人とコミュニケーションを取る時、
何よりも大切なのは、伝える力ではなくて、
相手を受け止める力の方なんじゃないかな
と私は思っています。
なぜかというと、まず相手を理解しなければ、
どういう伝え方が適切なのか、そもそも
わからないでしょう。
伝えたい気持ちが先走って、
相手をよく見ていなければ、
自分は存分に伝えられた、と満足しても、
実は相手はほとんどついてきていなかった
ということもありうるわけです。
相手が見えていれば、
様子を見ながら伝え方の修正も適宜
していけるでしょう。
相手の中で何が引っ掛かっていて
伝わらないのか、感じ取り、
毎瞬応答していくのが
コミュニケーションですね。
よく、自分の言うことが伝わらない
というもどかしさを感じている方は
少なくないですが、
そういう方を見ていて思うのは、
在るがままの現実に、「伝わらなかった
過去のフィルター」をかけて
見ている方が多いですね。
かつて一生懸命伝えたのだけれど
伝わらなかった、拒絶・否定されたなどの
痛みの感情を伴った記憶によって、
今度もまたダメだろう。
自分は伝えるのが下手だから。
どうぜまた否定されるに決まっている。
と言うようなフィルターをかけてしまって、
実際伝える時もそういう意識から
伝えるので、
空回りしてしまってやっぱり伝わらない、
という現実を生み出してしまうのです。
感情解放ワークではそういう場合、
伝わらなかった場面にわだかまっている
未完了の感情を統合するように導きます。
失望感や悲しみ、もどかしさやショックなどを
統合するのと同時に、相手の中にある
話を受け止めてあげられなかった要因を
見ていきます。
「私」の話を相手が本当に受け入れてしまったら、
何かしら都合が悪いなどの理由がある時、
そこもクリアにしていくわけです。
こうして相手と自分の中の「伝わらない」
要因を統合できると、安心して伝え、
受け止めてもらえる感覚が自然に
湧き出てくるようになるんですね。
こういう状態からコミュニケーションを
とると、焦らず余裕をもって相手の反応も
受け止めながら話をすることができます。
そして、相手を受け止める時に大切なのが、
心のスペースです。
自分のことで一杯になっている人は、
このスペースがありません。
相手のことを受け止めて、自分の中に生じる
諸々をじっくり感じ取るためのスペースですね。
そして、相手の言葉をニュートラルに
聴くためのスペースでもあります。
これがあると、相手は安心して
「あ、聞いてもらえるんだ。受け止めてもらえる」
と感じてあなたに心を開きます。
より深いコミュニケーションができるように
なるわけですね。
自分の意見で一杯の「心のスペース」のない人に、
相手が心を開くことは、なかなか難しいでしょう。
たとえば、自分の正当性を全く疑わず、
聴く耳を持たないような人に、デリケートな
心の内を明かしたいとは思えないとの同じです。
コミュニケーションが苦手という人は
少なくないですが、相手を見ているかどうかと
心の中にスペースを持っているかどうか
という要素がクリアできていれば、
大抵はクリアできるように思います。
あとは、もう少し別のレベルで
そもそもコミュニケーションを望んでいない
というケースもありますが、
この場合は自分にも他者に対しても
閉じているので、本人の中でコミュニケーション
に対する必要性、必然性が生まれることが
まず第一歩ですね。
魂の成長からすれば、ずっと閉じ続けることは
できないので、遅かれ早かれいつかは開いていく
ことになるのでしょうが、その人なりの
タイミングがあります。
閉じているにも、その人その人に固有の理由が
ありますね。
その理由と言うのは、
その人にとっての少なからぬ課題になっている
ケースが非常に多いです。
だから、開いていくために
その課題に手を付けるか否か、
という選択になります。
いずれにせよ、機が十分に熟したときに、
その人は踏み出すことになるのでしょう。
自分を開いて、相手を受け止めても大丈夫な状態を
整えることは、人生をより深く、豊かに生きる
ためにはとても大切なことです。
閉じている安全よりも、より深い豊かさへの
渇望が勝ったとき、どうぞその渇望に
身を委ねてみてください。
そこから、別の世界が開けていくでしょう。
あなたの人生に、深い愛の交流が
ありますように。