今年に入って、
能の謡(うたい)と仕舞(しまい)の
お稽古を始めたり、同時進行で
狂言の呼吸法や身体技法をもとにした
健康法である「和儀」のクラスに
参加させていただいているのですが、
まだ初めて数か月、
何ぶん、初めてのことばかりで
ついていくのに必死でしたが、
やっと少し、気付くことがありました。
和儀の茂山千三郎先生に
間近に接して思うのは、
とにかく所作や佇まいが抜群に
美しいんですね。
それは単に姿勢がきれいとか
声の響きが素晴らしいという以上に、
何というか、存在から放たれるものの
圧倒的な美しさのようなものが
滲み出ていて、
お稽古をしていても、いつも、
どうしたらあんな風に歩けて、
あんな風に迫力ある透る声が
出せるのだろう、と思います。
上体を全くブラさずに歩く摺り足
という舞台上の所作だけでなく、
普段街中を下駄で歩かれるときも、
下駄なのに全く音がしないとか、
稽古場から階段を下りてこられた姿の
はっとするような存在感など、
学ぶところばかりです。
レナードの圧倒的なプレゼンスの深さ
とはまた違った「在る」ということの
磨き上げられた美しさを感じるんですね。
能や狂言の身体操作を学んで
まだ日が浅いものの感じるのは、
能楽というのは、極限まで磨き上げられた
丹田の芸術のような気がします。
和儀でも、呼吸、軸、丹田、と
繰り返し言われるのですが、
その丹田について、
それまで私が認識していた
丹田の概念と大分違った、ということに
最近改めて気付きました。
和儀では、女性と男性の丹田の違い
についても学ぶのですが、それ以上に、
「丹田の使い方」が違うんですね。
(あくまで個人的な認識です)
息を吐き切ったときに
きゅ~ん!と感じるところが
それだということなのですが、
このとき、骨盤底筋群が
引き上げられています。
この感覚が結構秘伝なんじゃないかと
勝手に思っているのですが、
私がそれまで見聞きした丹田の概念には、
こういう感覚はないんですね。
単に、おへその下あたりに
ぐっと力を入れる、くらいの認識でした。
丹田呼吸についても、
YouTube動画などで様々に説明
されている方がおられますが、
多分こういう丹田の使い方は
されてないと思います。
(あくまで個人的感想です)
能や狂言の舞では、
この引き上がった骨盤底筋群の
丹田の状態で舞ったり謡ったり
することがカギで、
息を継いだとしても、
丹田は緩めないのです。
だからこそ、あの緊張感というか、
場のテンションが保たれるんですね。
体の軸を取るときも、
単に百会と会陰を繋いだラインを
意識するだけでなく、
この丹田の使い方をすると、
カチッとハマるというか、
しっかり天と地が繋がる感じが
するのです。
以前、能のワークショップに参加した時、
能楽師の方が摺り足を指導される場面で
「空間ごと移動するような感じ」という
表現をされていたのですが、
この丹田の使い方で
天と地が繋がって歩くなら、
わかる気がしました。
と言っても、私はまだまだ全然
出来てるわけではないのですけれどね。汗
能や狂言のこの摺り足は、
反閇(へんばい)と言って、
呪術的な意味合いがあるそうです。
能と狂言だと、構えの姿勢や
摺り足も微妙に違うのですが、
両者の元々のルーツはご神事なので、
そうした秘儀、秘伝的なものの
エッセンスが隠されている
のでしょうね。
こうした奥深い秘伝を惜しげもなく
一般に公開してくださった
茂山先生には、感謝しかありません。
最近、ご著書も出版され、
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