自分軸の話

自分軸と言う話をこれまでも
何度も取り上げて書いてきていますが、
人によってその概念も色々だな、
と感じるので、私なりに思うところ、
書いてみます。

自分軸と言うと、あらゆる状況下で
揺ぎ無く在るために必要なもの
というのは、多分多くの人の
共通認識だろうと思います。

ただ、それがどういうものなのか、
どのようにして身に着けることが
できるものなのかは、それぞれ
あるでしょう。

今回取り上げるのは、
肉体レベルの軸のことではなく、
精神的な自分軸の話です。

人によっては、精神的なレベルでも、
何か体の中心軸の当りに
棒のような柱状のものをイメージして
自分軸を作っている人もいました。

けれど、私が考えるそれは、
そういうものじゃないんですね。

何かイメージして作り上げるとか、
外の要素のものを取り込んで
できるものではないのです。

世の中では、世界中で
宗教や道徳的な生活習慣など、
何かしらの教えから自分軸を
作っている人がいます。

それ自体が良いとか悪いとか
ではないのですが、

自分軸と言う面から考えると、
取り込んだ教え自体が自分軸になる
ということは、無いと思うのですよね。

教えと言うのは、
自身の内なる叡智につなげるための
ツールであり、それ自体が本質
ではないからです。

「指月の指」という禅の教えがありますが、
「ごらん、あれが月だよ」と指す指自体が
月ではないのと同じことです。

様々な宗教で偶像崇拝を戒めているのも、
指を崇める愚を犯さぬように、
という意図からでしょう。

そう考えると、
取り込んだ教えが自分軸になりうるか否か
というのは、明らかだと思います。

私たちは、その教えを使ってさらに
自身の内なる叡智に自分で気づき、
触れなければいけないのです。

そして、本当にそれに触れ、
知ったことが、自分軸になるわけです。

何か棒のものをイメージしてできるものは、
思念の力が何らかの原因で弱まれば、
容易く吹き飛ぶでしょう。

そして、その思念自体、
一体何を支えに、或いはその力の源は
何なのでしょう？

思念エネルギーを頑張って奮い立たせて
維持するようなものが、いざという時に
戻るべき指標となり得るでしょうか。

嵐のような人生の暴風雨に飲み込まれたとき、
あらゆる駆け引きや都合を越えて、
絶対に見失ってはならぬもの。

混乱や葛藤の最中で
本来の在るべき自分を思い出させるものは、
マインドのレベルにはありません。

考えることでは、
それを知ることはできないのです。

だからこそ、私は繰り返し、
ハートの声を聞く、あるいは肚
ということをお伝えしてきています。

体と心全体で腑に落ちる感覚が
わかるような在り方をする必要が
あるわけです。

それがわかる意識のポジションを
とるために、最もダメなのが、
「自分がお留守」の状態です。

そもそも、どうして自分がお留守状態で
自分軸を立てることができるでしょうか。
矛盾した話だと思います。

強い信念によって、揺ぎ無き自分軸を
立てているように見える人もいますが、
余計な力みによって思考が排他的に
なりがちです。

信念が揺らぐことを非常に恐れ嫌うので、
それが危うくなるようなものを
極力排除しようとするか、全く
聞く耳を持とうとしません。

そういう姿勢は、翻って見れば、
自身の信念が非常に脆いものだということを
本能的に知っているから、とも言えそうです。

思考のマインドレベルで一生懸命
自分軸を立てようと頑張っている人には
途方に暮れる話かもしれませんが、

そんなあなたに、今なお世界中で信奉者がいる
カリスマの以下の言葉を贈ります。

Don’t think. feel.
（考えるな。感じろ）

マインドを越えて、
あなたが叡智に触れますように。