心が動揺するときに「浮足立つ」
という表現をすることがあります。
こういう時は、
意識体が肉体から文字通り
浮いた状態になっていて、
しっかりはまっていません。
人間、些細なことから大きなことまで、
個人差はあるにせよ、注意深く見て行くと、
結構、この浮足立った状態に頻繁に
なっていることに気づくでしょう。
常にどっしりと構えて居られれば
大したものですが、
動揺している自覚がなくとも、
無意識に自分の肉体から意識体が
身をよじるようにして逃げている
ということは多いと思います。
老後などの未来を漠然と不安に感じている
ときもそうだし、過去の嫌な出来事を
思い出してイライラしたり心が
ざわついている時も、実はそうです。
心は常に、未来や過去に
浮遊していて、落ち着きなく
揺らぎ続けています。
そう考えると、
私たちは1日の内にどれだけ
浮足立たずに自分の肉体に意識が
安定して収まっているのでしょうか。
一日中上の空で
自分がお留守になりっ放し、
なんてことも珍しくは無いでしょうし、
下手をすると、何日も、
何週間もそんな状態だったり
するかもしれません。
深い目覚めの意識を体現したマスター
レナードジェイコブソンの教えに
触れてから、
人生は今この瞬間にしかないけれど、
私たちのほとんどは、
今この瞬間を生きていない、
と言うことを知りました。
以来、今この瞬間に居る、
プレゼンスを意識するようになり、
幾度もとても深遠な体験がありましたが、
未だにプレゼンスには、収まり切れていません。
最近ではもう少し真剣に
今この瞬間に向き合ってみようと
チャレンジしています。
これまでは、どこか意識が
明後日の方向に逃げていて、
そのことに自分で気づいていませんでした。
それに気づけたので軌道修正
してみたのですが、今この瞬間にいることに
ものすごい抵抗感が浮上してきました。
これまでは、無意識にこの抵抗感に負けて
逃げていたのですね。
無意識では自動的に反応することしか
できないので、そういう状態になるのも
道理です。
レナードはよく、
今この瞬間に寛いでいる
という表現をするけれど、
私はこれまでにそのように
寛いだ感じになったことは
多分ほぼなかったので、
無理だよな～、できないんだけど、
とずっと思ってました。
寛いで在る状態になる前に、
対処しなければいけないものが
あったわけです。
自分には自分なりの心の構造があり、
事情があるので、一般論では
どうにもならない時がありますね。
そんな壁にぶつかった時は、
自分なりに、自分で答えを
見つけ出さねばなりません。
これまで、何度もレナードに
助けを求めてきたけれど、
その都度、突っぱねられてきたので、
それはすごく傷ついたし、
何とも言えない気持ちになりました。
けれど、その時に浮上する気持ちを
統合する試練が差し出されていたのかな、
と今にして思います。
本当に、心がえぐられるような思いを
何度もしたし、深い絶望に
突き落とされたりもしました。
かつて彼がそんな私に言った言葉が
ありました。
グルは、カルマを浮上させるのが仕事なのだと。
彼は、深いプレゼンスから、
その時に為すべきことを
ただ現していくのみです。
そこにいかなる躊躇も疑問も
忖度も手加減も無いのです。
普通の人間なら、嫌われたくないとか
良く思われたいとか、後々面倒なことに
ならないようにとか、手加減や
忖度が働くものですが、
目覚めた意識の存在には、
そんなものはひとかけらもありません。
だからときに、その態度が
ものすごく冷酷で残酷に感じられる
こともあります。
ただ、その課題を拙いながらも
諦めず、問い続ける中で、
言葉にならない恩寵がやって来ることが
何度もありました。
甘ったるく耳触りの良い言葉を囁く
ばかりではない、深い覚悟に基づいた厳愛が
為せる業です。
そんな恩寵のカケラを拾いながらの
とてもゆっくりした歩みを行く中で、
かつてレナードが言った、
今この瞬間にいるのか、いないのか、
しかない、という言葉の真意が
腑に落ちてきました。
人生は、今この瞬間にしかない。
人生の真実が、ここにある。
毎瞬、人生の真実を拾いながら
生きよう。
そんなことを思いました。