ルーツが大切だというのは、
それがこの世界に生きる自分の「根っこ」
だからです。
根っこに何か問題があると、その上に伸びる
幹や枝は、健やかに育ちませんし、
当然、美しい花や良い実もつきませんよね。
色々な出生、生い立ちの方がいらっしゃいますが、
たとえば自身の誕生を親が認知しなかったり
祝福してくれなかったとします。
すると、自分の存在自体が認められていない
ような、否定されたような苦しみを抱いて
人生を生きている、という方もいらっしゃいますね。
自分がこの世に受け入れられていないような、
存在していていいのかどうか、など
根源的な部分に安心感が持てないのです。
それは、人生を生きる上では
拭い難い、非常な苦しみになり得ます。
あるいは、一緒に暮らしていても
親や祖父母、家に対して信頼や安心感がない
関係性でも、情緒的な不安定さが
生じてしまうことはよくあります。
このようなケースをリーディングすると、
やはりこの世界に対する居心地の悪さ、
収まりの悪さ、不安定さは共通しています。
私たちは、この世界を信頼し、安心して
自分自身を表現して生きるためには、
まずは自分の存在が歓迎され、受け止められている
という感覚が必要なのだと思います。
そのベースの基本が家族(養育者)であり、
背後に連綿と連なるご先祖様のエネルギー
だったりします。
生命エネルギーの強い方を見ると、
やはりご先祖様から流れてくるエネルギーが
非常に太く、しっかりされていることが多いです。
心理的に親を受け入れられず、
自分一人が頑張っている人と比べると、
段違いにスタートからしてパワーが違うのです。
もちろん、そういう人が必ず幸せになれないとか
そういうことを言っているわけではないのですが、
どうせつながって流れてくるものであるならば、
ここに何かしらの故障や詰まりのようなものが
あるよりは、
丁寧にメンテナンスをして、しっかり
豊かなエネルギーが流れるようにした方が
自分も楽で幸せになるし、家系の上のラインの方も
安らかでいいよね、と思うわけです。
実際、ご先祖様のワークをした後には、
物理的に良いことがあったり、
心理的な安定感がしっかり感じられるように
なったり、ということがよくあります。
ご利益、というわけではないけれど、
この世界に安定して地に足をつけられるので、
エネルギーが淀みなく循環して
豊かさなどのエネルギーも巡ってくる
ということなのでしょう。
自身の家や両親を含めた先祖を受け入れられない
人も少なくないですが、私自身もかつては
そうでした。
でも、両親との間の課題を少しずつ
クリアしてきて、
またご先祖様や家を受け入れられるように
なってきて、随分自分の人生も生きやすく
変わってきたな~と思います。
ルーツは、時に自分を縛ることもあるけれど、
本当にそれを受け入れ、統合できた時、
とても大きな生きる力になっていきます。
逆に、拒絶するほどに人生は惨めに、
苦しいものになっていくような気がします。
よく、私たちはこの世に生まれてくるときに、
自分で親を選んで生まれてくると言われます。
両親や家との確執がある人ほど、
受け入れ難いかもしれませんが、
このことの意味を本当に理解できた時、
この人の人生はものすごく開けていく
のだろうと思います。
そのくらい、自身のルーツにしっかりと繋がり、
そのラインがクリアになっているということは
とても大事なことだと私は思っています。
人生に迷ったときなど、
自分のルーツに立ち返ると、
自身の在るべき姿が見えてくることがあります。
たとえば、
日本人として、日本神話を学んでみるとか、
郷里の歴史に触れてみるとか、
一族の業績を振り返ってみるとか。
素晴らしいものに触れることもあれば、
そうでないことを知ってしまう可能性も
ありますが、
それでもなお、
そのことから逃げずに受け止めるならば、
それを今を生きる自身の糧に昇華させることも
できるでしょう。
そういう人たちの末裔として生まれることを
選んだ、ということも意義は、
善くも悪しくも、それらをさらに昇華、
発展させることにあるからです。
自分が何者であるのかを知ることは、
自身のルーツを知ることに始まり、
その根から受け取ったものを
この人生でいかに表現するのか、
ということにつながっていきます。
私たちは、決して一人でこの世界に孤独に
放り出されているわけではないのです。
今を生きるこの自分の中に、
かつて生きたご先祖様と、
これからやって来る子孫たちの
無数の人生の気配を感じる時、
この人生はより一層の深みと輝きを
増すことでしょう。