ポジティブシンキングの誤用

様々な方のセッションをさせていただいていて
しばしば感じるのが、ポジティブシンキングの誤用
という問題です。

これ、ものすごく多くて、
良いものだと思ってされていると思うのですが、

実は心の内に苦しみの元ととなるような、
大きなゆがみを作ってしまっていることがあるのです。

ポジティブな考えを持つこと自体、
私は否定してはいません。

けれど、それが自分が実際感じていることを
抑圧したり、すり替えたりするように
働くような使い方をするケースについては、
明確にNOという立場です。

苦しいのに苦しくないのだと思い込もうと
したり、悲しいのに楽しいのだとすり替えたり、

そんなことを無数に繰り返していたら、
自分が本当は何を感じているのか、
さっぱりわからなくなってしまうでしょう。

感じる感覚自体が狂ってしまって、
内側からやってくる導きにも、
正しく応答できなくなってしまいます。

角にポジティブシンキングにしがみつく人は、
ネガティブと言われるような苦しい感覚のある
感情を、殊更に恐れているのではないか
と思います。

つまり、それらに対処できない、
マスターできていないがゆえに恐れ、
違うものにすり替えたり無かったことにして
蓋をしているのではないかと思うのです。

このブログを長く読んでくださっている方は
もうよくご存じの通り、

自分が本当に感じているものを
切り捨てたり無かったことにしたりして
抑圧すると、

それらは自身の存在を絶対に自分に認めさせようと、
全く同じ質の感情を感じさせるような出来事を
引き寄せてきます。

惨めさを抑圧すれば、惨めさを、
怒りを抑圧すれば、怒りを、
悲しみを抑圧すれば、悲しみを

感じさせるような出来事が、
どんなに避けようとしてもその防御の壁を
やすやすと越えて、起こってしまうのです。

それはもう絶対に避けられません。

だから、どんな感情であれ、
ポジティブもネガティブも、
同じように受け止め、感じて生きる
必要があるのです。

楽しいことだけ味わいたいので、
苦しみを徹底的に排除すれば、
そういう人生になるかと言えば、なりません。

全てものは一つなので、
一部分だけをとって味わうことはできないのです。

たとえば、息を吸うのは好きだけれど、
吐くのは嫌だからと言って、
息を吸い続けることができるでしょうか?

そんなことしたら余計に苦しくなるでしょう。

それと同じようなものです。

片方だけ、一部分だけ欲するのは、
それはそれで不健全な在り方なのだろう
と思います。

なぜならそこには恐れをベースとした
執着があります。

ポジティブシンキングへのこだわりの底に、
恐れがあるのだとしたら、どんなにきれいに
つくろったとしても、その在り方の結果には、
やはり恐れの実が成るでしょう。

人生の酸いも甘いも分け隔てなく受け取って、
どんなものも、自分なりのやり方で、
糧にできる自分になることです。

実際に、自分はポジティブシンキングをしている
という自覚もなく、そういう風にしている方も
あるかもしれません。

いい方に考えよう、というようなやり方ですね。

必ずしもそれが悪いというわけではないのですが、
その際のポイントは、最初に自分が感じた感情を
抑圧しないで受け止めるということです。

それをすっ飛ばして、抑圧して良いように考える
ということをしている人がすごく多いように
思います。

どんな感情も、悪ではないのだということを
思い出してください。

それにも、存在する権利があります。

自分の偏った偏見のために悪者にされた感情は、
自分の中で居場所を失います。

そうした感情のカケラ君たちが、
モンスターになって、どうしようもなく
暴れるのですね。

そうではなく、その存在を認め、
居場所を与え、その尊厳を認めてください。

そうして、責任を持った方法で、
それらの気持ちを表現することで、
カケラ君たちはモンスターではなくなります。

無理にポジティブシンキングなんてしなくても、
苦しくなくなりますし、自然に調和のとれた
ものの見方ができるようになります。

ネガティブな気持ちを無かったことにしなくても、
捻じ曲げてすり替えなくても、何ら問題なく
穏やかな気持ちになることはできるのです。

多くの方は、そのことを知らないので、
ネガティブな気持ちはモンスターだと思って
絶対に折に入れて逃がさないようにしなければ
いけない、と信じているのです。

サロンに見える方の中でも、
そうやって自分の感じているものを無理に
良い方に考えようとして理屈を重ねて

捻じ曲げたり、すり替えたりして
無かったことにする癖がセッション中に何度も
出てくる人があります。

その度に修正を促して、本当はその時自分は
何を感じていたのかを発掘し直していきます。

ネガティブな感情を抱くこと自体を否定している人も
いますから、その否定をどのくらい転換できるかが、
セッションの成否を決めるポイントです。

簡単にそれが解ける人もいるし、
解けない人もいます。

こうあるべき、という信念が固い人ほど、
実は自分自身の真実から遠く分離している
ともいえるだろうと思います。

癒しにとっても、本当に自身の幸福にとっても、
必要なのはポジティブシンキングではなく、
自身の真実に誠実で在ること、
ではないかなと思います。

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