幼少期の家庭環境というのは、
人生に大きな影響を与えているものだな
と常々感じているところではあるのですが、
先日もある方とお話をしていて、
こんなところにまで影響が及んでいたのだな
と思うところがあったので、参考までに
書いてみたいと思います。
その方は、お父様がとても癇癪持ちというか、
突発的に怒りを爆発させる方で、いつも
父親の顔色を伺いながら生活されていた
ところがあったそうです。
サロンにはそういうお父様をお持ちの方が
何人もいらっしゃるのですが、異口同音に
聞かれるのは、
自分が心を許して接した次の瞬間に、父親が
突然怒りを爆発させて深く傷つけられるので、
常に構えているようになった。
またいつ傷つけられるかわからないから、
というものでした。
なぜ彼が怒っているのか、納得できる
理由もわからず、理不尽に暴力的な怒りの
エネルギーにさらされるので、
安心して心が開けなくなってしまうのですね。
それが、父親に対してだけなら
まだ影響は限定的で済むのですが、
人付き合い全般でそういう姿勢に
無意識にもなってしまうのです。
本人は、割とリラックスして話している
つもりでも、どこかぎこちなかったり、
相手の気持ちと微妙に距離があるので
今ひとつ捉えきれずに、自分が相手に
不快な思いをさせているんじゃないかと
心配しすぎたりします。
けれども大抵の場合、
それは本人の取り越し苦労で、相手は
全然何とも思ってなかったりすることが
ほとんどです。
その方とお話をしていて、
よく感じていた微妙な壁は何なんだろう?
と以前から思っていたのですが、
お父様の話が出てなるほど、これか。
と腑に落ちた感じでした。
そして、影響はそれだけにとどまらず、
その方が自身の体や心に向き合うときの
意識のフォーカスの仕方にも及んでいて、
とても丁寧に、一生懸命真面目に
観察されているのだけれど、
どこか見ているところが浅く表面的で、
もう少し「奥」に意識を向けられると
いいのにな、と常々思うところがありました。
その見方の原因も、
「気を許して親しく触れ合うことができない」
という父親の影響が深く刻まれていることに
この時初めて気づいたのでした。
一見全く別のことに見えていたことが、
根っこのところで繋がっていたのを発見した
瞬間でした。
そういう視点でものごとを改めて眺めたときに、
その方の言動、思考パターン、意識や体の使い方
それぞれが、バラバラのパズルのピースが
ぴったりとはまったように感じたのでした。
あとは、バズルの要である制限となっている
父親によって刻み込まれたプログラムを
統合していけばいいだけです。
こういう、要となっているピースが
はっきりとつかめたときは、
そこにピンポイントで適切な対処ができれば
とても広範囲の生き辛さの諸々が
一気に解消したりします。
人付き合いの仕方も、自分の体や心との
向き合い方も、格段に楽に、より親しみを持って
接することができるでしょうし、
今までは感じられなかった安心感や信頼、
喜びも感じられるようになるでしょう。
理不尽に、突然晒される暴力的なエネルギー
に対して、防御の態勢を取るために
しばしば感じることを停止させていたり、
意識が体から遊離していたり、様々な
防御機構を作り上げているものですが、
心身に残っているそうしたエネルギーを
取り除き、停止していた機能を回復した後は、
なぜこのような体験をするに至ったのか、
その種の部分にまで対処していきます。
なぜ、そのような親の下で生きる人生が
自分に起こって来たのか、という部分ですね。
この種の部分までクリアしないと、
対処としては半分だと私は考えています。
突発的に噴き出す暴力的なエネルギー
というところがカギで、自分の中にも
多分同じものがあるのだと思うのですよね。
被害者の立場で居るときは、
ひたすら恐怖に怯えているばかりで
想像もできないことかもしれませんが、
恐怖を少しずつ癒し、落ち着いてきたところで
改めて深く自分の心の奥を探ってみれば、
突然暴発せざるを得なかった、父親が見せた
ものと同じ質のエネルギーが見つかると思います。
それこそが、この関係性に引き合わせた
種なんですね。
だから、自分の内のこのエネルギーを
本当に統合するまでは、どんなに納得しても、
言い繕っても、学びは完了にはならないのです。
つまり、また被害者か加害者になって、
このエネルギーを暴発させる物語が
どこかで起こってくる可能性がある
ということです。
だから、怒りのエネルギーを憎んでも、
分離・抑圧しても、それでは根本解決には
なりません。
暴力的な怒りのエネルギーを適切に扱えるよう、
本当にマスターする必要があるのですね。
怒りについてはこれまでも色々書いてきているので、
過去記事を参照してください。
自分の人生に現れた、暴力的な怒りのエネルギーを
持つ人について、気づきの参考にしていただければ
幸いです。