私たちは、しばしば
未来へのとてつもない恐れに押しつぶされて
今を十分に生きられないということが
あります。
それは、老後の不安だったり、
余命宣告を受けたが故の絶望感だったり、
もう二度と会えなくなる人を
失うことへの喪失感や孤独だったり、
とにかく、これからやってくるであろう
出来事によって引き起こされる、
何か耐え難い苦しみが
恐ろしくて仕方がないのです。
たとえそれが漠然としていて、
本当のところ、自分が何を恐れているのか
はっきりとわかっていなくても、
否、わからないが故に
得体の知れない恐怖で混乱し、
訳が分からなくなっているのです。
そうして、
まだそれがやってきてもいないのに、
今この瞬間に与えられているものが
受け取れなくて、
両手から零れ落ちていきます。
自分を見失わせている
その恐怖と混乱、耐え難い苦痛を
しっかりお迎えに行って、抱きしめ、
統合してあげましょう。
すると、心は落ち着いて、
ホッとします。
そして、今この瞬間にできることを
心を尽くしてやりましょう。
そうしている内に、
思い描いていた恐怖の未来が変わります。
あれほど恐れでいっぱいだった未来が、
温かく満たされた今によって癒され、
その時がとても祝福された時間になります。
永遠の別れの瞬間も、必ずしも
悲痛な絶望の時間とは限りません。
とても豊かで満たされた、
祝福された時間にすることも
できるのです。
ただ、混乱と恐怖に溺れていたら、
そんな可能性には辿り着けません。
思い描いた通りの恐ろしい現実に
まっしぐらになってしまいます。
毎瞬毎瞬、やめておけばいいのに
恐ろしい地獄の様相をありありと思い描いて
せっせとその実現化にエネルギーを
注いでいるのですね。
恐怖に駆り立てられた心には、
こういう流れを止めることが出来ません。
なぜなら、
そういう心をコントロールするはずの自分が
現場である自分自身から逃げ出して
どこかに行ってしまっているので、
制御できないんですね。
ということは、
どんなに恐ろしくても、
この現実、ここに居る自分自身に
戻ってこなくてはいけないのです。
そのときに、いつもお伝えしているように、
呼吸と自分自身を感じることが大事なのです。
自身が感じていることをアンカーにして、
呼吸によって、分離したエネルギーボディと
肉体をぴったりと重ね、接続していきます。
単に、スーハ―しているだけじゃないんですね。
この接続がきちんとできると、
モンスターのように暴れている
恐怖などの感情のエネルギーも統合し、
収めていくことが出来ます。
そうして、
今この瞬間の自分に深く根を下ろし、
どっしりと目の前の現実に向き合い、
適切に対処できるわけです。
恐怖のフィルターで地獄のように見えた世界も、
こういう自分から見たら、なんと美しく
優しい世界に見えることでしょう。
同じ場所にいるのに、
これほどまでに生きる世界が違うのです。
自分自身の在り方ひとつ。
自分の中の地獄を、天国にしていきましょう。
あなたにはそれができるし、
あなたがそうするほどに、その影響は
あなたの周囲に広がっていきます。
あなたが、自分を通して
世界を素敵なものに変えているんですね。
無理にポジティブシンキングをする
必要はありません。
ただ、在るがままに
自分の内側の世界を認めて、
自分というこの存在を通して
変容させていくのです。
臭いものに蓋をして、
表面だけ取り繕っているのは
根本的な対処ではなく、
単なる先送りです。
誤魔化している分だけ、
より悪質、と言えなくもないですね。
自分の中の弱さ、未熟さ、醜さ、ズルさなど、
人間目線の善悪の基準で断罪するのではなく、
その奥にある苦しみの核心を、
溺れることなく生きてあげるのです。
そういう、変容の器たる自分で在るとき、
あなたはもう、それらを恐れることは
ないでしょう。
異物で対処すべきところを埋める
パテ職人になるのではなく、
本質を見て、在るべき姿に戻していく
導師または錬金術師になりましょう。
あなたの人生の質感が、
より精妙で美しいものに
なっていきますように。