人間、生きていればいい時もあるし
そうでないときもあります。
今、何の心配もなく気楽に生きている
ように見える人でも、ちょっと前は
生きているのが不思議くらいなときも
あったかもしれません。
それでも、人に言えないような
苦労をしたとしても、否、そうであるからこそ
敢えて何も言わずに笑っている人もいます。
わからない人にはわからないだろうし、
わかる人には、言わなくてもわかるでしょう。
人生で、それが避けて通れないこと、
他に替わりがなく、やるべきことであるならば、
できるかどうかとか、やったらどうなるかとか
未来の保証がなくても、やらなければなりません。
他に道があるのなら、
気が済むまで可能性を模索すればいいでしょう。
けれど、あらゆる可能性が消えて、
やるしかないのなら、
どれだけ恐くても、不安でも、
そういう気持ちを受け止めて、
肚を決めるしかないのです。
そういう道を歩み始めたら、
そこで湧き出てくるあらゆる気持ちを
自分一人で引き受けなければなりません。
誰か応援してくれる人や、
見守ってくれる人がいたとしても、
（もちろんそれは力になるでしょうが）
自分の歩みを進めていくのは、
自分だけだからです。
誰かが替わってその道を歩いてくれる
わけではありませんし、逆に、
そういう提案をしてくる存在には
よくよく注意を払うべきです。
魔が入りやすいのはそういうときだからです。
助けてもらうのは人生の折々で必要なことですが、
自分で歩まなければいけないところまで
手放してしまってはいけません。
このあたり、どう判断したらいいのか
というご質問もありそうですが、
本当に自分自身の人生の責任を
自分で引き受けようと決めた人なら、
それは自ずからわかると思います。
そういう覚悟を決めていない人に
いくら説明をしたところで、
理解することはないでしょう。
逆に、その識別ができないのであれば、
まだ本当に自分の人生に向き合えていないのだ
と言えるかもしれません。
自分に逃げているものがあるとき、
それに直面するのは、
絶対に避けてはいけないことです。
いかに苦しかろうと、不安だろうと
恐かろうと、それらを受け止めて、
見なければいけません。
けれど、きちんと直面したうえで
自身の課題を越えていくためのサポートが
必要であるのなら、躊躇なく助けを求める
べきだと思います。
自身が自立するために、力を借りるのですね。
逃げているときに受ける助けは、
結果的に自分を自立させることには繋がらず、
ただ問題の先延ばしになるだけである、
という明確な違いがあります。
自分が立とうとしているのか、
逃げようとしているのか、
自分でわからなければいけない、
ということです。
未熟な自分、無力な自分、
理想とは程遠い自分に対峙することは、
とても苦しいことだと思います。
けれど、その苦しさをもがきながらも
越えていくからこそ、
成熟していくこと、
力をマスターすること、
理想を体現することの難しさや、
その人がこれまでどれほど
努力してきたのかがわかるので、
他者や自身の歩みをリスペクト
することができるのです。
人の成果を気軽に盗む人は、
そのことの尊さは理解できないでしょう。
だから、盗んだものも、
大切を扱うことができません。
現状の自分を拒絶しながら理想を追う人は、
理想とは程遠い自分に直面する
苦しさから逃げていますよね。
自分が越えるべきことからも
逃げた状態で理想を追うから、
地に足がつかないのです。
できない自分を蔑み、批判し、責めながら
スタート地点にも立てないから、
延々と空回りしながらますます
ドツボにはまっていきます。
これを噛みあうようにしていくには、
最も受け入れ難い自分である、
という現実を踏まえたところから
始めるしかないでしょう。
どれだけ未熟でも、思うように
いかなかったとしても、
その自分から始め、
その自分で歩んでいくしかないのです。
その自分を見捨て、切り離し、
蓋をして他人のふりをしているから、
自己実現していくはずの場を失うのです。
自分の人生を放り出して、
他人の人生を生きようとしたり、
逆に、入り込んでこようとする存在に
明け渡したり、ということを起こすのも、
そういう傾向のある人ですね。
自分の人生に現実感がないとか、
フワフワしていて力が入らないとかは
自分から逃げている人の特徴なので、
本当に自分の人生を生きたければ、
自分自身に対峙する苦しさを
今の自分の器できちんと受け止めてみること
から始めてみてはどうかな、と思います。