品やお道具類をきれいにし、
引き出しも全部開けて整理しました。
そのときに、一番奥の空間から、
母の遺言書が出てきました。
ずっと探していたけれど、
もちろん、仏壇の引き出しも
探したけれどそこには
見つからなかった遺言書。
多分、母は私がこのタイミングで
仏壇を隅から隅まで掃除することを
わかっていたのだと思います。
やっぱり、書いてたんだ。
そう思って開いてみた文言に、
涙が止まりませんでした。
前日に、兄弟が話し合った結論と
大まかには同じ方向性の遺志
だったけれど、
その言葉の重み、そこに込められた
母の思いが伝わってきて、
泣けて泣けて仕方がありませんでした。
母が私たちを信じて、
思いを託してくれたんだな、
と言うのがわかったから。
読みようによっては、
色々な解釈ができるから、
欲の心でこれを読めば、
不満を感じることもあるだろうけれど、
きっと私たちはその意図を汲んで
うまくやっていくだろうと、
母は信じてくれたのだろうと
私は受け取りました。
兄弟三人、
その意図を汲んで受け取るには
それぞれの立場なりの心の成熟が
必要です。
誰かがどれだけ得をして、損をして、
ではなくて、どれだけそれぞれの
立場を踏まえて、互いを理解し合い、
支え合えるか。
あんたたちならできるわよね。
そう言われているようでした。
納骨まで、必死で走り続けてきたけれど、
その時期を過ぎてこの言葉に触れたからこそ、
母の遺言の意味が心に刺さって来ました。
母の意向はずっと前から聞いていたけれど、
その奥深い思いまでは、そのときは
思い至りませんでしたね。
その時にならないと、
その経験を通過しないと
わからないことが、あるんですね。
信じて託された思いがあり、
また、それを受け取ったなら、
後は生涯をかけて、答えていくのみです。
母も、父から託された思いを
そうやって受け取り、人生かけて
母なりにやり遂げて今、父に報告
しているところでしょうか。
今度は、私が父と母のところに
帰った時、恥ずかしくない報告が
できるよう、生きて行こうと思います。