人生で感じる様々なネガティブな感情、
できることなら、そんなものは
味わいたくないものですが、
けれども、
それらにもそれなりに存在意義があって、
大事な役割を果たすことがあるのだと、
ふと思いました。
たとえば、虚しさ。
人生のあらゆる瞬間に、しみじみと
あぁ、幸せだなぁと感じられたら
どんなにか素晴らしいか。
その反対に、
なんて虚しいのだろう。。。
とすべてに満たされずに何とも
生きる気力を失うようなこの虚しさに
心が蝕まれたら、生きていること自体が
辛くてたまらなくなるでしょう。
けれども、虚しさを感じるからこそ、
その虚しさを原動力に
自分がこの世界に生きる意味を
探究し始めたり、
それまで何の疑問もなくひたすら耽溺し、
貪っていた快楽に興味を失い、
足を洗って真に魂が満たされる
真理を求めるようになったり
することもあります。
お釈迦様も、
虚しさのようなものを感じて
全てが満たされていた世俗を捨て、
悟りの探求に入られました。
虚しさは、「これではない何か」に
私たちを駆り立てる力を持っています。
これは、私たちの奥深くでは、
自分にとって必要なもの、
何が正解なのか、
いつどのように在るべきなのか、
というのを知っている感覚がある
ということを意味しているのだと思います。
だから、
生きることが虚しくて仕方がないとか、
今まで打ち込んできたことが、
急に虚しく思えてきてしまったとか、
まるで病のように虚しさに心が
蝕まれてしまって、
自分が廃人のように感じられたとしても、
きっとそれは、
新たな始まりの前兆なのかもしれません。
底なし沼のようなその虚しさにはまると、
二度とそこから這い上がれなくなるのでは
ないかと、深い恐れを感じたりする
こともありますが、
恐れから蓋をして無かったことにしたり、
誤魔化したりするのではなく、
一度、肚を据えてじっくりと
虚しさに向き合ってみたら良いと思います。
何がそんなにも虚しいのか。
虚しさの奥から、悲しみや無力感、
喪失感、不安や絶望感など、
さらに別の感情が浮上してくるでしょう。
それら一つ一つの気持ちの声に
耳を傾けていたら、
本当は自分が何を求めていたのか、
気づくかもしれません。
虚しさは、
間違ったものを求めているときに
感じるものでもあります。
そんなものをどれだけ浴びても、
手に入れても、浸っても、
本当に満たされることはありません。
だから虚しくなる。
それじゃない！という魂の叫びが
虚しさなのです。
だとすると、
その虚しさへの処方箋は、
本当に魂を満たすものに触れること
となりますね。
偽物で自分を誤魔化すのではなく、
本物を求めなさい、という
促しなのでしょう。
最初は、
これこそが自分の魂を満たすものだ！
本物だ！と思っていても、やがて
違和感を感じたり、はっと目が覚めて
これは偽物だった、と思うときも
あるかもしれません。
あるいは、自分の成長とともに、
周囲の状況も変化して、
もはや得たものがかつての輝きを
失っていることもあるでしょう。
そんなときは、
そこで立ち止まらずに、
さらに前に進め、というサインです。
まずは、
気力を失った心に深く命の呼吸をして、
しっかり栄養補給をしましょうね。
それから、
何かが間違っていたのなら、
なぜ間違ったのか、
きちんと総括をしましょう。
その上で軌道修正。
こうして、
魂の差し出すメッセージに
応答していくと、
あらゆる面で停滞していた人生が
息を吹き返していきます。
ちゃんと土台を整えてあげれば、
枯れたように見える命も、
蘇っていくんですね。
だから、
恐れず虚しさの声に
耳を傾けたらいい。
偽物であっても満足している内は、
本物を求める衝動は起こりません。
そのステージから動く必要も感じないので、
そこに留まり続けます。
だから、虚しさを感じるということは、
確かに辛くはあるけれど、
完全に悪いことばかりでも
ないのだと思います。
求めても求めても得られない、
触れられない、届かないときは、
どこか意識の向け方や在り方が
違っているのかもしれません。
逃げているところが無いか、
誤魔化しているところが無いか、
頭で納得させて、概念でやり過ごして
いるところがないか。
それらをよく精査して、
真実のみを問い、求めていきましょう。