先の見えない暗闇を行く閉塞感を越えるために

人生のある時期に、何かのきっかけで
自分に向き合う作業を始めると、

最初はこれでもかこれでもか、と言うくらいに
ドロドロしたものがうんざりするくらい
出てきますね。

苦しいから、楽になりたくて始めたはずなのに、
それが苦しくて苦しくて仕方がなくなってくる。

一体いつまでこれが続くんだろうって、
先の見えない真っ暗なトンネルを
延々と進まなければいけないような
気持ちになって、

不安で押しつぶされそうになるんですね。

多くの人が、歩みの中で、
そんなプロセスを通ります。

私もセッションの時などに、
よくクライアントさんからそんなお声を
聞きます。

それに対して私は、まず
取り組み始めが一番きついんですよ、
ということをお伝えします。

つまりに詰まったドロドロのパイプを
掃除しようと思ったら、最初に出てくるのは
やっぱりドロドロの汚れですよね。

ある程度そういうものがきれいになってくると、
次は落ちにくかった汚れのような、
もうひと手間かかるものが順次出てきます。

これは、最初の時のどぎつさと際限なさに
比べると、慣れもあってだいぶ楽に
なっているでしょう。

そういうものも大方出てしまうと、
今度はとても注意深く見ないと気づけないような
微かなしるしを頼りに掘り進めていくような
プロセスがあります。

このくらいになると、日常生活はだいぶ楽です。

大抵のことは受け止められるので、
何かあっても、その時はその時に
やることをやればいい、くらいに
思えるようになっています。

それぞれの段階なりの難しさ、苦しさはあるものの、
全部がクリアにならなければ幸せになれない
わけではなく、やればやっただけ、何かが
楽になっていきます。

けれど、中にはすべてクリアにならないと
幸せになれないって無意識に思い込んでいる人も
いるので、それは違います、とくぎを刺します。

なぜ「くぎを刺す」かというと、
そう思って取り組む人は、先の理想を追って
今を受け止め、生きないような意識の在り方を
しているからです。

「あとどれだけやったら、楽になるんですか」
って聞いてくる人は、今にいません。

自分に向き合うことは、今にいて
初めてできることなので、
その状態でいくらやっても、
楽にはならないのです。

そのように質問したくなる瞬間には、
永遠にこの苦しみが続くような閉塞感、
絶望感、不安、虚しさなどの感情が
湧き上がっているでしょう。

そこに気づかなければいけないのです。

感情解放ワークで受け止めるべきは、
こうした感情であり、飲み込まれている限りは、
それらが見せてくる「永遠にこの苦しみが続く」
ようなビジョンを信じてしまいます。

けれど、それは幻想なのです。
真実ではありません。

その瞬間に浮上している気持ちをきちんと
受け止められれば、その幻想は去っていきます。

先の見えない真っ暗なトンネルなどなかった。
自分はそんなところにいない、と
理屈抜きにわかります。

でも、いつになったら。。。
と言っている限りは、真っ暗なトンネルは
延々と続いていくでしょう。

ワークに限らず、何ごとに関しても
この幻想は浮上してくるものです。

そのとき、このことを知っていると、
気づいて今自分が為すべきことを
為すことに方向転換できるでしょう。

それでも、方向転換して
それらの絶望感や耐え難い閉塞感を
感じ、受け止め、生きるのは
なかなかのことです。

でもやってできないことではないし、
やればやったで、難しいことでは
ないのですよね。

ちゃんと、受け止めるだけの力を
私たちは持っているのですから。

ただ、慣れないと簡単に飲み込まれ、
最初の絶望を受け止めるのすら
踏ん張れないのです。

そこだけはちょっとだけ努力が要るかも
しれませんね。

でも、何か月も、何年も不安に飲み込まれて
いるよりは、ずっと建設的な努力だと思います。

一度これができて、ある程度気づき、
受け止めることが習慣としてできるようになれば、
もう「先の不安」がそんなに恐くなることは
ありません。

そこまでが、しばらくかかるかもしれませんけれど。

何度も何度も飲み込まれては気づき、受け止め、
また飲み込まれ、の繰り返しがあるでしょう。

その内に、いつの間にか「あとどのくらい。。。」
って思わなくなります。

あとどのくらいこれが続こうと、
別に平気、って感じになるんですね。

状況が変わって、何かが劇的に良くなったから
大丈夫になるわけではなく、その状況を
問題と感じる自分が居なくなるだけです。

そして、ちゃんと今ここにいて、
自分と状況に向き合い、適切に応答できるので、
結果的に、状況も好転して行ったりします。

今ここにいられない、一刻も早く逃げ出したい
という意識だと、まともに今この瞬間に
対処することなんてできないですからね。

今ここから脱出したい、と思っている内は、
決して脱出できず、

脱出しようと思わなくなったときに、
既に脱出できているのです。

パラドックスですけれど、
そんなものなんですね。

なので、とことん、その状況を受け止め、
味いつくせる自分になることです。

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