最近、昔は全然できなかったことが、ふと気づくといとも簡単にできるようになっている自分を発見することがよくあります。エネルギーや意識の使い方の分野で一番多いのですが、相変わらず昔のままできないこともたくさんある中で、そうした自分に出会うのはとても新鮮です。
以前の自分だったら、ブレブレの逃げ腰になって、当たり障りのないことを言って適当に誤魔化していただろうという場面でも、ブレることなくしっかり正面から受け止めてポイントを捉えられるようになっているのは、仕事の面でも大きなプラスになっています。
1つの変化は無数の領域に波及して、瞑想の質が変化したり、今まで捉えられなかった領域を読めるようになったり、扱うエネルギーの質が変化して、より深い次元まで届くようになっていったりなどなど。。。
2、3年前の自分だったらどんなに背伸びしても届かなかったことが、今は当たり前のようにできてしまっていることに自分で驚いています。
だからと言って、ここまで特別なことをして来たわけではなくて、ただただ日々差し出されるものをどうにか受け止めてコツコツ応答していくということを続けていただけなのですが、キャッチーなフレーズで飛びついた諸々のセミナーに参加するよりも、確実に自分が変容してきていることを実感しています。
やっぱり自分で積み重ねるからこそ分かること、身につくものがあるのですよね。
そういうプロセスを嫌って、手っ取り早く簡単にできる道に流れる人も多いですが、個人的には、それだけではどうしても体現できない領域のものがあると思っています。
たとえば、1000年の樹齢の大木があったとして、この樹に宿った宇宙の叡智や神々しさは、樹齢数十年の若木には到底表現できるものではないでしょう。
こう言うと、今の時代は時間自体がどんどん変質していっているから、固定的な時間の観念はもう古い、思ったら瞬時に実現していく時代なのだという向きもあるかもしれません。
けれど私は、ただ樹齢という「時間」のことを言っているのではありません。「積み重ねたものの質」について言っているのです。
漫然と同じ修行を無意識に何十年も積み重ねていればいいのかというと、そうではないでしょう。どれだけ密度濃く意識を使ってそれをしたのかで、内容は飛躍的に濃いものになります。
どんな状態にあっても、どう意識を使うかで、私たちはそこに自分が居る意味を変化させることができます。主体としての意識を挫かれそうになるときほど、実はそれを保つ集中力や技術が鍛えられる絶好の機会なのでしょう。
人生、誰しも良いときばかりを経験するわけではないですし、良ければ良いなりに、その中で学ぶものがあるわけです。人生の良い時期を有効に活かせる人は、試練の時期にしっかりと学ぶべきものを学んだ人でしょう。
学びを受け取る姿勢でいれば、腐っている暇など一秒たりとも無いのが人生なのだろうと思ったりもします。まぁ、腐る学びもあるかもしれませんけれど。
人によって、得意なこともあれば苦手なこともあります。
私は元々がネガティブ人間なので、ポジティブになろうとすると、どうもバランスを崩してしまうことが多くありました。とってもポジティブでキラキラしている方たちを見ると、どうやっても自分にはできないなぁと劣等感を抱いたものです。
けれど逆に、人間の負の側面を深く深く見ていくのはかなりしんどくてもどうにかできてしまい、私にとってはこちらの方がはるかに自然でした。そして醜悪さの極みの中から、ポジティブ思考では到底たどり着けなかった、信じられないくらいの愛に触れることもあったのです。
どんな道を行こうと、真摯に学ぶならば必ず想像を超えた素晴らしいものに出合っていくものだと思うので、自身のこの段階における学びが落ちるまで、自然に熟させていけば良いかな、と今では思っています。
無理に急ぐ必要もないし、リンゴの木をミカンの木にする必要もないのですから。
魚には魚の、鳥には鳥の、獣には獣なりの成長の仕方があります。隣を見ては、泳げることや飛べること、野を自在に駆け回れることを羨む気持ちも湧いてくることもあるでしょうが、自分だけが見つけられる宝が、この世界にはたくさんあって、発見されることを待っているのですよね。
大きく逞しいとか、息をのむほど美しいとか、誰もが感嘆する能力を持っているばかりが、そうした宝を発見するのに向いているというものでもありません。
小さくてひ弱だから、美しさとは程遠い容姿だから、どうあがいても有能にはなれなかったから、思いもかけず手に入れることになる宝もあるわけです。
これらのことをどれだけ頭で分かっていても、あるがままの自分を生きるという実践なくしては、宝には至れません。その自分を生きる生々しい感覚を、しっかり受け止めて在りましょう。
今のこの自分から逃げないで生きる中で、自身の内に何らかの力が練られて行きます。
それをするのかどうか。今、深く自身に向き合いつつ決断していきましょう。