最悪の自分すら愛するということ

セッションをお受けになられた方から、
解放された後、また戻ってしまうことが
ありますか?というご質問をたまに
いただくことがあるのですが、

基本的に、統合が起これば戻ることは
ありません。

ただし、
戻ってしまったように感じられることは
あるでしょう。

どういうことかというと、
感情は微妙に異なったスペクトルの
ものが重層的に重なっているため、
ある種類の感情はクリアになったけれど、
少し違った別の感情が残っているケース
もありますし、

今の自分が受け止められる質と量の
感情のチャージのみを受け止めたために、
まだ今の自分には手に余るチャージが
残っているケースもあります。

基本的に、統合できる感情は、
その時の自分の器の分しかできません。

けれども、
そういう統合を続けていくにしたがって、
自分の受容できる器が育っていくんですね。

すると、やがて、かつての自分では
とても受け止められなかった感情が
受け止められる時がやってくるのです。

そういう自分になって初めて
開く扉があって、できる深い統合
というのがあるんですね。

同じテーマで何回も取り組むことが
あるのも、そのためなのです。

私たちの心を深く掘り下げていくと、
冷たい軽蔑の念の奥に激しい怒りと憎悪が、
その奥にさらに嫉妬と焦燥感、無価値感と絶望、
無力感が、といった具合に次々に別の感情が
出てきます。

そうして、核心の感情まで統合し切った時に、
完全にその出来事が昇華され、
愛と感謝に変わるのです。

けれども、最初からここまで深い感情に
触れていけるわけではありません。

ものすごく濃密でネガティブな
感情のエネルギーに、私たちはしばしば
及び腰になり、意識の焦点がぼやけて
ズレてしまいます。

最初からかなり上手にそうしたものに
意識の焦点を合わせられる人もいますが、
大抵は誘導についてくるだけで
いっぱいいっぱいなものです。

中には、掘り下がって核心に迫ってくると、
巧みに言い訳や責任転嫁、眠くなる、
意識が飛ぶなどの抵抗が起こってくる人も
少なくありません。

最も核心の、最も触れたくないところに
触れていくその意識力と胆力が
自分に向き合っていく作業には
絶対的に不可欠なのです。

それは、頭で考えて整理納得して
収める力とは全く異なるもので、
別次元の話です。

そういうところの力が自分の中で
育ってくると、ふわふわ浮足立った感覚が
ぐっと地に足がついた感覚に
変わっていくでしょう。

よく、自分との戦いと言いますが、
結局のところ、何と向き合っていようと、
自分の中で起こることからどれだけ逃げずに
対峙できるかがすべてなのだと思います。

自分の中の恐れ、不安、焦燥感、羞恥心、
憎しみ、罪悪感、悲しみ、怒り、惨めさ、
絶望感、無力感、無価値感、淋しさなどなど、
それらに飲み込まれずに、受け止めること。

それができるほどに、恐れはなくなっていきます。

それらを前にしても、
自分がそれを昇華させることができる
とわかっているので、
逃げる必要がないんですね。

でも、自分にそれができないと思っているとき、
自分が壊れてしまう、飲み込まれてしまうと
思って、人はそれを恐れます。

恐れ、逃げ続ける人生が嫌なのであれば、
対峙して、少しずつでもそれらを
昇華させることができるという実体験を
積んでいくことです。

実際それは、可能なのですから、
今この瞬間からでもできることは
あります。

ネガティブでいっぱいの自分を
嫌う人、憎む人は多いけれど、

どれだけ汚れた醜い自分に思えようと、
恐れ、悲しむ必要はありません。

それを変容させる力が、
あなたにはあるからです。

ネガティビティが大きいほど、
変容の振り幅も大きく、
より光も強くなるのです。

悲しむなかれ。
喜ぶべし。

そんな自分を見捨てることなく、
ひたすら、慈悲深く在れ。
許すべし。

勇気を奮い立たせて、
気高くあるべし。

今どんなに自分がみすぼらしく思えても、
あなたが自分を見捨てない限り、
何の問題もないのです。

最悪の自分とすらともに在ることができる
ということが、どれだけ勇気あることなのか。
愛のあることなのか。

あなたはそのことの価値が
わかるだろうか?

たったそれだけのこと、
と思えるかもしれないけれど、
それすらもできずに自分を見捨て、
裏切る人がどれだけいることか。

あるいは、
自分自身がそうしてきたでしょうか?

でも、今の自分は自身を認め、
慈しみ、側にいることができるとしたら、
それはどれほどの成長でしょうか?

そのことは、
何ら派手な奇跡ではないかもしれませんが、
紛れもなく恩寵が導いた結果であることに
違いはありません。

私たちの魂の成長は、
ほとんどがこうした地道なもので
あろうと思います。

目の覚めるような奇跡ばかりが
すごいのではないのです。

最悪の自分すら愛せるようになった時、
あなたは周囲の人の中にも、
深い愛を見出せるようになっているでしょう。

そのときあなたは、
もはや愛を求めて貪る人ではなく、
溢れんばかりの愛をこんこんと
自らの内に湛える人になっているでしょう。

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