人間の心というものは複雑で、
ちょっと皮をめくれば上っ面とは
別の思いを持った顔が出てくる
なんてことはしょっちゅうです。
でもそういうものを相手に見てしまって、
自分が思い描いていたものとは違うと
ショックを受けてしまうこともあります。
たとえば、
仲良しだと思っていた友人が、
実は陰で自分の悪口を言っていたとか、
信頼していた部下が、裏で自分を裏切る
ような行為をしていたとか、
信じていたパートナーが浮気をしていたとか、
まぁ色々ありますね。
傷つきたくないし、ショックを受けて
人間不信にもなりたくないから、
見たくないものは見ない。
なるべくお互いに深いところは触れないようにして
表面的なところでそこそこの調和を保って
いればいい。
そういう関係もあります。
全部が全部、深く信頼できる関係性で
いられれば世の中は素晴らしいのでしょうが、
なかなか現実的でなかったり、
そうしていく必要性もそんなには
感じなかったりすると、
自分が求める度合いによって、
求める人付き合いの深さと領域が
決まってきます。
それはそれで選択だと思うのですが、
もっとも近しい関係性では、
やはり深く信頼関係が気づけていた方が、
人生は豊かに幸せに感じられるだろうと思います。
では、そういう関係性を築いていくには
どうしたらいいのか。
様々な考え方はあるにせよ、
どうやっても避けては通れないだろうと思うのは、
自分自身との誠実な対話と、
それを表現し、実行する能力、
そして結果を引き受ける力
かなと思います。
自分を偽ってしか調和を保てない人は、
根本的には合っていないし、その関係性は偽り
であるということでしょう。
そういう関係性を限りある人生の中で
時間と労力をかけて続けていく必要性が
あるのかどうか。
あると思うのなら、
その前提になっているのは何なのか。
それは絶対に変えられないものなのか。
別の可能性はないのか、
今一度、問うてみたらいいでしょう。
自分自身に誠実に生きられていないのだとしたら、
どこかで逃げていることがあるのだと思います。
要は、先ほど挙げた条件の3つ目、
「結果を引き受ける」ことからの逃避です。
これを引き受けるくらいなら、
この不本意な苦しみも厭わない、
というのがその選択なのです。
けれど、逃避している人は明確に
自分が何から逃避しているのかを
自覚している人はそれほど居ないと思います。
多分、ほとんどの方が無意識に
不快感や恐れを感じ、それに反応して
ただ避けているだけで、
その結果について明確にそういう結果を
選んでいるとは自覚していないと思います。
セッションではよく、こうした選択の
因果関係を明確にして、これでいいのだろうか？
あなたは本当にこれを求めて選んでいるのか？
という問いかけをします。
すると、大抵の方は自分がそんな選択をしていた
ことに驚いて、別の選択を選びます。
もちろん、別のその選択をするためには、
「結果を引き受ける」ことができるような
道筋も整えていきますが、
そこがクリアできれば、何もそんな不本意な状況に
留まっていなくてもいいわけです。
誰も好き好んで選んでいたわけじゃないでしょうからね。
ここができない人ほど、表面的な調和で
ことなかれの選択に無意識に逃げていきます。
もちろん、
人によってはものすごく困難な状況の中で
苦しい歩みをしてきた方は、
たとえ自分に誠実に生きられなくても、
とにかく今穏やかでいられることの方が
ずっと大事、という方もあるでしょう。
そういう選択もアリだとは思います。
ただ、人生はいずれはそういう状態から
本当に自分に誠実に生きるようにと、
その人を押し出していくだろうとも思います。
誰しも、多かれ少なかれ「ことなかれ」
を選択して逃げているところがあるでしょう。
私自身にもあります。
今そこに触れるのは面倒だし、
エネルギーも無いからスルーしておこう、とかね。
でも、結局そのスルーされた要素は、
そのまま埋もれてはいません。
いずれ浮上してきて、そのポジションで
居着いていてはいけない、と背中をつつきます。
そういう導きに対して渋々、嫌々な態度でいると、
段々ときつくなっていきますね。
どうせなら、肚を決めて、
前向きに、主体的に自分の道を
切り拓いていきたいものです。
それに対して肚を決めた自分の感覚って、
どんなでしょうね。
多分、逃げている時よりは
絶対的に内から溢れる力でパワフルな自分
を感じるはずなのです。
そのパワーを感じながら、
結果を引き受け続けて、
歩み続けるのです。
一時だけそうすればいいのではなく、
その在り方で生きていく、
ということです。
選択の結果が思わしくなくても
嬉しいものでも、そこでもまた逃げない。
全身で引き受け、歩み続ける。
それが、自分の人生を拓くってこと
なんだと思います。