自分の感情に気づくって、とても大切で本来は自然なことなのだと思うのですが、なぜか私たちは自分の気持ちを素通りして「もっと大切だ」と信じている何かにばかり意識を向けていることが多いように思います。
自分の気持ちよりももっと大切なものって何でしょうね。
目の前の仕事をこなすことだったり、大好きなあの人に嫌われないようにすることだったり、仲間から見捨てられないようにすることだったり。
それらはみんな、突き詰めていけば「恐れ」につながっています。
仕事をこなせなければ職場の人に迷惑がかかる。自分の評価が下がる。そうしたら、自分は切られてしまうかもしれない。そんなことになったら生きていけない。孤独だ。とても悲しい。
あるいは、大好きな人に嫌われたら私は生きていけない。悲しい、泣き崩れてしまう。絶望に暮れてしまうだろう。
仲間に見捨てられたら、一人では生きていけない。淋しい。耐え難い孤独だ。絶望して生きる気力がない。。。
こうした孤独や絶望などに対する様々な「恐れ」がガソリンになって、私たちの行動を異常なまでに駆り立てます。孤独や絶望は最も耐え難いものであり、避けなければならない最重要事項なのです。
それに比べたら自分の気持ちなんて、二の次三の次!という具合に、いつも自分自身のことを後回しにして、表現する機会も与えないまま欲求不満をため込んでいます。
それは、表面的には誰か外側の人によって抑圧されているのだと思っているかもしれませんが、まぎれもなく自分が自身に対してやっていることです。
まずはここを認められるかどうかが一つの選択になるでしょう。
「あのひどい奴が私にこんなことをしている!」わけではないのだとしたら、あなたの中に不都合なことが生じるでしょうか?そこに、自分で受け止め切れない何かがありますか?
自分の感情を在るがままに表現してしまったとしたら、どんな辛いこと、恐いことがあるだろうか?と問うてみたときに出てくる言葉が、解放への道しるべになります。
自分はどんな恐れを抱いているのかを認め、告白することは、深い癒しへのスイッチを入れることです。それは、自分が一体何者になっていたのかというストーリーに気づかせるので、ストーリーから離れたところに在る「別の可能性」への扉を開きます。
無意識の内にストーリーと一体化している内は、この可能性の扉は見えてこないんですね。だからただ気づき、認め、告白するというとてもシンプルなステップが、これほどのパワーを持つのです。
私のワークの例を少し書いてみます。
どういうわけかここしばらく、胸がとても圧迫されて息苦しい状態が続いていました。そこで胸に手を当てながらその体感覚をじっと感じて、そこから出てきた言葉を表現してみました。
出てきたのは、「私は自分の気持ちを殺さなければならない」でした。
そのフレーズを3回、声に出して呟いてみると、少し弛みました。さらに「なぜなら…」という言葉をつないでみると、「自分の気持ちを殺さなければ、任務を遂行できない」と出てきました。どうやら過去世のようでした。
その任務とは何なのか、感覚を辿って出てきた言葉は「私は人を殺さなければならない」でした。組織に敵対する勢力の要人を暗殺する仕事をしていたようです。
さらに、「自分の気持ちを殺さなければ、それはできない」「私がそれをしなければならない」「私にしかそれはできない」「汚れ役は自分一人で十分だ」「私は組織の闇を背負う」と出てきました。
おいおいって感じですが。。。この人生では、心底そう信じていたのですね。
「自分にしかできない」というところで背負ったものへの重さよりも、自分の存在価値や何かしらの優越感を感じていたようです。だから、その役割はホントは嫌だけれども、それを失ったら自身の存在価値も同時に失ってしまうので、メリットにしがみついていたのでした。
そうした自分を在るがままに感じて行ったときに、しばらくして「もうこの役目は終わりにしよう」という言葉が自然に出てきました。
「私はもう人を殺さない」と、決意の言葉を口に出して言ってみると、身体全体のバイブレーションが変化するのが分かりました。ひとつ、在り方の選択をしてシフトしたのですね。
言葉にして言ってみると、巧妙に隠れていたものが明らかになり、それを見つめることで自分自身の在り方の狡さや歪みなども明確に感じられるようになります。すると、「もういいのだ」という次のステージへ足を踏み出すことが、自然に起こってきます。あれほど固執していた自分のポジションに、まったく未練もありません。
この瞬間まで、この過去世のプログラムはしっかり私の中に入っていましたから、随分抑圧していたものです。
こんな風に、今この瞬間の体感覚をベースに浮かんでくる言葉を出していくだけでも、過去世やインナーチャイルド、さまざまなトラウマなどかなりの解放ができると思います。
ぜひ、自身の心の底に埋もれている気持ちのカケラたちに、表現する権利と機会を与えてあげてください。それは、あなたの生き辛さをとても癒してくれるでしょう。