何かや誰かを許せない！と思っているとき、
エネルギーは固くなり、流れが滞ります。
本当は、そんな風に固くならず、
滞らない方が良いのはわかっていても、
なかなか許し、緩むのは難しいですね。
許し難きを許し、緩むには、
今自分の中で起こっているそのエネルギーを
逆向きにしなければいけないので、
今のエネルギーの状態で保たれている
バランスや構造が崩れてしまう混乱を
通過しなければいけません。
中には、それがすんなり苦も無く
できてしまう人もいるのですが、
思い込むのではなく、本当にできる人は
そう多くはないような気がします。
でも、やってやれないことではないんですね。
ただ、あーだこーだ言わないで、
突っ張るのを止める。
ただそれだけのこと。
自分が負けるとか譲るとか、
自分の気持ちをないがしろにする
とかいうのも違う。
ただ、頑なになって、
自分を閉ざすのを止めるだけ。
それ以外のいかなる意味も
付加しない。
それ以上でも以下でもないのです。
自分で、それ以上の意味を
あれこれくっつけるから、
身動きが取れなくなるんですね。
許すことで、自分の気持ちを
ないがしろにしたわけでもないし、
負けたわけでもないのです。
ただ、自分を開き続けると
選択しただけ。
自分の在り方は、
自分で決められます。
許せるようになるために、
どうすればいい、というのも
確かにあるけれど、
それをやってもどうしてもダメならば、
後は自分で在り方を決めるしかありません。
何が本当に自分にとって最善なのか、
決して良い状態ではないと
わかっていることを続けるのは
自分を大切にしていることになるのか。
自分のために、決断するんですね。
硬直した気持ちを反転させるのは、
その部分だけではなく、
それに付随した心の構造のすべてに
影響を与えます。
自分に正義によって成り立っていた
世界観や、相手を傷つける権利、
被害者である優位性、得られるもの、
進まないでいることや
できないことの言い訳など、
崩れていきますね。
だから、向き直るのは
なかなかに容易でないのです。
でも、いったん決断して
その方向に動き始めたら、
そのように硬直していた諸々の構造は
あちこちで生じた不規則なエネルギーの濁流に
飲み込まれていきます。
そうやって、突っ張っていたものが
壊れていくから、新しい自分が
生まれてこられるんですね。
突っ張った自分のまま、
相手が謝ってきたら許してやろうとか
思っている内は、自分は変わらないし、
結局またどこかで同じ目に遭って、
許せなくなるでしょう。
新しく生まれた自分は、
それまでのものの見方、考え方、
感じ方も違っているでしょう。
その自分だから、
それまでの行き止まりの世界ではなく、
新たな世界に歩みを進められるのです。
硬直が解けた視野に、
それまで見なかったふりをしてきた
様々な自身や世界の側面が見えてくる
でしょう。
結局、閉ざしていたのは、
許し難き相手ではなく、
自分自身なのかもしれませんね。
自分を開き続けると決めることは、
そういう自分を見つめ続ける
と決めることでもあります。
そして、それまで思い描いていた
世界と自分自身の、別の可能性を
掘り上げ、磨きぬいていく。
そういうことなのかな、
という気がしています。
思い返せば、私自身、
許せない人や存在、許せない出来事が
まだまだあります。
それらを許す、と決めて向き合っていると、
絶望的なまでにべったりと貼り付いていたものが
解けていきます。
怒りはあっても、
それと許さないこととは
別のことなのだな、
と思いました。
怒っていても、許していいというのは、
新たな発見でした。
そこを切り離すことができると、
純粋に怒りやその他の感情に
取り組むことができるメリットも
あります。
これまでよりも、もっと軽やかに、
シンプルにそれを見られるんですね。
なんというか、怒りの裏地が取れて
スカスカになっているというか、
不思議な感じです。
そうしてしばらくすると、
あれほど何度も何度も思い出しては
怒りを新たにしていたのに、
今はそのモチベーションを保つこと
自体が難しくなっています。
こういう感覚は、許しだけではなく、
たとえば、辛さと幸せをセパレートする
ことにも応用できそうです。
つまり、辛いからと言って、
必ずしも不幸せでいる必要はないというか。
インドの聖者アンマは
幸せでいると決める
ということを言っていますが、
今まではその意味が分からなかったのですが、
そういうことなのかな、と少し理解に
近づけたのかもしれません。
色々、気づきの多いワークでした。