受け継がれていくもの

人の心の奥深くにアクセスする
この仕事をしていると、
古今東西、様々な人生の
得も言われぬストーリーに
出合います。

今生の、とても数奇な人生の
ストーリーを辿ることもあるし、
別の人生の体験のこともあるのですが、

その真偽はさておき、
セッションでは出てきたものを
受け取り、深く読み解いていくことで
何かしら、その人の心模様に
変化があるなら、それで良し、
というスタンスです。

目の前の人生に飲み込まれて
そこだけの視点だと、
なかなか見えてこないのですが、

多くの人生の、
様々な人間の心模様に触れて行くと、
より大きく長い時間軸で流れる、
一個人を越えた、何か大きなものの
意図を感じることがしばしばあります。

人と人が出会い、何かを経験し、別れ、
そのことがまた次の出会いと別れに繋がり、
別の伏線になり、、、。

そうした一つ一つの人々の営みを
少し離れたところから眺めてみたときに、
宇宙は何と精妙で神秘的な
タペストリーを編んでいるのだろう、
と思うのです。

先日、自分の中から出てきた
ある封印のストーリー、

受け継がれてきたもの、
自分で積み重ねてきたものも、
全てここで終わりにする、
という決意でした。

継承を諦める、ということは、
未来への希望を完全に断つということで、
もう次には何も託さないわけです。

このストーリーが出てきたことで、
継承の意味を、深く考えました。

たとえば、
自分の家に子孫が居なくても、
親戚の誰かのところに次の世代が
育っていれば、あるいは、

自分の血筋でなくても、
大きく見れば、どこかで誰かが
生きていてくれればそれでいい、
みたいな思いがあるのですが、

このストーリーでは、
そういう希望も逃げ道も全くなく、
本当に「終わり」でした。

ここで一度終わっても、
いつか誰か、志と感性のある者が
残された手掛かりを元に
再興してくれるように、
という思いすらもなかったのです。

それについて、
残念に思ったり悲しんだり、
という気持ちすらありませんでした。

何せ、そう感じる主体自体が、
「終わってしまっている」のですから。

けれど、どういうわけか
この人生の記憶は私の魂の奥深くに
生きていて、今再び浮上してきました。

終わらせた、と思ったものに、
再び命が流れ、蠢き始めています。

受け継がれてきたもの、
積み重ねてきたものというのは、
そう簡単には終わらせられないもの
なのかもしれません。

継承は、
血のみならず、魂に記憶され
運ばれていくものもあるし、
同じ霊統など、似た資質を持った
者によって、志を通して
伝えられていくことがありす。

そしてそれは、時に時空を越えて
触れ合うものであり、
繋がり合っています。

受け継がれるものは、
それ自体に意志があって、
まるで人を乗り物にして
渡り歩いていくような
意志を感じるのですが、

一旦この世から姿を消しても、
潜象界で、再び姿を現すときを
じっと窺うように、それを担う者を
待っているのかもしれません。

使命というのは、
そうしてこの世界に姿を
現そうとしている
何ものかの意志に魅入られたときに、

それを担う者が感じる感覚
なのかな、という気がします。

拝命してしまったら、
逃れることはできません。

自分を越えた大きなものの意志に
人生を委ねるのみでしょう。

そう考えると、
終わるも、繋がるも、
個人でできることではないのかも
しれませんね。

さて、私たちは、そしてあなたは、
何を受け継ぎ、何を次の者に
託すでしょう。

生きるということは、
託されたものを継承していく、という
神様との約束なのかもしれません。

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