隙あらば人生に流れ込んできてしまう恩寵

恩寵は、変わらず私とともに在る。

そう感じて生きられることが

どれだけこの世界で生きることの
孤独と絶望を癒し、心を安らかにさせるか。

かつて恩寵を知らずに生きていたときの
自分と、今の自分との違いを思って、
つくづく有難いことだと感じます。

頭の概念ではなく、それに触れたから、
すごく打ちのめされた霊性の体験も
歩みを止めずにいることができたし、
また自分の準備ができたとき、
戻ってくることもできました。

そして、戻ってきて、
勇気を出して自分を開いてみたとき、
恩寵は変わらずそこに、在り続けていました。

誠実に、真摯に、忍耐強く、
惜しみなく私とともに在ってくれたことに
心からの感謝を。

そして、
受け取れるようになった自分に
祝福を。

恩寵はいつでもともに在るけれど、
必ずしも私たちは常にそれを
受け取れるとは限りません。

どれだけ豊かに注がれていても、
受け取れる状態に自分が無ければ、
受け取れないのです。

受け取れるようになるために、
どんな準備をすればいいのか、
何をしたらいいのかわからないまま、
随分長く苦しんでも来ました。

それでも、
拙いながらに歩み続けていると、
何かしら気づくこと、変化していく
ことがあります。

あのときよりは、少しは
自分を諦めずに踏みとどまれたり、
もう少し冷静に状況を観察して
応答できるようになっていたり。

そういう状況で、
より自分の深いレベルのものを
浮上させられるんですね。

きちんと自分に踏みとどまって、
自身の内に起こることを
受け止められないと、

変に反応して混乱したり、
逃げてしまって、
肝心なところに触れられません。

長らく私は、そうやって
肝心なところからつるつると
逃げてしまっていたのだな、
と今ならわかります。

こういうところ、
ある程度なら自分でできるのですが、
自分一人では、手が届かないところが
ありますね。

だから、恩寵のフィールドの中で、
そういうところが浮上させてもらえた
ということは、私にとっては
とても有難いことでした。

恩寵は、変わらずそこに在るけれど、
それはときにえも言われず、
魂を震わす温かな涙となるときもあれば、

ときに底知れず得体のしれぬ
恐ろしい脅威となって迫ってくる
ときもあります。

受け取る者次第なんですね。

そしてまた恩寵自体は、
マインドでコントロールすることは
できません。

マインドの領域を越えたところで
働くのが恩寵だから、
自分ではなぜ涙が流れるのか、
なぜ体が震えるのか、
なぜ言い表せない何かが体の底から
勝手に湧き上がるのか、
理解できないまま、
ただただそれは起こるのです。

それが心地良い体験であるときもあれば、
なかなかに苦しい体験の時もありますが、
ただ、その時に必要なことが
起こっていくだけ。

それを起こるように起こさせ、
自分を通過させて行けるかどうかです。

引き返す選択はないけれど、
それでも、受け取ると決めていても、
氷河が山の岩肌を削るが如くの
摩擦が苦しく感じることもあります。

日常を過ごしていて、
よくこんなものを抱えて
普通の顔をして笑っていられたな、
と思うのですが、人間ってすごいですね。

逆に言えば、そのくらいだから、
ちょっとやそっとじゃ出てこないわけです。

私たちは、
どんなに自分は正直者だと思っていても、
嘘をつき、自分も他者も誤魔化すことを
もう何十年、何生もやり続けてる達人ですから。

恩寵は、準備のできた者たちに
自分自身の真実に帰ることを促します。

必要な出会いとチャンスをもたらして、
自身の真実を受け入れるよう、
忍耐強く導くんですね。

いつそれを受け取れるのか。
どこまで受け取れるのか。

どれほど不器用であっても、
隙あらば容赦なく人生に恩寵が
浸透してきてしまうことの有難さを思う
今日この頃でありました。

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