自分の中に何か違和感や苦痛があるとき、
それは対処すべきものがある
というサインです。
そういうサインを我慢して抑圧する
という方も多いと思いますが、
我慢は必ずしも美徳ではないんですね。
それは、自分の感覚に蓋をして、
押し込めているだけで、
何ら生産的なことはありません。
抑制がないと、突発的に反応して、
適切でない言動をしてしまう恐れも
確かにありますが、
一呼吸おいて受け止め、
冷静に見て対処するのと、
受け止めないで問答無用で抑圧する
というのでは、意味が違いますよね。
苦しいのに対処すべき人に黙殺される、
頭を押さえつけられるように
ねじ伏せられるのは辛いものです。
人からこんなことをされたら、
さぞかし怒りを感じるだろうし、
恨みに思うかもしれません。
けれど、自分に対しては
驚くほど私たちは鈍感で、
当然のことのようにやっています。
そうして、
抑圧された心の痛みがこじれて
不意に凶暴なエネルギーとなって
暴発したり、
生きる気力を失って、
あらゆるものを諦めて、
体や心を病ませてしまうのです。
今の子供たちの教育がどうなっているか、
子供がいないので実際のところどうなのか
私にはわからないのですが、
少なくとも、
アラフィフの私が子供の頃は、
とにかく我慢に我慢をさせるような
教育を親からもされましたし、
学校でもそういう傾向が強かった
ように思います。
私よりももっと上の世代は、
余計にそうではないでしょうか。
まぁ、個人差は大きいのでしょうが、
社会的な風潮というのは
あったように思います。
だから、我慢することがデフォルト
になっていて、自分が我慢している
ことすら気づいていないことが
多かったりもします。
そうなると、対処すべきことが
発生しているのに、対処するという
意識自体がそもそもなくて、
不具合がずっと続き、
人生が硬直していきます。
感情解放ワークでは、
しばしば、自分から逃げない
ということをお伝えしていますが、
それは苦しいことをがひたすら我慢する
ということではありません。
それでは、ただ目をつぶってぐ～っと
心と体を縮こませて固まっているだけで、
それもある種の逃避ですよね。
そうではなく、
自分にしっかり向き合って、
必要な行動を適切に随時行っていく
必要があります。
今いる状況に留まっていては
自分の身が危ういのだとしたら、
そこから動かずにいたら、
自滅してしまいます。
どうしたら自分を大切にすると言えるのか、
形だけ状況から逃げないで踏みとどまって
いるようで、実は肝心の対処すべきこと、
見るべきことからは逃げているということも
ありますよね。
そういうところで浮上している
恐れや不安、ズルい気持ち、あらゆる弱さを
ちゃんと統合して、その時為すべきことを
為すのです。
あらゆる可能性を探求したうえで
離れることが最善だと判断されるなら、
退避を実行することがその場での
適切な対処なのでしょう。
それは、自分の人生から逃げている
ということではないですよね。
地に足を着けて、自分で考え、自分で決めて
自分で行動する、ということが出来たとき、
私たちは自分の人生を生きている実感と、
自分の人生を自分で創造している
充足感が得られます。
ひたすら抑圧し、我慢することに
エネルギーを使うのではなく、
瞬間瞬間、その状況にどう応答するか
という視点から創造的に
エネルギーを使いましょう。
そうすると、
同じ状況にいても、
ただ固まって耐えているだけではなく、
たとえ見た目に何も動いていない
ような状況でも、その人の意識は
常に可能性を探求することに
向けられ続けます。
自分がただ逃避したいだけなのか、
適切に対処している結果なのか、
自分から逃げず、主体的に
向き合い続けた人なら
わかるはずです。
ときには、
今の自分の実力ではどうやっても
越えられない壁にぶつかるときも
あるでしょう。
でも、やるだけやってダメなら
引くしかないのです。
そうして、将来、さらに
レベルアップした自分になったとき、
この出来事に再びチャレンジする
チャンスが来るかもしれないし、
あるいは、もう既にそれが
問題にならないようなところまで
成長してしまっているかもしれません。
自分自身の可能性の探求は、
常に現時点での自分の限界を知ることと
隣り合わせです。
そういうことを踏まえたうえで、
その時、何が適切な対処なのか、
自分で決めて、行動するのです。