どんな分野であれ、道を歩む上で大切なのは、
謙虚な姿勢。
頭ではわかっているけれど、
これがなかなか難しい。
何かを学び始めてちょっとできるようになると、
途端に慢心がムクムクと頭をもたげ、
足元をすくいます。
そうはならじと、自分を戒めつつ謙遜していると、
今度は謙遜の陰に隠れて反対方向からの
慢心が再び襲ってきたり。
人からいただいた賛辞を素直に受け止めず、
否定しつつ謙遜し続けると、
そうなりやすいような気もします。
私自身、なかなかそういうのは苦手ですが、
他者からの賛辞の中に、自分ではわからない
気づきの種があったりもするので、
一旦は素直に受け取ってみることも
大切なことかもしれない、
と思うようにもなりました。
とは言え、それが慢心という種に栄養を
与えないよう、細心の注意を怠らずに
いなければ、とは思います。
いやはや、何とも難しいものですね。
慢心というのとも少し違うかもしれませんが、
成長を阻害する要因に、しばしば
強固なプライドが引っ掛かることがあります。
自戒を込めて書いてみるのですが、
積み重ねてきたものが多ければ多いほど、
また成し遂げたものが大きければ大きいほど、
知らず知らずのうちにそれが
自身の誤りを正したり、より高い学びに
飛び込んでいくことを躊躇させたりします。
たとえば、既に充分に経験を積み、
大きな組織のトップに立っているような人が、
ものすごく優れていて
人生を大きく変えるかもしれない学びを
与えてくれそうだけれど、無名の一介の人物に
頭を下げて学びに行くことができるでしょうか。
しかもその学びが、これまで自身が
積み重ねてきたものを否定するようなもの
だったときに、なおさらそこに飛び込んでいくことは
困難になるのではないでしょうか。
そのときに、その人がどれだけ本当の修行を
してきたのかが分かるのだと思います。
すなわち、その修業は真に精神性を
高めるためにしていたのか、
あるいは、
何かしらの賛辞や物理的な富や名誉、
その他獲得物を得るためのものだったのか。
真に前者であったならば、
積み重ねてきたすべてを棄ててでも、
迷いなく真理を求めるはずです。
言葉では簡単に言えるけれど、
それができるというのは、
相当なことですね。
ところが、そういうことをさらりと
やってのける人物も、確かにいます。
これほどの人が、自身が弟子にも
教えてきただろうことを否定してでも、
真に大切なことだと信じたものに
頭を下げて学びに行くということが。
その方がどれほど、真理に対して
心を捧げて微塵も揺るがないのか、
表面的にはとても穏やかですごさを
滲ませるようなところは感じさせないのですが、
己に対する火のような厳しさは
到底まねできるものではない、
と我が身を恥じざるを得ません。
本当にすごい人は、
一見してすごさを感じさせない
ものですね。
世の中、様々な意味ですごい人は
たくさんいるけれど、
何をもってしてすごいのか、
本当にすごいというのはどういうことなのか、
識別できる目を持った自分で在りたい
と思うのです。
そうでないと、
仏陀やキリストが隣にいても、
気づかずに通り過ぎてしまいそうだから。
そして、本当に大切なもののために、
躊躇なく行動できるように。
まだまだ私は、そうすることに間違いなく
葛藤するな、というのがわかるので、
本当に大事なことを、
もっともっと肚に落とさなければ
なりませんね。
余計なものにしがみついているときは、
とてつもなく難しいことに思えても、
一旦吹っ切れてしまえば、
それは実に簡単なことに転換していく
もののようでもあります。
なんでそんなことにこれほどまでに
執着してたんだろう？って
目が覚めるようにさっさと手放して
爽やかに軽やかに歩んでいきたいものです。
それはそんなにも大事なものなのか？
私にとって、大切なものとは何なのか。
瞬間瞬間、問うていくべきものですね。