感情解放のセッションでは、
たくさんの問いかけをしてくのですが、
いつも私は、頭で考えたところからではなく、
感じたところから答えてくださいね~
ってお伝えしています。
けれど、私たちはしばしば、
感じることと考えることを混同して、
感じずに、考えたことを感じたことだと思って
過ごしていることが多くあります。
なぜそうしているのかというと、
生々しく苦しい感情を感じるよりも、
苦しい概念について考えていた方が
その苦しさはマイルドになるからです。
だから、
感情を感じないで考えるというのは、
逃避になります。
普段からこの傾向が強い方がセッションで
いざ感じようとしたときによく遭遇するのが、
自分が何を感じているのか、全くわからない
という状態です。
これは決して珍しいことではないのですが、
サバイバルな人生を送って来られた方は
自分の感情や感覚を閉ざしている封印が
飛びぬけて固くて、
ちょっとやそっとじゃ、
感じる感覚を取り戻せない、
ということがあったりします。
私自身も、自分の感情に取り組み始めた当初、
ふと友人に「今どんな気持ち?」って聞かれて
全く分からなかった経験があり、
その時初めて自分が感じられていない
ということを知って衝撃を受けたのでした。
これはもう、尋常な状態ではないと。
自分がこういう状態になっているというのは
人から指摘されない限り、自分で気づくのは
なかなか難しいですね。
苦しかったり悲しかったりはして、
泣いたり怒ったりしているのですから。
それ感じてるんじゃないの?って思うかも
しれませんが、それだと感情のエネルギーに
溺れて我を見失っている状態なので、
ワークで自分の感情を受け止めつつ
感じている状態とは違うのです。
マインドの中で感情に溺れているような感じなので
いくら泣きわめいても完了せずに繰り返すのは
そのためです。
ここから、自分の心と体を統合した状態で
感情を受け止め、生きるように誘導すると、
感じる感覚を閉ざしている人は
しばしば何もわからない、という状態に
なることがあるのです。
あるいは、なんだかんだ言って
抵抗してつるりと逃げる人もいますね。
マインドの中で感情に溺れるのはできても、
心と体でしっかりその感情を受け止めて
生きることは恐くてできないのです。
でも、本当は誰しもみんな、
自分の感情を受け止める力は持っています。
ただ、その感情を完了させないでいた方が
都合がいいとか、いろいろな理由から
閉ざし続けているんですね。
辛いのに、自分の苦しさを誰かのせいにして
被害者のポジションにいることで
自分を支えている人なんかは、
決してその感情が癒えていくことを
自分に許しません。
もしその苦しみが消えてしまったら、
自分を支えているものがなくなり、
その世界観が根底から崩れてしまうからです。
でも、本当に良くなっていきたいのなら、
その被害者の世界観は、
崩れ去る必要があります。
自分のこの苦しみは誰のせいでもない、
ということを認めて、ただシンプルに、
それを生きることができるかどうか。
そこを踏まえた上で、進みたいと思うのであれば、
道は開けます。
確かに、自分で自分にかけた封印は
自分でもどうやって解いたらいいのか
わからなくなっているかもしれません。
けれど、
何もわからないということは、少なくとも、
「わからないということがわかっている状態」
とも言えます。
だから、何もわからないわけじゃないんですね。
何も感じていない、も同じです。
何も感じていない、という感覚を感じている。
これを入り口として、
自分の感情・感覚を取り戻していくことが
できます。
こう考えると、自分を見失ってしまった
というのは錯覚で、
私たちは意識を失わない限り、
どうやっても「何も感じない、わからない」
ようになることはできないわけです。
意識は常に、何事かを体験し続けています。
混乱したり、絶望して心が死んでいるように
思えても、体験は途切れていません。
自分を見失ったと錯覚したとき、
途切れることなく続いている何らかの体験を
認識できたのなら、それを言葉にして
表現してみましょう。
私は混乱している。
私は一杯一杯になっている。
私は自分が苦しいということを知っている。
もう訳が分からないと思っている。
何か言葉にできないことを感じている。
などなど。
なんでもいいのです。
その認識をアンカーにして
今自分の体験しているものを表現していくと、
マインドの中でもがいていた意識が
今ここに戻ってきます。
そうしたら、あとは少しずつ、
自分がかつて受け止められなかった
諸々を、この心と体で焦らず、
受け止めていきましょう。
自分の人生に戻ってきたときに
生きる力が自身の内から湧いてくるのです。
絶望し、人生から逃げている人ほど
無力感に苛まれるのはそのためです。
必要な人に届きますように。