昨日は感情解放ワークショップでした。お忙しい中、お集まりくださったみなさま、ありがとうございます。みなさんそれぞれに、今浮上中のテーマに取り組まれていましたが、一人でやるときはどうしても、突破口を見つけられなかったり、荷が重く手が負えないと感じたりされることが多いようです。
けれどちょっとしたサポートがあるだけで、「大丈夫、行ける!」と俄然やる気になって、サクッと解放できてしまったりするのですから、その方の中では既に十分に受け止める力は育っていらっしゃったのでしょう。
ワークでは、感情のエネルギーを受け止める「心の筋肉」とでも呼べるようなものがある程度鍛えられていることと同時に、意識をどのように使っていくか、ポイントを見極める「識別力」が大切です。
「心の筋力」があっても、「識別力」がなければ掘り下げていくことはできませんし、思考と感情の区別がつかず、「核心の感情」までたどり着けないでしょう。
けれどこれらを一体どうやって鍛えていくのか、なかなか雲をつかむような話だと感じる方がほとんどなのではないでしょうか。
私なりにポイントをお伝えするとすれば、ワークで「心の筋力」を鍛えるときは、感情のエネルギーを身体で捉えるとき、まずはまずは不快な感覚でも意識が飛ばずにその感覚に留まれることが第一段階でしょうか。
もう少しできるなら、その感覚の中でより強く感じる「方向性」を意識で辿ってみるといいかもしれません。自分がどれだけ苦しい中で感覚を開いて安定して踏みとどまれるか、もちろん命の呼吸をしながらですが、チャレンジしてみるといいでしょう。
「識別力」に関しては、ワークショップやこのブログでしばしば解説している思考と感情についての項目を参考に、まずはキーワードをしっかり覚えておくことが助けになるかもしれません。
たとえば、後悔や自責の念は、ある耐え難い感情を紛らわせるための「感情のフタ」のパターンです。「どうでもいい」「死にたい」「面倒臭い」「やる気がない」「バカバカしい」「相手を可哀想と見る」も、「感情のフタ」でしたね。
ワークをしていてこれらが出てきたら、自分が何かしら不快な感情から逃れようとしているのだ、と気づくことです。そして、これらのフタの奥にある「耐え難い感情」にフォーカスします。
また、思考か感情か、自分では指摘されないと判別できないケースも多いと思います。ワークショップなどに参加したり個人セッションを受けていただければ、その場で指摘できるのですが、あとはブログなどを参考にパターンを学習していくと、ある程度は気づけるようになると思います。
昨日出てきた例で言えば、「許せない」という思いがあります。これは「許せないという感情」ではなくて、思考です。何か耐え難い感情を浮上させた出来事があって、あまりにもその痛みの感情が受け止め難かったので、その出来事を「許せない」「こんなことはあっていいはずがない」と強烈に否定しているわけです。
出来事を拒絶すると、それにまつわる感情全体が否定され、対処できない状態に封印されてしまいます。だから、「許せない許せない許せない」といくら呪文のように唱えていても、膠着状態から脱出できないのです。
自分が誰かや何かを許せずにいるのだということが無意識にあるとき、これを意識に浮上させる段階では、これを言葉にすることは有効であると言えますが、それが認識できたなら、速やかに拒絶した元の「耐え難い感情」まで意識を展開させていくのがいいでしょう。
それをされたとき、あなたの中に最も最初に生じた感情は何だったでしょうか?
激怒や憎しみは、最初の感情ではありません。その奥にまた別の感情があるのです。それは多くの場合、「深く傷ついた気持ち」です。ただ悲しいというよりは、惨めさや敗北感、無力感や無価値感、絶望感といった、より受け止めることに抵抗がある感情が「核心」になるでしょう。
これらが受け止められないので、その痛みを相手に向けて投げ返したものが、激怒や憎しみ、恨みとなるのです。ワークでは、この核心の感情までをしっかり受け止めないと、根が残ってしまい、また繰り返してしまいます。
こうした構造をしばしばこのブログでも解説していますので、参考にしつつ、パターンを覚えていくと、掘り下げのヒントになるのではないかと思います。
私自身がこの感情解放のワークを始めたときは、こうした心の構造など何も分からない状態で、ただひたすら毎日苦しみの感情を受け止めていくことをしていました。だから、最初に鍛えられたのは「心の筋肉」の方だったでしょう。
その内に、何となく心がいかにして苦しみを逃れようとするのか、自ずからパターンが見えてくるようになりました。自分が既に逃げていない在り方をしているとき、逃げている在り方の独特のバイブレーションが際立って目につくのですね。
例えて言うなら、蜘蛛の糸にかかった獲物の振動、あるいは、全てが静止した世界にあって、一匹だけ動き回っている虫のようなイメージでしょうか。
「識別力」は、感覚を開いてその場に留まれる「心の筋肉」のベースの上に育まれると言えるかもしれません。
いずれにせよ、注意深く自身の状態に気づく観察力を、日々養っていきましょう。