私は今ここにいる。
それ以上でも以下でもないことなのに、
どういうわけか、そのことに
正当な理由や許可が必要だと
思ってしまうケースを
よく見かけます。
自分がみんなの役に立たなかったら、
ここにいる意味がない。
何もできない自分がここにいるなんて、
許されるはずがない。
働かざる者、食うべからず。
そんな思いが根深くインプット
されているのですね。
だから、
常に価値ある人間でなければならないし、
そうで在ることに強迫観念に近い
思いを抱いて、躍起になります。
自分が無価値であるなんて許せないし、
あり得ない。
そして、自分だけではなく、
他者に対する眼差しも非常に厳しく、
貢献を求め、それが達成できないと
ばっさり切り捨てます。
こういう思いを持っていると、
自分が働いたり、その人の思う
何かしらの価値を生み出せている内は
良いのですが、
病気で働けなくなったり、
自分の思う価値を生み出せない状態に
陥ってしまったら、無力感、無価値感、
絶望感の3セットが押し寄せて、
自分で、自身がここにいる権利を奪い、
許すことが出来ないという状態に
なってしまうのです。
たとえ誰もその人に
ここにいてはいけないとは思っていなくても、
居場所を奪っているわけではなくても、
その人の中で、自分の居場所はない
と感じてしまうわけです。
傍から見ると、滑稽な悲劇ですが、
その苦しみを生み出しているのは
他でもない、自分自身であるということに
本人だけが気づかず、言われても
受け入れず、
ひたすらドツボにはまっていくのを
止められないんですね。
感情解放ワークの視点でこれを
読み解いていくと、
その人の中には元々、
何らかの出来事によって生じた
無価値感、無力感、絶望感という
心の傷があったのでしょう。
その人は、
自分がこんな辛い思いをするのは
自分に価値が無いからだ。
無力だからだ、と思い至って、
これを埋めるために、
価値や力を求めるようになったのです。
それが、資格や許可の根っこにあるものです。
けれど、心の傷と後付けの資格や許可は
一見もっともらしい理屈に見えるけれど、
実は全く関係がありません。
その心の傷を本当に癒して
二度と味わうことが無いようにするには、
己に無力さを感じていること、
無価値感を感じていること、
絶望していることを認め、
受け止めることです。
ただ、私たちはしばしば
それを認めてしまったら、
本当に自分がダメになってしまうと
信じ込んでいて、徹底的に認めず、
何とかしてそれから遠ざかろうとします。
でもそれは嘘です。
認め、受け入れても、
私たちはダメにはなりません。
やってみればわかること。
私たちには事実を受け止め、
昇華させ、傷を癒していく力が
ちゃんと備わっているんですね。
それなのに、
自分に備わっているその力を見失い、
傷を恐れ、逃げ、結果的に、
その痛みをずっと抱え込むことを
してしまっているのです。
私がセッションで誘導するのは、
本人が忘れてしまって無いと思い込んでいる
その力に気づいていただき、しかと感じて
真実に立ち返ることです。
別段、私が何か特別な力を
その方に授けるわけでもありませんし、
何か別の概念を信じ込ませるように
インプットするわけでもありません。
感じれば、それがまぎれもなく
本当であるとわかるので、
そんなことをする必要はないのです。
自分の力に気づき、思い出せば、
後はもう大丈夫。
その人自身で勝手に立ち上がって
いきますからね。
たとえどんなに
絶望の淵にはまり込んでいても、
力は、その人から去ってはいません。
ずっとともに在り続けています。
有難いことですね。
ここにいて良い許可を得るための価値なんて、
ナンセンスです。
（法的な許可のことを言っている
わけではないですからね。念のため）
既に私たち自身の内に備わっている
力と言っても良いし、光という方が
しっくりくる方もあるかもしれませんが、
自分を見失っているとき、
帰って来るべきところがそれなのです。
それは、考えるのではなく、
感じることによって知るものです。
けれど、自分を見失っているとき、
私たちはほぼ例外なく頭で考えて
理解しようとしています。
これ故に自分を見失っている
とも言えるわけですが、
ただ静かに、自身の奥深くに心を澄ませ、
感じてみてください。
自分の中の、本当の力を。