自分に向き合うことの苦しさを越えて

感情解放ワークのセッションで、
なかなか自身の感情を捉えられない
という方も少なくないのですが、

感情全般に抑圧がかかっている方もあれば、
ある特定の感情がさっぱりわからない
という方もあり、

抑圧と一言で言っても
その在り様は様々です。

たとえば、
怒りを抑圧している人は、
これは普通だったらめちゃくちゃ怒って当然
というような場面でも、へらへら笑っていたり、
黙り込んでいたり、悲しくなって
泣いたりしています。

さっぱり怒りの感情というものが出てこなくて、
ご自身でも自分の内に怒りがあることを
認識していません。

けれども、本当に無いかというと
そんなこともなく、

様々な方法で抑圧を解いて、
怒りを感じること、表現することを
自分に許可をすると、ちゃんと
怒りが噴き上がってきます。

同様に、悲しみや悔しさ、惨めさなど
様々な感情を、ピタッと蓋をして
感じなければ気づきもしない
というように封印していたりするのです。

こういう場合、抑圧の強さによって、
〇〇という感情はないでしょうか?
と質問されたときに、そう言われてみれば、
確かにそれはある、とわかる場合もありますが、

言われて改めて自分の感じているものを
確認しても、さっぱりピンとこない
ケースもあります。

当然、後者の方がより抑圧が強い
わけですが、前者の場合も、
言われて気づけたから良いかというと、
このパターンが繰り返される場合は
少し注意が必要です。

抑圧を見つけてそれが徐々に自分でも
気づけるようになっていくのだったら
問題ないのですが、

同じように繰り返される場合は、
ワークがきちんと完了できていない
ということを意味するので、
どこかの段階で微妙に感じることから
逃げています。

こういう、全部受け止められていない
訳ではないけれど、微妙に取り残しがある
というパターンも、

がっちり抑圧がかかっている場合と同様に、
別のレベルでの難しさはありますね。

感情解放ワークの世界観では、
ネガティブと言われる感情も
ポジティブと言われるそれにも、
善悪はないと考えます。

どんなに醜いと思われる感情であっても
悪ではないし、一般に良いとされる
感情であっても善ということもないのです。

けれど、特にネガティブと言われる
感情が自分の中に見えると、
多くの場合、私たちは反射的に
それを否定し、抑圧する反応を
してしまいがちです。

中には、心底それらの感情を憎んで、
そんな感情を抱く自分が嫌いだ
という人もあります。

けれども、そうであったとしても、
それは紛れもなく私たちの一部なのです。

それを否定して、
私たちの生の全体性を生きることは
できません。

そして、ポジティブと言われる
感情に固執しても、健全ではないのです。

ネガティブと言われる感情を
殊更に嫌い、悪だと考えるのは何故か
と問えば、おそらくほとんどの人が、
それらの感情を抱くが故に、苦しむからだ
と答えるのではないでしょうか。

けれど本当の問題はそこではありません。
私たちがそれらの感情の適切な扱い方、
対処の仕方を知らないということこそが
問題なのだと私は思います。

私たちだって、自身の存在を悪とみなされ、
否定され、排除され続けたら、
ひどく傷ついて反抗的にもなるでしょうし、
そのように扱う相手に対して、
怒り、悲しみ、恨みもするでしょう。

感情のカケラたちは、
最も受け止めてほしい存在である
自分自身から否定、排除され、
抑圧され続けてきました。

このような状態で、
大人しくしていろという方が
無理というものです。

つまり、
私たちがそのような扱いをするから
それらの感情は暴走し、手の付けられない
モンスターになって暴れるのです。

きちんとその存在の尊厳を認め、
しかるべく扱っていたら、
あれほどに荒れることもなく、
落ち着いているでしょう。

感情は、抑圧するほどに苦しくなり、
どうしようもできなくなるのは
そういう理屈です。

こういう世界観をまずインプットして、
自分自身の感情を受け止めていくわけですが、

ワークをしても頭の理解で小手先でやっていると、
本当に感情のカケラに向き合うこともせず、
自分の都合のいいように予定調和に持ち込んで、
肝心なところは逃げたまま、完了したつもりで
澄ませている、という状態になりがちです。

そういう人の根底にあるのは、
やっぱり見たくない、受け止めたくない、
嫌なものを嫌々やらなければいけない
という義務感だったりします。

分離・抑圧された感情のカケラ君たちを
お迎えに行って統合するのは、
愛ゆえです。

嫌々義務感で愛するなんてことが
できないように、そのスタンスは
偽善でしかありません。

自身の感情のカケラ君たちに
そのように接しているということは、
周囲の最も愛すべき人たちに対しても、
そのように接している可能性が大です。

向き合うことの苦しさを越えていく中で、
私たちはより深い愛に目覚めていく
変容を体験していきます。

理想を体現する前の、
産みの苦しみを越えていく
肚を決めていきましょう。

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