何年も前のとあるリトリートで、
感謝三昧の状態になったことがあります。
それは、深く目覚めた意識のマスター
レナード・ジェイコブソンの
清里でのリトリートでの出来事でした。
３泊4日の日程の、2泊目の午前中
だったと思うのですが、清々しい
朝の景色を見ながら朝風呂に入って、
部屋に戻るために廊下を歩いていた時、
なんて有り難いのだろう、
という思いが突然湧いてきて、
胸がいっぱいになりました。
頭の中は、ただただ
有難い有難い有難い…という言葉が
マントラのように溢れてくるのみで、
どうにもそれが止まりませんでした。
それから、リトリートのプログラムが
始まって席に着いてからも、
前でレナードが話をしている最中、
ずっと涙が溢れて有難くて
仕方がありませんでした。
リトリート会場の清泉寮は、
環境もすごく良いのですが、
食事もとてもおいしくて、
こんなに心地良い環境、ご飯に
魂の目覚めのために心を尽くしてくれる
人たちがいて、そして目の前に
本当の教えを説いてくれるマスターがいる。
何と恵まれた、有難い場面に
自分はいるのだろうと、
これ以上の幸せがあるだろうかと
魂の奥底から感謝の尽きせぬ思いが
止まらなかったのです。
自分でもどうしてこんな思いが
ここまで溢れてくるのだろうと
不思議なくらいでしたが、
自分の魂の長い記憶の中で、
求め続けてきたものをまさに今、
得ている感動というのも
あったのでしょうが、
どうもそれ以上に、
私にバトンを繋いできてくれた
ご先祖様たちもまた、一緒に
この場を体験しているような
感覚がありました。
このひたすら溢れる感謝の思いは、
私一人のものではなく、たくさんの
私に連なるご先祖様たちの思いでもある
ように感じていました。
結局その日は一日、夜まで
涙が止まりませんでした。
レナードのリトリートには
何度も参加して、魂が震えるような
体験がいくつもありましたが、
出来の悪い生徒ゆえに、
それでも私の意識の目覚めは
未だにあまり進んではいないようです。
それでも、
生きた仏陀のような存在に出会えたことは、
私の人生最大の恩寵と言えます。
彼のプレゼンスに触れていなければ、
私は今の仕事を続けてこられなかった
だろうし、
何を指針に生きたら良いのかわからずに、
フラフラとロクでもない人生を
送っていたかもしれません。
人間の霊性にとって最も大事なことを、
概念ではなく、リアルに触れさせてくれる
マスターに出会えるのはまさに奇跡であり、
私の人生には既にその奇跡が起こった
ことになります。
よく、願望実現などのメソッドで
感謝をしましょうというのがありますが、
私はそういうのがとても苦手で、
実際に感じてもいないことを
口先だけで空々しく唱えるのも
嘘臭くて嫌いでした。
ただ、
私たちはラマナ・マハルシの、
恩寵の海の中で泳ぎながら
喉が渇いたという魚のようだ、
という言葉のように、
こんなにも恵まれていながら
その恩寵に気づかず、ただ貪り、
不足を嘆くばかりの意識になっている
ことも多いです。
確かに、目の前に不足が見えるのも
事実でしょうが、一方で、
溢れんばかりに与えられ、
満たされているものもあるでしょう。
毎日、なんだかんだ言いながらも
家族がいてくれること、
ご飯を食べられること、
体を休める家やベッドがあること、
歩けること、排泄が自分で出来ること、
無料で、好きなだけ空気が吸えること、
爆撃機が空から爆弾を落としてこないこと、
まだこの瞬間、生きていること、
などなど。
暑すぎても寒すぎても
ご飯や水が得られなくても
適切な環境でなければ生きられない
繊細な生き物である人間が、
この年まで生きて来られたこと自体、
紛れもなく私たちの人生に
恩寵が働いている証左ではないでしょうか。
自分はここにいて良いのだろうか？
生きている価値があるのだろうか？
と思ってしまうこともあるかも
しれませんが、
そんな証明を求めなくても、
既に今、自分がここで生きている
ということ自体、その問いには
答えが出ています。
その恩寵を全身全霊で受け取って、
今、自身の最も深いところで感じるものを
思うまま、表現して生きて行ったら良い。
そうしたら、本当に心から、
感謝の思いが湧き出てくるでしょう。
この人生は、生きるに値する。
そう心から感じる人生を、
生きて行きましょう。