最近では、ものごとの流れが速いと
皆さんおっしゃっていますが、
それでも、この世界では、
原因から結果が出るまで、
ある程度の時間がかかります。
すぐに結果が欲しくても、
機が熟さないと結果は表れてこないんですね。
私たちは、願うような結果が欲しくて
様々に努力したりコントロールしたり
するわけですが、
結局、それが本当に報われるかどうかは、
私たちの手を離れたところのもの
であるように思います。
だから、
人事を尽くして天命を待つ
などと言われるんですね。
どれだけ自分にできる精一杯のことを
やり尽くしても結果が出ないこともあるし、
それほど努力していなくても、
あっさり望みが叶ってしまうときもあります。
潜在意識の使い方だの様々なテクニックが
言われますが、そういうものに出合っているか、
使いこなせるかどうかも含めて、
それも運と言うか、実力というか、
私たちの手を離れたところの
恩寵ではないでしょうか。
インドの有名な聖者ラマナ・マハルシは、
「私を覚えていることが恩寵である」
と言っていますが、
そういう聖者に出会えることも恩寵であれば、
出会ったこと自体を翌日も、数年後も
覚えていること自体、まさに奇跡です。
例えば、イエスや仏陀のような聖人に
今生、どこかの街中ですれ違っていたとして、
彼らの真価に気づけるかは、
砂漠で一粒のダイヤモンドを見るける
よりも難しいかもしれません。
私がこれまで出会った中で、
得難い出会いであったと思うのは、
レナード・ジェイコブソンですが、
仏陀のようなその深いプレゼンスを体現する彼が、
セミナーが終わって街中で一人で歩いていたら、
私は単に、背の高い外国人のおじさんが
歩いている、くらいにしか思わないでしょう。
そして、いまだ私は彼が差し出すその恩寵の
ほんのカケラしか、受け取れていないのです。
それが今の私の掛値のない実力であり、
言い訳のしようもない事実です。
けれども、彼の教えに出合って十余年、
もがき続けてきて、ほんの少しだけ、
できるようになったこと、わかってきたこと
などがないわけではありません。
数年前はどうやってもわからなかったことが、
今は感覚でほんの少し、触れられるように
なっている自分にある日ふと、気づくんですね。
変わり映えのしない冴えない日々を
重ねているようでいて、それでも
何かが私の中で積み重なって、
化学変化を起こすように、知らぬ間に
何かが変化しているようです。
多くの人は、劇的に、何かがバ～ンと派手に
変化するような目覚ましい変容を期待しますが、
大概、そういうものは体感ほど
大きなことではなくて、過ぎてみれば、
思ったほどでもないとか、
その変化についていけない他の部分の処理が
その後重くのしかかるとか、一発ですべて解決！
というものではないように思います。
大きな変化を起こそうと思えば、
それに耐えうる基盤を準備しなければなりません。
それが、知らずに準備されてしまうときも
あるでしょうし、着実に計算して
積んでいくときもあるでしょう。
いずれにせよ、そういう歩みができる
ということ自体、マハルシが言うように、
恩寵なのだと思います。
努力ができる環境にあることや、
努力を積み重ねることができる才能は、
誰にでも平等に備わっているわけでは
ありません。
そして、重要な出会いのタイミングで、
その存在の真価を見分けられる目を
持っていること自体、既に奇跡です。
そういう歩みができることが、
既に恩寵でなくて何だと言うのでしょう。
人生に流れる、自分を越えた
何か大きなものの恩寵の感覚を
初めて感じたのは何時だったのか。
振り返ってみれば、
子供のころに感じていたあの感覚が
それだったような気もするけれど、
明確に認識し、ぐっとそれが深まったのは、
やはり今お伝えしている感情解放ワークを
生み出すためにもがいていたあのときだと
思います。
ものすごく苦しかったけれど、
自分が常に恩寵とともにあることを
何度も、強く感じていたからこそ、
歩み切れた道のりでした。
あの恩寵とともに歩んでいるとき、
私の人生は私一人のものではないことを
感じていました。
同じように、すべての人の人生もまた、
この大きな恩寵の中で、
一人のものではないのです。
今日は久しぶりに、
あの恩寵の感覚を思い出しました。
自分のエゴの力技で頑張るのではなく、
この大きな恩寵にゆったりと身を任せて
力を抜いて過ごしてみようと思います。