楽しいこと、心地良いこと、
美しいことばかりではない
この世に生まれ落ちて
生き抜いて行くためには、
感じないようにするというのは
最も原初的な自己防御の方法
なんだろうと思います。
ガチガチに心を鎧で固め、
外の世界と自分の世界を分離し、
できるだけ安全な自分だけの空間に
退避するというのもよく見かけます。
私自身も、昔は（エネルギー的に）
ハートに鉄板みたいなのが入ってる
と、複数の人から言われたくらいなので、
いかに鈍感に、何も感じないで
生きられればどんなに良いだろう
と思っていたものです。
そうやって何十年も生きてきて、
それが普通の状態になっていると、
そもそもそれが普通でも何でもなくて、
相当に歪な状態なのだということすら
すっかり忘れて生きていたりします。
感じる感覚を閉ざしまくっても、
どうにも生き辛い感覚は
消えることはなく、胸の重苦しさを
抱えながら、日々を過ごしていました。
そんなある日、友人からの一言で
自分が本当に何も感じられていない
ということに気づいたときは、
衝撃的でした。
感じていないなんて、
思ったこともなかったから。
でも実際、意識を向けてみると、
相当な出来事を体験したはずなのに、
何の感情も感じられていなかったんですね。
ただ、ざわざわイライラくらいは
していましたよ。
でも、自分の気持ちが
わからなかったのです。
そこから、これは尋常な状態ではない！
ということに気づいて、さらに
ワークを猛烈に頑張ったわけですが、
そこから数か月、数年は、
何十年分、ひょっとしたら、
別の人生の分の積もりに積もった
未完了の感情を吐き出しまくりましたね。
心もきつかったけれど、
身体も同時に結構きつかったです。
でも、吐き出し、統合が進むほどに、
どちらも軽くなっていきました。
そのプロセスは、今となっては
私の宝物で、あれがあるから
人間の心の様々な構造が分かったし、
本当に自分を取り戻していくことが
どういうことなのか、というのが
身を持って理解できたというのがあります。
そして、それ以上に
自分の人生を導いていく恩寵が
常にともに在ったということが、
どれだけこれまでの殺伐とした心を
慰めたか。
誰しもの人生に、この恩寵があり、
そのうえで必ずどんな傷も癒えて行くのだ
という確信を持った出来事でもありました。
こういうところは、自分で体験して初めて
魂に刻まれるもので、人からどれだけ
そういう話を聞いても、参考になりはすれど、
本当に自分のものになることはないでしょう。
だから、教えを学ぶだけではなく、
自分自身の道を自分で歩むことが
大事なんですね。
自分自身の奥深い導きと対話しながら、
そこで何をどう体験し、何を掴むのか。
それがあなたの人生です。
いかに他人の人生を掠め盗るように生きても、
それはあなたの人生にはなりません。
本当に自分の真実を生きたいのなら、
自分自身の人生に戻るべきです。
そんな風に、私はしばしば、
セッションでクライアントさんの体の中に
入り込んでいる諸々の存在たちに
諭すことがあります。
そうして、彼らを彼ら自身の命の道に
戻す手引きをするのですが、
これと同じようなことは、
通常の人間関係でもよく見かけます。
親が子の人生に干渉し過ぎて、
自分の人生をそっちのけで
自己実現しようとしていたり、
誰かからお金やエネルギーを搾取して
パラサイトしていたり。
色々な形はあるけれど、
人生の様々な苦しみを深く掘り下げて行くと、
要は自分がお留守で真に自分の人生を
生きていないことで、様々な苦しみが
生じている構図が必ずあるんですね。
いかにそれを、自身に戻していくか。
結局、セッションでやっているのは
そういうことなのです。
自分に深まるというのは、
自分という存在の無数のレイヤーが、
どこまで戻り切ったかということだと
私は理解しています。
感じる感覚を閉ざしているということは、
自分自身を真に生きていないということ
にも通じるわけで、
だからこそ、この自分で、
深く感じて生きる道を拓いていくことが
とても大切だと思うのです。