夫婦の戦闘状態と、親子の共依存関係

親子関係って、人生の基盤と言えるような、
とても大きなファクターであるということに
多くの方は同意されると思うのですが、

比較的良好な関係性でも、厳しい関係性でも、
それなりに色々ありますよね。

良好な関係性でもあるの?って思われた方も
いらっしゃるかもしれませんが、
良好であるがゆえに非常に見えにくく
気付けなくなっている要素もあります。

様々な家族の形がある中で、
基本の夫婦関係の上に兄弟姉妹や祖父母など
それぞれのポジションがとられ、
独特の心理構造が形成されて行きます。

たとえば、夫婦関係が戦闘状態のとき、
兄弟姉妹がどんなポジションを取るのか。
一人っ子の場合はどうなのか。

結構多いのが、
子供が夫婦の戦争に巻き込まれて、
両親のどちらかの見方になって同一化し、
一方を敵とみなして負の感情を
募らせるという構図。

こうなると、
味方になった親の負の側面は抑圧され、
子供の中では認識できない(してはいけない)
状態になり、

敵と認識したもう一方の親は、
ゆるぎない悪役として、不幸の根源
のような捉え方をされて、
その親の中のポジティブな要素は
切り捨てられる、

というようなフィルターが
かかってしまいます。

味方となった親の苦しみを子供が
意識、無意識に引き受けて絆とし、
互いに支え合う共依存関係に
なっているケースもあります。

こういう家族関係の場合、
まずは味方となった親との共依存関係を解いて
いかないと、もう一方の親への歪んだ
敵対イメージを解いていくことはできません。

味方となった親のずるい部分とか
ネガティブな部分も、ニュートラルに
見られるようになって、

どちらの親にも加担せず、
夫婦の戦争に巻き込まれない、
「一個の独立した自分」を確立してはじめて、
冷静に、母親、父親を一人の人間として
接することができるようになっていきます。

こういうポジションを取れるようになると、
味方や敵、被害者と加害者、庇護者と被庇護者
といった役割の絡み合いから脱して、
とても清々しくフィルターのストーリーを
卒業していくんですね。

その一番最初の基礎を作る一歩が、
自分自身の内に湧き起こる感情の責任を
引き受けることです。

このブログ読者の方にはもう
耳にタコができるほど聞いてきた言葉
だと思いますが、どんなテーマでも
基本は変わりません。

自分が味方にならないと、
お母さん(お父さん)が壊れちゃう、
いなくなってしまう!と恐怖を募らせる
子供は多いです。

大切なお母さん(お父さん)がいなくなったら、
自分は生きていられない!と思うから、
子供は自分の命さえ差し出そうとします。

お母さん(お父さん)の悲しみ、苦しみを
自分に引き受けて、どうにか家庭を
保とうとしたりね。

子供って、本当に健気です。
そういう、無理に無理を重ねて
引きこもりになったり、病んでしまったり、
という子もいますね。

話は戻して、
そういう子供が成人すると、
幼いころのそのプログラムも、
気付いて解除しない限りはずっと生きて
稼働し続けています。

自分に引き受けた親の苦しみを
元の持ち主に返し、自分は自身の恐怖を
引き受けてセパレートする、ということをして
ようやくプログラムの解除が完了します。

この感情的な処理をしっかりやらないと、
頭で思っただけだとうまく完了できてない
こともあるので、結構大事です。

ここができると、自分がお母さん(お父さん)を
支えなくても、お母さん(お父さん)の
苦しみを本人自身が引き受けるまで
見守っていられる状態になります。

そして、夫婦の戦闘状態に巻き込まれない
自分のポジションがとれるんですね。

そのうえで、
戦う二人のネガティブ・ポジティブな
側面をニュートラルに捉えて、
それぞれに対する自身の素の気持ちを
やっと認識できるようになるのです。

そうでないと、
味方になった愛するお母さん(お父さん)に
対して、実は怒りや憎しみなどを
抱いていたとしても、

また、敵対したもう一方の親を慕う気持ちも、
抑圧してしまうでしょう。

そして、そんな気持ちを抱いたこと自体に、
罪悪感を感じるかもしれません。

このように、
とても不自然にねじれた心理構造になる
ということがわかるでしょう。

こうした家族の構造は、
人格形成の上でとても大きな影響を及ぼし、
本人も気づかないところで、様々な
人生の癖やパターンを生み出していきます。

ここまで一気に解除していけるケースは
あまりなくて、徐々に自分で自分の心を
支えられる力がついてきて
ようやく解けていくことが多いです。

頭でわかってるだけじゃ、
ダメだからですね。

本当に自分の気持ちを自分で支えることの
意味が心と体と魂でわかるまで、
どこかもやもや、すっきりしないものは
残るでしょう。

先を焦らず、自分を知る歩みを怠らずに
重ねていくことです。

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