人は何かしら
正常ではない（本来ではない）状態があると、
それをどうにかして修正しようとする
働きが起こってきます。
たとえば、
お腹がすけば、食べ物を食べようとするし、
喉が渇けば飲み物を欲しがる。
愛の欠乏感があれば、
愛されることを求めるし、
自分の存在感が心許なければ、
承認され、称賛されることへの
欲求が湧き上がってきます。
そうして、それを満たすような
行動に自分を駆り立てることで、
正常な（本来の）バランスを
取り戻そうとします。
けれど、
その何かしらのアンバランス、欠乏感を
満たすのに、本当に必要なものとは違う、
別のもので埋めようとしたりすることが
しばしばあります。
それが所謂、代償というやつで、
本当は愛に飢えているのに、
食べ物でそれを満たそうとすると、
それは過食症や拒食症といった
摂食障害に繋がっていくし、
恋愛やセックス、ギャンブルや薬物、
アルコール等で得られる快感や高揚感で、
狂おしいほどに満たされない
苦痛を紛らわせ、埋めようとして、
それらの依存症にはまって行ったりします。
私は医者ではないので
医療的なことは言えませんが、
こうして現れた表面的な状態のみを
良くないものだから止めたい、
と言ってもそれは無理な話で、
たとえ薬で物理的に落ち着かせた
としても、心の奥で渦巻く
不足感の狂おしいエネルギー自体を
収めない限りは、
根本的に安定させることは
難しいんじゃないかという気がします。
目に見えない心のエネルギー
という視点でその人に起こっている
身体や生活全般の現象面を
見ていくと、
面白いほどに相関関係が
見えてきて、まさに形は
形になる前のエネルギーの
表れそのものなのだ、という
感慨を深くします。
私たちは生きてきて様々な経験を
通り抜けてくる中で、素敵な体験も
たくさんするけれど、
心に傷を負うような経験も
たくさんしてきます。
そうした経験の積み重ねで、
自分のある要素を歪めたり閉ざしたり
ということをしばしば
してしまうのですが、
それがゆえに心の深いところに
ある種の生命エネルギーの飢餓状態
が起こり、現実的な物質面でも、
欠乏状態を引き起こす、ということが
あったりします。
多いのは、金運関係で、
これには様々な要因がからむので
一概には言えないのですが、
ご先祖様が金銭面のトラブルで
何かとてもひどい目に遭ったとかで
その思いが自分の中に引き継がれていて
お金が溜まらない意識になっている
こともあるし、
いわゆる自分の過去世に要因がある
ケースもあるし、
そして今回取り上げているケースのように、
物質ではない、別のレベルの欠乏感が
何らかの理由で表現できなくなっている場合、
お金などの物質レベルの欠乏感として
表れているケースもあるのです。
もちろん、
別のレベルに強い欠乏感があっても
お金は潤沢という方もありますが、
人それぞれに、出やすいところに
出るのでしょうね。
よく、願望実現ワークなどでは
ブロック解除が言われますが、
こういうケースでは、
願望が実現していくのを妨げる
ブロックを解除するというよりは、
その現象が何の代償の表れなのか
という視点から見ていくことも
一つのアプローチかと思います。
そういう意味でも、
本当に自分が求めているものは
何なのかというのを知ることは
とても大事です。
霊的目覚めや神の愛を求めている
と思っていたけれど、本当は
もっと世俗的で身近なものを
求めている可能性もあります。
けれど、そういうものを求めるより
神の愛とか目覚めとか言っていた方が
より高尚な感じがするし、
自分もなんだか高い位置にいるような
感覚にもなるので、霊的な虚栄心が
満たされる、ということもありますしね。
何にせよ、
何か本当に欲しがっているものとは
違うものを求めている人は、
どこか現実から浮いていて、
しっくりこない感触があるのですが、
それが何であり、本当のところ、
その自身の苦しみがいかばかりであったか
というところに戻っていって、
そこに対処して行くことが
肝要かと思います。