人はなぜこの世界で
このような人生を生きるのだろう。
そんなことをふと考えました。
これまで、ことあるごとに
何度も繰り返し問うてきた問い
でもありましたが、
久し振りにまたこの問いが
浮かんできたのも、
様々な方の人生を垣間見てきて、
みなさんそれぞれの目的が
あるのだなぁと感じたからでした。
ある人は、この世は修行の場で
とことん修業しに来ていると言い、
実際、たくさんの病気と試練を
経験されていました。
またある方は、生まれる前から
ある種の神霊と約束を交わしており、
何かしらの計画の一翼の担うことを
その人生の目的の一つにしてきて
いらっしゃるようでした。
また、
別の人生でやり切ることのできなかった
何かしらのことを成し遂げるために
生まれてきている方もあるし、
何度も失敗してきたテーマに
ケリをつけるためとか、
自分の能力がどこまで通用するのか
試し、磨くためとか、
たくさんの人と出会って、
自分の知らないたくさんのことを
体験するため、などなど、
みなさんそれぞれに、
思い思いの目的を持ってこの世界に
降りてきていらっしゃるようです。
だから、
この世界をどんな風に定義しても
良いのだろうし、
人生には意味があるとも言えるし、
意味がない、というのも、
また真なり、と思います。
人間目線からしてみたら、
何かしら大きなことを成し遂げたり、
願いを叶えたり、素敵な人に出会ったり
というのが価値ある人生なのかも
しれないけれど、
何も成し遂げなかったり、
夢破れて打ちひしがれたまま終わるとか
ひどい人たちに囲まれて死ぬとかいうのも、
それはそれで感情的には辛いのだけれど、
それも、
ただ生きた、という一点において、
価値ある人生なんじゃないか、
と思ったりもします。
人間目線の価値基準なんて、
決して普遍的なものではないし、
光もあれば影もあるわけで、
一概に測れるものではありませんからね。
極悪人と断罪された人の胸の内を
誰が知るでしょう。
英雄とその栄光を称えられた人の影を
どれだけ知ることが出来るでしょう。
ダイナミックな人生と、
ささやかな人生とで
価値は違うでしょうか。
何かした人生と、
何もしなかった人生と。
結局は、本人がそれをどう思うか
次第なのでしょうけれど、
良く良く掘り下げて行けば、
私たちは、
価値ある存在であることへの強迫観念に
駆り立てられているところが
あるのではないかな、
と思ったりもします。
価値が無いと、
この世界に生きていてはいけないのか。
生きてるだけで、
価値ある存在だなんてことも
よく言われますが、
そもそもその価値づけをしているのは
誰なのか。
価値というのは主観なので、
絶対に価値づけをしている主体が
いるはずなんですよね。
価値を追う限り、
その価値づけをする主体に
絡み合ってしまうわけです。
まぁ、ビジネスをする限りは
価値づけをする顧客との関係性は
避けては通れませんが、
価値というものの不安定さ、
実体のない虚ろさを思うにつけ、
そこに私たちの本質的な
存在意義を見出すことは不可能
なんじゃないか、と思ってしまいます。
だとするならば、私たちの存在意義は、
価値とは別のところに拠らなければ、
いつまでも無価値であることへの恐怖に
駆り立てられることから、
逃れられないのではないでしょうか。
そんなことを思いながら、
ただ在る、という自分に帰ってくると、
この世界は自分に価値ある存在で在れ、
何てことは全然要求していない
ということに気が付きます。
ただ在る。
それ以上でも以下でもなく、
厳然とここに存在していること以上に、
一体何が必要なのか。
それ以上でなければならない、
という強迫観念が、純粋に自分自身で在る
状態から私たちをあの狂気へと
引き戻してしまうのですね。
私自身、今に至るまで人生の大半を
価値との戦いに費やしてきて、
もううんざりというか疲れたな～
と思ったので、
これからは、価値への強迫観念という
毒気を少しずつ自分の人生から
抜いて行くことを一つの目標に
してみても良いかな、
なんて思ったのでした。