よく、過去は変えられないと言いますね。
確かに、起こった事実は変えられない
のかもしれないけれど、自分の中での
その出来事の意味合いは、いかようにも
変化しうるものだと思います。
そこに、癒しや昇華、変容の可能性が
あります。
ヒーリングワークをすることで、
伝えられることなく仕舞い込まれていた
思いを吐き出し、実際には叶わなかった対話を
完了することで、わだかまっていた感情が
溶けて流れていきます。
このとき、自分だけの都合の良い
予定調和のシナリオを演じるだけでは
本当には完了しないのですが、
自分はもちろん、相手の思いや気持ちまで
しっかりと完了させることで、
その出来事を思い出すたびに鉛を飲み込んだような
気持ちになっていたのが、すっきりと晴れやかに、
受け止められるようになります。
この辺り、自分でイメージワークをやってみて
うまくいく人と行かない人がいるのは、
独り善がりのシナリオで進めていないかどうか
というところがポイントになるかと思います。
それは、魂の差し出した課題を
きちんとクリアできたかどうか、
ということでもあるのですね。
何故その出来事が起こったのか。
それは、どこか偏っていたり
歪んでいたりする自身の要素に気づかせ、
修正させるために起こっています。
であるならば、
自分の都合からしかその出来事を
見ないのなら、気づくことも
軌道修正もできるはずがありません。
今の自分にはまだ気づけていない、
何かに気づき、見なければいけないわけです。
相手は、どんな気持ちになって、
どんな風に思って、そんな態度を
取ったのでしょうか。
自分の視点から、相手のことを
きっとこうだろう、と想像するばかりでは
見えてこないものがあります。
ではどうすればいいのか。
これは以前にも書きましたが、
感情解放のセッションでは、
自分の意識を相手の意識の中に移動させて、
相手の視点から自分を見てみる、
ということを良くやります。
相手への嫌悪感が強すぎる場合は
なかなかうまくいかないことがあるのですが、
これができると、本当に想像していただけでは
気づかなかった相手の思いや感情が
手に取るようにわかるのです。
自分に、きつい態度で当たってばかりいた人が、
実は、自分のことをとても気遣って
悪癖を直そうと敢えて厳しく接していたとか、
一見、自分に対して優しい態度で居た人が、
実は下心満載で誠実ではなかったとか、
相手は、本当は穏やかで優しく在りたかったのに、
心の中に抱える様々な痛みから、
つい辛く当たってしまっていたのだとか、
色々見えてきます。
そして、そのように相手の中に感じ取れた
厳しい愛や、不誠実さ、傷ついた気持ち、
恐れや無力感などは、あなた自身の中に
あるものと、完全に一致するのです。
そこに気づくかどうかが、
非常に重要な変容のカギになります。
あなたが反発していたのは、
自分自身の中にある、認めたくない要素を
相手の中に投影して、攻撃していただけ
なのです。
要するに、自分自身と戦っていたわけですね。
このことを、頭だけで納得して
そういうものなのか、
と上っ面で流すだけでは、
変容は起こりません。
なぜなら、
見るべき自身の要素に本当には
対峙できていないからです。
自分が何から逃げていたのか、
実際に触れ、それを統合していくのは
頭で、マインドの領域でできること
ではありません。
その辺りを都合よく分かったふりをして
収めるから、いつもどこかすっきりしないまま
分かってはいるのよね～って感じで
何も変わらないのです。
先走って予定調和で完了したふりをしてしまう
癖のある方は、要注意ですね。
鏡の法則のことを言う人は多いけれど、
鏡を使いこなしている人は
そう多くはないように思います。
鏡は、自分の見えない部分を
非常によく映し出して見せてくれるものなので、
内観される方は、うまく使うと
飛躍的に気づきと変容のプロセスが進みます。
自分の中にたくさん抱えていた心のしこりが
次々に完了して、歪んだ視野が正され、
心の鎧が外れ、切り捨てていた領域を
取り戻していったときに、
この世界への見え方、感じ方は
まるで違ったものになるでしょう。
傍から見ても、そんなあなたは
別人のように軽やかで、輝いて見えるに
違いありません。
そのとき、あなたの過去はもはや
重荷でも黒歴史でもなく、
ただただ、愛と感謝のギフトになるのです。
そこには、無力で哀れな被害者、
怒りや恨みに身を焦がす修羅であった人は
もう存在していません。
一つの同じ存在が、地獄の悪鬼から
世を光で照らす聖者の如くの存在に
変容するのは、全くおとぎ話でも夢物語でもなく、
実際に起こることなのです。
闇が深いほど、光もまた鮮烈です。
さて、あなたの人生のチャレンジはいかに。